【完結】来世のあなたの願いは

もえこ

文字の大きさ
1 / 1

青い空に

しおりを挟む
ああ…なんだかもう…眠たくなってきた…


僕…最近あんまり…力が出ないんだ…

起きようとしても、全然力が出ないし…頑張って動いても、なんだか身体が…痛い…。

お腹が空いた…喉も渇いた…

いつからかずっと、そんな風に感じていて、言葉にももちろん出した…つもりなんだけど…

「お腹空いた…」って、ここからお母さんに…お父さんに…何度も言ったけど…

もしかして僕の声が聞こえて…いないのかな…
そもそも、僕の声…本当に…、出ているのかな…
それももう…よく、わかんないや…


今日だって、
僕の寝ている布団のところから、向こうで…みんなで楽しく、ご飯を食べている姿が見える…。
ユカちゃん…僕の2つ上のお姉ちゃん…は、そこで一緒に笑ってる…

ワイワイワイワイ … 楽しそうで…いいな…仲間に入れて欲しい…


なんで僕だけ…こんなに…こんなに…  

ああ…僕はもしかして…本当は山か川かどこかで…拾われてきただけの…子供…なのかな


お腹空いた… 喉が渇いた… 

前は、
お母さんと…もっとお話したい…夜には…本を読んで欲しい…
お父さんと外で遊びたい…砂場で遊んで欲しい…三輪車に…乗れるようになりたい…

そう、願っていたけど…無理みたいだから、今は贅沢は言わない…


ただ…ただただ…


お腹が空いた…


寂しい…


僕はいつだって、一人ぼっちだ… ずっと…誰ともお話…していない…

なんでだろう…どうして…僕はどうして…この世界に生まれてきたのかな…

神様がいるなら…いつかそう、聞いてみたい…。

『僕の生まれた意味って…あったの?』

ああ…眠い…もう…無理みたいだ…僕は死んじゃう…

              さようなら…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

突如…光が僕の前を照らした…眩しいくらいの沢山の光の粒…

…僕の目の前に、白い綺麗な服をまとった、綺麗なお姉さんが現れた…。

『こんにちは…達也君…。君…まだこんなに小さいのに…ものすごく、頑張ったね…』

その女の人は…僕の頭を優しくなでて…ぎゅうっと…抱き締めてくれた。

お姉さんは暖かくて…僕のほっぺたに…涙がこぼれた…

僕は今まで泣かなかったけど…お姉さんの胸の中で、わあわあ泣いた。

お姉さんが僕の頭を撫でながら聞いてきた。

『私は…不幸の神様なの…あなたはこの世界で、とても悲しい思いをした…不幸だった…。だからね…一つだけ、お願いを聞いてあげることになってるの…。』

その神様と名乗るお姉さんは涙を流しながら、僕に問う。

『君…達也君は、なにになりたい…?生まれ変わったら…なにに、なりたい…?お姉さんに教えて…願いを一つだけ叶えてあげる…』


僕は…僕は…一生懸命、考える…。

考えて、
「僕…そらに…そらになりたい…」僕は答えた。

『え…?達也君…何でもいいんだよ…?現世で不幸だった分、来世ではなんにでもなれるよ…?お金持ちの会社社長でも…悪い人をつかまえる警察官でも…本当に何でも…ね…そうしたら、ご飯もいっぱい食べられるよ…ね…もう一度ゆっくり考えてごらん…お姉さん、待つから…』

もう一度考える。やっぱり僕は…

「僕…やっぱり空になりたい…」そう答えると、今度はお姉さんが、わあわあ泣きながら、僕に問う。

      『…どうして…?』

「僕はもう、邪魔な存在になりたくない…誰のじゃまにもならない…でも、絶対に必要なもの。空腹も痛みもない…あの…空になりたい…。青空…曇り空…夕焼け空…星空…僕みたいに…どこかで一人…寂しく生きている誰かを…癒せるような綺麗でどこまでも広い空の一部に、僕はなりたい。僕…本当に、それでいいの…」

『…あのね…達也君は邪魔になんてなってないんだよ…この世界に必要だから生まれてきたんだよ…だから達也君にそう思わせてしまった周りが悪いに決まってるの…だから、自分が邪魔な存在だなんて、思わないで…。

…でも…そっか…わかった…そうだね…、

空なら…お姉さんとも友達になれるね…!私は空の上にいていつも君を見ているから…ずっと一緒だよ…!』

お姉さんの声がうっすらと聞こえた後、

目を開けて居られないほどのまばゆい光が不思議な音とともに…僕とお姉さん二人を包み込んだ…

      …  ぱあああぁ … 


こうして僕は、空の一部になった。

空腹もない…寂しくもない…

空には、きらびやかに光る星や月…これは内緒だけどウサギ…あと、優しいお姉さんもいる…

僕はこうやって、幸せをつかんだ。 



今…ひとり悲しい思いをしている人は…ゆっくり深呼吸をして…空を見上げて欲しい…

               

大丈夫…
  
  僕は…僕だけは絶対、君の味方だ。      

                   
             

             おしまい






 






































しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

処理中です...