78 / 78
第3章.冒険者突入
74.道中その2
しおりを挟む
「んぅ……」
瞼の外に光を感じる。
朝のようだ…。
昨日は結構早く寝床に入り、いつの間にか眠りに落ちてわりとぐっすり眠っていたようだ。
旅立ち初日だし疲れていたのかな…。
よし、と目を開け起床する。
「スゥ……スゥ……スゥ……」
となりではいまだ気持ち良さそうに眠っている女性がいた。
…とりあえず寝かせておくか…。
と、水筒を持って、テントの外に出る。
今日も綺麗に晴れており、青い空と壮大な草原が広がる。
「ん~…!」
っと身体を伸ばし、水筒の水を飲む。
「我に従属せし者よアテーリアの名に誓い顕現せよ我の名はクルス・ラディクール!」
出発の準備をするため、我が召喚獣、馬のオルフェも呼び寄せる。
「ヒヒ~ン!」
「おはよう。オルフェ。しっかり休めたか?」
「ヒヒ~ンヒヒ~ン♪」
オルフェは絶好調のようで今日もご機嫌だ。
「ん…。…出発するのか…?」
すると、オルフェの声に起きたのか、コルトもテントから出てきた。
「うん。ご飯を食べたら出発だ。」
今日はハイバイソンのサンドイッチにしよう。
と鞄から取り出す。
デランさんから貰ったソースもある。
「ん~…このソースうまいなぁ~…。」
「やはり…むぐっ…うまいな…はむっ…そのソースはクルスは作れないのか?」
「秘伝のソースなんだって。大切に使わないとな。」
「はむっ…そうなのか…むぐっ……ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…」
コルトはサンドイッチを勢い良く食べ、水を飲む。
「ゴクッ…ん?クルス。水が少しぬるいぞ。」
コルトはそう言って水筒を渡してきた。
「ん?…そうか。」
俺は渡された水筒を受け取ると、魔法「ヒンヤリ」をかける。
これは水に使うと、ちょうどいいひんやりとした温度にすることができる魔法だ。
「…というか、この魔法はコルトも出来るはずだぞ?」
「ん?わたしは水の魔法はできんと言ったであろう。」
「これは水の魔法じゃなくて火の魔法なんだ。熱量を減少させるやつだし…。」
「ねつりょう…?…ふん。…クルスが出来るのであればクルスがやればよい。」
「えー…」
と思いつつ、まぁこれくらいなら別にいいかと水を冷やし終えた水筒をコルトに渡す。
「ゴクッ…ゴクッ…プハッ…ふむ。やはり冷たい方がうまいのうっ。」
「…そうだな。」
食事も終えたので後かたずけをし、荷をオルフェにくくりつけ、出発する。
「よし。オルフェ、出発だ!」
「ヒヒ~ン!」
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
オルフェは今日も軽快に走る。
「お、道端に石ころが…エアカッター!」
ちなみに黙って乗っているのもあれなので、コルトのMPを借りて魔法を飛ばしながら進む。
\ピコーン/
スキル
・魔力操作LvLv51 → 52 (1UP)
修行にもなるので一石二鳥だ。
「クルス…わたしのMPを使ったのだから次の食事の時はクルスの血を頂くからな。」
「わかってるよー…。少しだけだからな…。」
「くっくっく。」
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
「う~ん…今日もどこにも着かなかったな…」
「そんなことよりクルス…早く腕を出せ。血が飲めないであろう。」
「取引の内容…舐めるだけじゃなったっけ…?」
「そんなもの同じだ。」
「えー…あんまり飲むと貧血になるって言って…」
ガブゥッ
「いったぁ~!まだ話してただろ!?」
「ん?気にするでない。」
「…そういうのはこっちが言うんだと思うんだ…。」
…
……
………
その後もオルフェの乗って走り続けたが、翌日も、そのまた翌日も街には辿りつかなかった。
「はい。コルトの分。」
「ん?このパンは何も入っておらんぞ?」
「もうこの何も入ってないパン6個しかない。」
「な…っ!なんだと…?」
移動中は1日2食で旅をしてきたのだが、あとパン6個…。
3食分だ…。
水は少ないけど、一応俺の魔法で作ることができるので大丈夫なのだが…
やっぱり…
「…腹…減ったな…。」
「はぁ…しかし他の者も道におらぬし…この先にほんとうに人の街があるのか…?」
「え!?…今さらそんな不安になるようなこと言うなよ~…。」
「ふん。人のことなのだからクルスにまかせた。…はむっ…はぐっ……このパンは硬いのだな…」
コルトはそう言ってパンを食べ始めた。
「…まぁその分日持ちするんだ。」
「そうなのか…はむっ…ゴクッ…ゴクッ…」
「…今さら戻れないし、このまま進むしかないな…。…はぐっ…かたっ!…ゴクッ…ゴクッ…」
…
……
………
翌朝、
「今日街に着かないと食糧がなくなっちゃうな…。」
「行くしかないのであろう?」
「…まぁ…そうだな…」
と、オルフェに乗り再び出発する。
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
しかし、今日も一向に街らしきものの影も形も見えない…
そろそろ日が傾いてきたな…と思っていると、
「ん?クルス。あそこになにかあるぞ?」
コルトがそう言い指さした方向を見ると、一軒の建物があった。
おお?ついに街か?
と思い近づく。
カッポカッポカッポ…
「結構年季入ってるな…」
手入れがあまりされてないのか結構ボロい…。
誰かいたりするかな~…と建物の周りを見る。
「お?裏手に馬車がとめてある!誰かいるかも!」
すると、建物の裏手に馬車がとめてあったので、その場所に俺もオルフェを繋ぎ、建物の中に入って見ることにした。
「ごめんくださ~い…」
誰かいてほしいという期待と、怖い人だったらやばいかもという不安の中、静かに建物の中に入る。
「ん?旅の方かい?ってまだ子供だね。」
すると、中にいた男性がそう答えてくれた。
男性の横にはもう1人の男の人がいる。
親子のように見える。
「すみません。ここは…。」
「ん?ここかい?ここは旅の人用の休憩所だよ。外に看板があったろう。」
「父さん、たしか…看板は壊れてたよ。」
さっきの男性の横にいた男の人がそう答える。
やはり親子のようだ。
「ああ…そうだったか…。昔はここも綺麗だったんだがなぁ…。あんたらどこから来たんだい?まぁ中に入りなさい。」
「あ、はい。…コルト、中に入ってもいいみたいだ。」
「ふむ。そうか。」
どうやら旅の休憩所のようだ。
久々に人に会ったので少し安堵しながら中に入る。
「こんばんわ。僕たちはラバンの街から旅をしているところで…」
「ほう…そうか。ラバンの街か。…横のお嬢さんはお姉さんか?あんまり似てないが…」
父親の男性は首をひねりながらそう言う。
「ええ。そのようなものです。」
コルトはなんだか微妙ににやりとしながらそう答える。
「俺たちはこの先の街から来てな…。領都スイフに出稼ぎに行くところなんだ。」
おお!この先の街!
どうやらやっぱり街があるようだ。
とちょっと安心する。
「へ~!そうなんですか!僕たちも領都スイフに行くところなんですよ!」
「ええ!?…だったらあんたら…逆方向だぞ…?」
「あ…ええ…。そうですね…。」
「だ…大丈夫か…?」
「え…ええ…。ちょっと寄り道をしていくことにしまして…。」
「そ…そうなのか…。しかしこの先の街までまだいくぶんかあるぞ…?…食糧はあるのかい…?」
「あ…それがもう無くて…」
「えぇ…。あんたらほんと大丈夫なのかい…?」
「あ…ええっと…。」
「…まぁ…飯でも食べるか…。一緒に食べよう…。」
「す…すみません…気を使って頂いて…。」
その後、気を使ってもらい一緒にご飯を食べることにした。
ご飯は親子が持っていた鍋で野菜とキノコのスープを作ってもらったのを一緒に食べた。
パンも2個くれた…いい人…。
「ゴクッ…ゴクッ…はむっ…うま…。」
「コルトさんは食べっぷりがいいな!」
…
……
………
食事をしながら雑談を交わす。
この親子はこの先にある、ラグラスという街から来たそうだ。
昔はとても栄えていたんだけど、今はからっきしみたいで、出稼ぎに行くようだ。
「そうだ。俺の家はラグラスでアメリー亭っていう宿屋をやってるんだ。よかったら泊まっていってくれな。」
「ありがとうございます!是非泊まらせてもらいます!」
「しかし、ラグラスに行っても今はあんまり儲からないぞ?」
「お金はほしいですが…いろんなところに行ってみたいなと思って冒険者になったので…」
「はっはっは!そうか。まぁ街に着いたらゆっくりしていってくれな。ここから馬車で3日ほどだ。君の馬ならもう少し早く着くかもな。」
「そうですね!」
「それから…これはうちの宿に泊まってくれる礼だ。」
「あ…これは…」
「はっはっは!気にすることはない。」
そう言って、その親子は俺たちにパンを6個くれた。
「あ…ありがとうございます!」
…
……
………
翌朝、
「本当にいろいろして頂いて…。」
「はっはっは!元気にな。君は口調がなんだか固い時があるな…。」
「宿に着いたら、奥さんにもお礼を言っておきます!お元気で!」
こんないい人がいるのか…と、思いつつ、
食糧って大事だな…と少し反省し次の街ラグラスに向けて出発することにした。
馬車で3日ならオルフェなら明日には着くかもな…。
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
そして、俺たちは再びオルフェに乗って走り続けた。
景色は相変わらず草原だが、道の片側は山が連なっている。
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
休憩所を出発して2日後…、
「お…?あれ…街じゃないか!?」
「ほう…そうだな…。」
山の麓に広がるように建物が立ち並ぶ街を発見した。
カッポカッポカッポ…
ゆっくりと門に近づく。
カッポカッポカッポ…
門に近づくと、「ラグラスの街へようこそ!」と書かれていた。
カッポカッポカッポ…
「こんにちわ。旅の方ですか?」
門に近づくと、門の手前に受付のようなもがあり、近くにいた衛兵のような人が話しかけてきた。
「こんにちわ。はい。冒険者で…」
「そうですか。冒険者の方は久しぶりですね…。あちらで街に入る手続きをお願いします。」
そう言われ、案内された手続き受付の場所に行く。
「こんにちわ。街に入りたいのですが…。」
「こんにちわ。身分証などはお持ちですか?」
「あ、はい。」
そう言われ、冒険者ギルドカードを渡す。
「冒険者の方ですね?少々お待ちください……はい。問題ありません。こちらお返しします。」
受付の人はギルドカードを受付台の下あたりでなにかゴソゴソした後、そう言って、カードを俺に返した。
「ありがとうございます。」
「お一人ですか?」
「いえ、二人です。」
人数を聞かれたので、俺の後ろにいるコルトを指さしながらそう答える。
…あ…ステータス確認されたらどうしよう…。
「かしこまりました。それでは入場税お二人で2,000ガル頂きます。10日以上街に滞在する場合、同額を再び納付するか、冒険者ギルドでのクエストを達成する必要がありますのでお気を付けください。」
「はい。わかりました。」
よかった…。
一人が身分証持ってればOKなのかな…。
街によって違うのだろうか…。
少しほっとしながら入場税を払い、街に入ることにした。
街に入ってからはオルフェから降りて、歩く。
「ええっと…たしか冒険者ギルドのすぐ近くって言ってたな…。」
俺たちはとりあえず、休憩所で紹介された宿屋アメリー亭というところに向かうことにした。
…
……
………
「お、冒険者ギルドだ!…結構大きいな…。ラバンの街のギルドより大きいかも…。」
「ほう。…しかしその割に人が少ないな…。」
「…そうだな…。」
なんだか街の施設の割に活気がない…。
何があったんだろう…と思いつつも宿屋を目指す。
…
……
冒険者ギルドから歩くこと5分。
「アメリー亭」と書かれた看板を見つけた。
「お、あったぞ!」
「これでうまいものが食べられるのだな?」
「…そうだといいけど…。」
ギイッ…
カランカラ~ンッ
「は~い。いらっしゃ~い。」
------------------------------------------------------------------------
瞼の外に光を感じる。
朝のようだ…。
昨日は結構早く寝床に入り、いつの間にか眠りに落ちてわりとぐっすり眠っていたようだ。
旅立ち初日だし疲れていたのかな…。
よし、と目を開け起床する。
「スゥ……スゥ……スゥ……」
となりではいまだ気持ち良さそうに眠っている女性がいた。
…とりあえず寝かせておくか…。
と、水筒を持って、テントの外に出る。
今日も綺麗に晴れており、青い空と壮大な草原が広がる。
「ん~…!」
っと身体を伸ばし、水筒の水を飲む。
「我に従属せし者よアテーリアの名に誓い顕現せよ我の名はクルス・ラディクール!」
出発の準備をするため、我が召喚獣、馬のオルフェも呼び寄せる。
「ヒヒ~ン!」
「おはよう。オルフェ。しっかり休めたか?」
「ヒヒ~ンヒヒ~ン♪」
オルフェは絶好調のようで今日もご機嫌だ。
「ん…。…出発するのか…?」
すると、オルフェの声に起きたのか、コルトもテントから出てきた。
「うん。ご飯を食べたら出発だ。」
今日はハイバイソンのサンドイッチにしよう。
と鞄から取り出す。
デランさんから貰ったソースもある。
「ん~…このソースうまいなぁ~…。」
「やはり…むぐっ…うまいな…はむっ…そのソースはクルスは作れないのか?」
「秘伝のソースなんだって。大切に使わないとな。」
「はむっ…そうなのか…むぐっ……ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…」
コルトはサンドイッチを勢い良く食べ、水を飲む。
「ゴクッ…ん?クルス。水が少しぬるいぞ。」
コルトはそう言って水筒を渡してきた。
「ん?…そうか。」
俺は渡された水筒を受け取ると、魔法「ヒンヤリ」をかける。
これは水に使うと、ちょうどいいひんやりとした温度にすることができる魔法だ。
「…というか、この魔法はコルトも出来るはずだぞ?」
「ん?わたしは水の魔法はできんと言ったであろう。」
「これは水の魔法じゃなくて火の魔法なんだ。熱量を減少させるやつだし…。」
「ねつりょう…?…ふん。…クルスが出来るのであればクルスがやればよい。」
「えー…」
と思いつつ、まぁこれくらいなら別にいいかと水を冷やし終えた水筒をコルトに渡す。
「ゴクッ…ゴクッ…プハッ…ふむ。やはり冷たい方がうまいのうっ。」
「…そうだな。」
食事も終えたので後かたずけをし、荷をオルフェにくくりつけ、出発する。
「よし。オルフェ、出発だ!」
「ヒヒ~ン!」
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
オルフェは今日も軽快に走る。
「お、道端に石ころが…エアカッター!」
ちなみに黙って乗っているのもあれなので、コルトのMPを借りて魔法を飛ばしながら進む。
\ピコーン/
スキル
・魔力操作LvLv51 → 52 (1UP)
修行にもなるので一石二鳥だ。
「クルス…わたしのMPを使ったのだから次の食事の時はクルスの血を頂くからな。」
「わかってるよー…。少しだけだからな…。」
「くっくっく。」
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
「う~ん…今日もどこにも着かなかったな…」
「そんなことよりクルス…早く腕を出せ。血が飲めないであろう。」
「取引の内容…舐めるだけじゃなったっけ…?」
「そんなもの同じだ。」
「えー…あんまり飲むと貧血になるって言って…」
ガブゥッ
「いったぁ~!まだ話してただろ!?」
「ん?気にするでない。」
「…そういうのはこっちが言うんだと思うんだ…。」
…
……
………
その後もオルフェの乗って走り続けたが、翌日も、そのまた翌日も街には辿りつかなかった。
「はい。コルトの分。」
「ん?このパンは何も入っておらんぞ?」
「もうこの何も入ってないパン6個しかない。」
「な…っ!なんだと…?」
移動中は1日2食で旅をしてきたのだが、あとパン6個…。
3食分だ…。
水は少ないけど、一応俺の魔法で作ることができるので大丈夫なのだが…
やっぱり…
「…腹…減ったな…。」
「はぁ…しかし他の者も道におらぬし…この先にほんとうに人の街があるのか…?」
「え!?…今さらそんな不安になるようなこと言うなよ~…。」
「ふん。人のことなのだからクルスにまかせた。…はむっ…はぐっ……このパンは硬いのだな…」
コルトはそう言ってパンを食べ始めた。
「…まぁその分日持ちするんだ。」
「そうなのか…はむっ…ゴクッ…ゴクッ…」
「…今さら戻れないし、このまま進むしかないな…。…はぐっ…かたっ!…ゴクッ…ゴクッ…」
…
……
………
翌朝、
「今日街に着かないと食糧がなくなっちゃうな…。」
「行くしかないのであろう?」
「…まぁ…そうだな…」
と、オルフェに乗り再び出発する。
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
しかし、今日も一向に街らしきものの影も形も見えない…
そろそろ日が傾いてきたな…と思っていると、
「ん?クルス。あそこになにかあるぞ?」
コルトがそう言い指さした方向を見ると、一軒の建物があった。
おお?ついに街か?
と思い近づく。
カッポカッポカッポ…
「結構年季入ってるな…」
手入れがあまりされてないのか結構ボロい…。
誰かいたりするかな~…と建物の周りを見る。
「お?裏手に馬車がとめてある!誰かいるかも!」
すると、建物の裏手に馬車がとめてあったので、その場所に俺もオルフェを繋ぎ、建物の中に入って見ることにした。
「ごめんくださ~い…」
誰かいてほしいという期待と、怖い人だったらやばいかもという不安の中、静かに建物の中に入る。
「ん?旅の方かい?ってまだ子供だね。」
すると、中にいた男性がそう答えてくれた。
男性の横にはもう1人の男の人がいる。
親子のように見える。
「すみません。ここは…。」
「ん?ここかい?ここは旅の人用の休憩所だよ。外に看板があったろう。」
「父さん、たしか…看板は壊れてたよ。」
さっきの男性の横にいた男の人がそう答える。
やはり親子のようだ。
「ああ…そうだったか…。昔はここも綺麗だったんだがなぁ…。あんたらどこから来たんだい?まぁ中に入りなさい。」
「あ、はい。…コルト、中に入ってもいいみたいだ。」
「ふむ。そうか。」
どうやら旅の休憩所のようだ。
久々に人に会ったので少し安堵しながら中に入る。
「こんばんわ。僕たちはラバンの街から旅をしているところで…」
「ほう…そうか。ラバンの街か。…横のお嬢さんはお姉さんか?あんまり似てないが…」
父親の男性は首をひねりながらそう言う。
「ええ。そのようなものです。」
コルトはなんだか微妙ににやりとしながらそう答える。
「俺たちはこの先の街から来てな…。領都スイフに出稼ぎに行くところなんだ。」
おお!この先の街!
どうやらやっぱり街があるようだ。
とちょっと安心する。
「へ~!そうなんですか!僕たちも領都スイフに行くところなんですよ!」
「ええ!?…だったらあんたら…逆方向だぞ…?」
「あ…ええ…。そうですね…。」
「だ…大丈夫か…?」
「え…ええ…。ちょっと寄り道をしていくことにしまして…。」
「そ…そうなのか…。しかしこの先の街までまだいくぶんかあるぞ…?…食糧はあるのかい…?」
「あ…それがもう無くて…」
「えぇ…。あんたらほんと大丈夫なのかい…?」
「あ…ええっと…。」
「…まぁ…飯でも食べるか…。一緒に食べよう…。」
「す…すみません…気を使って頂いて…。」
その後、気を使ってもらい一緒にご飯を食べることにした。
ご飯は親子が持っていた鍋で野菜とキノコのスープを作ってもらったのを一緒に食べた。
パンも2個くれた…いい人…。
「ゴクッ…ゴクッ…はむっ…うま…。」
「コルトさんは食べっぷりがいいな!」
…
……
………
食事をしながら雑談を交わす。
この親子はこの先にある、ラグラスという街から来たそうだ。
昔はとても栄えていたんだけど、今はからっきしみたいで、出稼ぎに行くようだ。
「そうだ。俺の家はラグラスでアメリー亭っていう宿屋をやってるんだ。よかったら泊まっていってくれな。」
「ありがとうございます!是非泊まらせてもらいます!」
「しかし、ラグラスに行っても今はあんまり儲からないぞ?」
「お金はほしいですが…いろんなところに行ってみたいなと思って冒険者になったので…」
「はっはっは!そうか。まぁ街に着いたらゆっくりしていってくれな。ここから馬車で3日ほどだ。君の馬ならもう少し早く着くかもな。」
「そうですね!」
「それから…これはうちの宿に泊まってくれる礼だ。」
「あ…これは…」
「はっはっは!気にすることはない。」
そう言って、その親子は俺たちにパンを6個くれた。
「あ…ありがとうございます!」
…
……
………
翌朝、
「本当にいろいろして頂いて…。」
「はっはっは!元気にな。君は口調がなんだか固い時があるな…。」
「宿に着いたら、奥さんにもお礼を言っておきます!お元気で!」
こんないい人がいるのか…と、思いつつ、
食糧って大事だな…と少し反省し次の街ラグラスに向けて出発することにした。
馬車で3日ならオルフェなら明日には着くかもな…。
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
そして、俺たちは再びオルフェに乗って走り続けた。
景色は相変わらず草原だが、道の片側は山が連なっている。
パカラッ…パカラッ…パカラッ…
パカラッ…パカラッ…パカラッ…パカラッ…
休憩所を出発して2日後…、
「お…?あれ…街じゃないか!?」
「ほう…そうだな…。」
山の麓に広がるように建物が立ち並ぶ街を発見した。
カッポカッポカッポ…
ゆっくりと門に近づく。
カッポカッポカッポ…
門に近づくと、「ラグラスの街へようこそ!」と書かれていた。
カッポカッポカッポ…
「こんにちわ。旅の方ですか?」
門に近づくと、門の手前に受付のようなもがあり、近くにいた衛兵のような人が話しかけてきた。
「こんにちわ。はい。冒険者で…」
「そうですか。冒険者の方は久しぶりですね…。あちらで街に入る手続きをお願いします。」
そう言われ、案内された手続き受付の場所に行く。
「こんにちわ。街に入りたいのですが…。」
「こんにちわ。身分証などはお持ちですか?」
「あ、はい。」
そう言われ、冒険者ギルドカードを渡す。
「冒険者の方ですね?少々お待ちください……はい。問題ありません。こちらお返しします。」
受付の人はギルドカードを受付台の下あたりでなにかゴソゴソした後、そう言って、カードを俺に返した。
「ありがとうございます。」
「お一人ですか?」
「いえ、二人です。」
人数を聞かれたので、俺の後ろにいるコルトを指さしながらそう答える。
…あ…ステータス確認されたらどうしよう…。
「かしこまりました。それでは入場税お二人で2,000ガル頂きます。10日以上街に滞在する場合、同額を再び納付するか、冒険者ギルドでのクエストを達成する必要がありますのでお気を付けください。」
「はい。わかりました。」
よかった…。
一人が身分証持ってればOKなのかな…。
街によって違うのだろうか…。
少しほっとしながら入場税を払い、街に入ることにした。
街に入ってからはオルフェから降りて、歩く。
「ええっと…たしか冒険者ギルドのすぐ近くって言ってたな…。」
俺たちはとりあえず、休憩所で紹介された宿屋アメリー亭というところに向かうことにした。
…
……
………
「お、冒険者ギルドだ!…結構大きいな…。ラバンの街のギルドより大きいかも…。」
「ほう。…しかしその割に人が少ないな…。」
「…そうだな…。」
なんだか街の施設の割に活気がない…。
何があったんだろう…と思いつつも宿屋を目指す。
…
……
冒険者ギルドから歩くこと5分。
「アメリー亭」と書かれた看板を見つけた。
「お、あったぞ!」
「これでうまいものが食べられるのだな?」
「…そうだといいけど…。」
ギイッ…
カランカラ~ンッ
「は~い。いらっしゃ~い。」
------------------------------------------------------------------------
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(35件)
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました
たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。
「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」
どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。
彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。
幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。
記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。
新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。
この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。
主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。
※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。

続きまだですか?凄い楽しみにしてます。
お読み頂きありがとうございます!
世界観としては中世ヨーロッパのような感じです。
主人公クルスが水魔法で水は確保できるという点と、魔物を狩ればなんとかなるかもという楽観的な感じで移動してしまった!
というお話でした!
お読み頂きありがとうございます!
修正しました!