【完結・R18】もう、少しだけ…

久我

あれから数か月…夏木とは完全に切れた。

夏木からの慰謝料も毎月滞りなく支払われているからか、最近直美もすこぶる機嫌がいい。
美容に金をつぎ込み出したのか、少し痩せたか…？
肌艶が良く見えるのは気のせいだろうか。　
ふんふんと、楽しそうに鼻歌を歌っている日もあるくらいだ…。

まあ、妻の機嫌が良いに越したことはない。

とにかく全て、解決した。

もう二度と、不倫などしない…絶対に、するものか…
結婚前から貯めていた貯金が、あれよあれよと、慰謝料に消えていく…。

それでもまあ…　マシな方だ…。

過去に、不倫の事実が明るみに出て、妻から離婚を言い渡され、慰謝料も請求され…挙句、退職に追い込まれた同僚だっていたくらいだ。

それに比べて、俺は慰謝料のみの負担…
これくらいのことは、当然、甘受すべきだ。

本当に、会社の誰にもバレずに、助かった…
金は多少かかったものの、このようなある意味で穏便ともいえる解決の道を示してくれて、直美に感謝しているくらいだ…。

そう思っていた矢先のことだった。

俺はある朝、自分のデスクパソコンに目立たないように挟まれた一枚の白い封筒に気付いた。

「…　　なんだ…　？」　

不思議に思い、恐る恐る中を開くと、一瞬…

　　　…息が止まりそうになった…
　　
思わず周りを確認するが、早朝のせいか、誰もいない…

「…　…　…　何　…　…　…」

中に、数枚の写真と…　小さな便せん…。

なんだ、この写真…　　　

夏木の家のドアの前…？　ホテルの前…で…

俺と夏木が寄り添ういくつかの写真が、封筒の中から、ちらりと覗いていた…

なんで、今更…　　　一体、誰が…　　　なんの、ために…　

突如、　俺の目の前は、真っ暗になった…