俺の好きだった姉ちゃんのような幼馴染と俺のことを好きだと言っていた妹みたいな幼馴染の体が入れ替わってから始まるラブコメ

シュウ

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4.凛津を取り戻せ!編

35.照の記憶!?②

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島にやって来てから2日が経ったある時、僕は偶然あの神社の前を通りかかった。

その時、なぜかとつてつもなく懐かしくて悲しい気分に苛まれたのを覚えている。

「……僕、ここで……」

もう少し何かが掴めそうな時、そんな僕の前を誰かが走り抜けて行った。

「あ……」

その誰かの姿を見た途端、数年前の記憶が僕の中に流れ込んできた。

「……凛津ちゃん?」

「……え?」

僕が咄嗟に名前を呼ぶと、その女の子は突然名前を呼ばれて驚いたのかこちらを振り向いた。

「えっ……と、凛津ちゃん……だよね」

「はい……そうですけどっ……ってあれ どこかで会ったことありましたっけ……」

そう言いながら凛津ちゃんは小首を傾げた。

「……はい。実は僕、横川照っていうんですけど」

「横川……照……テル……もしかして、テル?」

「はい!」

「久しぶり……だね。でも……なんでだろう。なぜか、今さっきまで全くテルの事全然覚えて……」

「……実は、僕もなんです。なぜかこの島で過ごした色んなことをついさっきまで全て忘れていて……」

それから少し二人の間に少しの間、沈黙が訪れた。

最初に沈黙を破ったのは凛津ちゃんだった。

「あのさ……少し聞きたいんだけど」

「はい?」

「なんで私が凛津だって分かったの?」

「え? だって……凛津ちゃんは……」

そう言いながら改めて、凛津ちゃんの方を見ると

「あれっ!? 有里香さん!?」

何故か、今さっきまでは確かに凛津ちゃんだと思っていたのに……。

でも、なんとなく

「凛津ちゃんなんですよね?」

それだけは分かった。

「……うん」

「やっぱり……」

「あのさ……信じられないかもしれないけど今、私と有里ねぇの体が入れ替わってて……」

「信じますよ」

僕は無意識にそう言っていた。

なぜなら、僕にもさっきまで信じられないようなことが起こっていたのだから。

「あの……二人が入れ替わってしまった事を、もっと詳しく聞かせてくれませんか?」

「……分かった」

それから、僕と凛津ちゃんは、それからどういう経緯で二人が入れ替わったのか、何が原因だったのかを二人で話した。

そして、出てきた結論は……やはり

「あの神社……か」

「多分……」

「でも、凛津ちゃんは有里香さんと入れ替わりたいとは願ってないんですよね?」

「……うん」

二人のうち、どちらかがその願いをしない限りこの入れ替わりが起こるはずはない。

凛津ちゃんが違うのなら、必然的に

「じゃあ……有里香さんがそれを願った……という事でしょうか」

「……分からない」

凛津ちゃんは不安そうな顔で立て続けに

「どうすれば元に戻ると思う?」

そう聞いてきた。

「…………僕も分かりません」

そう言うと凛津ちゃんは少し肩を落とした。

「けど……もしかしたらと思う事は少しあります」

「……それは?」



「有里香さん自身がそう思うようになった原因を乗り越える……それが解決策になるのではないかと思っています」

テルは、俺の持っているアルバムに目を落としてから少ししてそう言った。

「多分、僕の願いの時もそうだったと思うんです。僕はあの頃、島を出て行く時、あんなに楽しかった日常が終わるのなら初めから知らない方が良かったんじゃないか……そう思ってたんです」

「……」

「でも、今は違う。別れは誰にだって訪れるもので、僕たちはそれを乗り越えていかなくちゃならない」

「……」

「そして、その時期を乗り越えた先には新たな出会いや、再会だってあるんだと……僕は気付いたんです」

テルはあの頃とは違う、少し大人びた表情でそう言った。

「今まで、ごめん……テル」

そう言いながら俺は自然と頭を下げていた。

「謝らないでくださいよ! 僕は自分でそうお願いしたんですから!」

そう言いながらテルも同じように頭を下げた。

俺と親友テルとの、久しぶりの再会だった。



「それにしても……原因を乗り越える……か」

有里ねぇが凛津と入れ替わりたいと思ったら理由

「私ね……大学はアメリカに行こうと思うの……」

「だから……私が凛津だったら……もっと優太と仲良くなれたのかな?……なんて。だから……言わなかった」

あの夜、有里ねぇが言っていた言葉が自然に頭の中で思い出された。

今なら分かる。

多分、あの時有里ねぇが言っていた『もっと仲良くなりたい』というのは、友達としてではなく

「俺は、また有里ねぇに無理させてたんだな……」

「有里香さんと何かあったんですか?」

「……ちょっと色々」

俺がそう言うとテルはそのことについて、あまり深くは聞いてこなかった。

それから少ししてから、

「よし! それじゃあ、そろそろ有里香さん達のところに行きましょうか!」

そう言ってテルは立ち上がった。

が、俺にはまだ少し聞きたいことがあった。

「あのさ、テル……」

「うん?」

「テルはなんで凛津と有里ねぇを見分けられたの?」

「うーん。……もしかしたら、僕もその神社でお願い事をして、その願いが叶ったから? なのかもしれません。まぁ、あくまで推測なのでアテになりませんけど」

「……そうかもしれない。うん、ありがとう」

俺が一つ目の質問を終えるとテルは再び立ち上がろうとしたが

「もう一個いい?」

俺がそう言うと

「別にいいですけど……早くしないと凛津さんいなくなっちゃいますよ?」

テルはそう言って再び椅子に腰掛けた。

「で、あともう一つの質問っていうのは?」

「あのさ……テルって……凛津の彼氏なの?」

俺がそう聞いた瞬間

「…………え? 信じてたんですか?」

テルはそう言いながら呆然とした顔で俺を見た。

「え? いや、だって『僕が凛津の彼氏の……』って言って……」

「はぁ……優太君」

なぜかテルはそこで溜息をついてから、俺の肩の上に手をポンと乗せて

「乙女心は複雑です……。でも、あれは流石に僕でも分かりますよ」

そう言いながらうんうんと一人で頷いてから

「さぁ、早く仲直りしに行きますよ」

そう言いながら、テルは俺の手を引いて凛津達のいる部屋の方まで案内した。
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