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青い空に
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ああ…なんだかもう…眠たくなってきた…
僕…最近あんまり…力が出ないんだ…
起きようとしても、全然力が出ないし…頑張って動いても、なんだか身体が…痛い…。
お腹が空いた…喉も渇いた…
いつからかずっと、そんな風に感じていて、言葉にももちろん出した…つもりなんだけど…
「お腹空いた…」って、ここからお母さんに…お父さんに…何度も言ったけど…
もしかして僕の声が聞こえて…いないのかな…
そもそも、僕の声…本当に…、出ているのかな…
それももう…よく、わかんないや…
今日だって、
僕の寝ている布団のところから、向こうで…みんなで楽しく、ご飯を食べている姿が見える…。
ユカちゃん…僕の2つ上のお姉ちゃん…は、そこで一緒に笑ってる…
ワイワイワイワイ … 楽しそうで…いいな…仲間に入れて欲しい…
なんで僕だけ…こんなに…こんなに…
ああ…僕はもしかして…本当は山か川かどこかで…拾われてきただけの…子供…なのかな
お腹空いた… 喉が渇いた…
前は、
お母さんと…もっとお話したい…夜には…本を読んで欲しい…
お父さんと外で遊びたい…砂場で遊んで欲しい…三輪車に…乗れるようになりたい…
そう、願っていたけど…無理みたいだから、今は贅沢は言わない…
ただ…ただただ…
お腹が空いた…
寂しい…
僕はいつだって、一人ぼっちだ… ずっと…誰ともお話…していない…
なんでだろう…どうして…僕はどうして…この世界に生まれてきたのかな…
神様がいるなら…いつかそう、聞いてみたい…。
『僕の生まれた意味って…あったの?』
ああ…眠い…もう…無理みたいだ…僕は死んじゃう…
さようなら…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
突如…光が僕の前を照らした…眩しいくらいの沢山の光の粒…
…僕の目の前に、白い綺麗な服をまとった、綺麗なお姉さんが現れた…。
『こんにちは…達也君…。君…まだこんなに小さいのに…ものすごく、頑張ったね…』
その女の人は…僕の頭を優しくなでて…ぎゅうっと…抱き締めてくれた。
お姉さんは暖かくて…僕のほっぺたに…涙がこぼれた…
僕は今まで泣かなかったけど…お姉さんの胸の中で、わあわあ泣いた。
お姉さんが僕の頭を撫でながら聞いてきた。
『私は…不幸の神様なの…あなたはこの世界で、とても悲しい思いをした…不幸だった…。だからね…一つだけ、お願いを聞いてあげることになってるの…。』
その神様と名乗るお姉さんは涙を流しながら、僕に問う。
『君…達也君は、なにになりたい…?生まれ変わったら…なにに、なりたい…?お姉さんに教えて…願いを一つだけ叶えてあげる…』
僕は…僕は…一生懸命、考える…。
考えて、
「僕…そらに…そらになりたい…」僕は答えた。
『え…?達也君…何でもいいんだよ…?現世で不幸だった分、来世ではなんにでもなれるよ…?お金持ちの会社社長でも…悪い人をつかまえる警察官でも…本当に何でも…ね…そうしたら、ご飯もいっぱい食べられるよ…ね…もう一度ゆっくり考えてごらん…お姉さん、待つから…』
もう一度考える。やっぱり僕は…
「僕…やっぱり空になりたい…」そう答えると、今度はお姉さんが、わあわあ泣きながら、僕に問う。
『…どうして…?』
「僕はもう、邪魔な存在になりたくない…誰のじゃまにもならない…でも、絶対に必要なもの。空腹も痛みもない…あの…空になりたい…。青空…曇り空…夕焼け空…星空…僕みたいに…どこかで一人…寂しく生きている誰かを…癒せるような綺麗でどこまでも広い空の一部に、僕はなりたい。僕…本当に、それでいいの…」
『…あのね…達也君は邪魔になんてなってないんだよ…この世界に必要だから生まれてきたんだよ…だから達也君にそう思わせてしまった周りが悪いに決まってるの…だから、自分が邪魔な存在だなんて、思わないで…。
…でも…そっか…わかった…そうだね…、
空なら…お姉さんとも友達になれるね…!私は空の上にいていつも君を見ているから…ずっと一緒だよ…!』
お姉さんの声がうっすらと聞こえた後、
目を開けて居られないほどのまばゆい光が不思議な音とともに…僕とお姉さん二人を包み込んだ…
… ぱあああぁ …
こうして僕は、空の一部になった。
空腹もない…寂しくもない…
空には、きらびやかに光る星や月…これは内緒だけどウサギ…あと、優しいお姉さんもいる…
僕はこうやって、幸せをつかんだ。
今…ひとり悲しい思いをしている人は…ゆっくり深呼吸をして…空を見上げて欲しい…
大丈夫…
僕は…僕だけは絶対、君の味方だ。
おしまい
僕…最近あんまり…力が出ないんだ…
起きようとしても、全然力が出ないし…頑張って動いても、なんだか身体が…痛い…。
お腹が空いた…喉も渇いた…
いつからかずっと、そんな風に感じていて、言葉にももちろん出した…つもりなんだけど…
「お腹空いた…」って、ここからお母さんに…お父さんに…何度も言ったけど…
もしかして僕の声が聞こえて…いないのかな…
そもそも、僕の声…本当に…、出ているのかな…
それももう…よく、わかんないや…
今日だって、
僕の寝ている布団のところから、向こうで…みんなで楽しく、ご飯を食べている姿が見える…。
ユカちゃん…僕の2つ上のお姉ちゃん…は、そこで一緒に笑ってる…
ワイワイワイワイ … 楽しそうで…いいな…仲間に入れて欲しい…
なんで僕だけ…こんなに…こんなに…
ああ…僕はもしかして…本当は山か川かどこかで…拾われてきただけの…子供…なのかな
お腹空いた… 喉が渇いた…
前は、
お母さんと…もっとお話したい…夜には…本を読んで欲しい…
お父さんと外で遊びたい…砂場で遊んで欲しい…三輪車に…乗れるようになりたい…
そう、願っていたけど…無理みたいだから、今は贅沢は言わない…
ただ…ただただ…
お腹が空いた…
寂しい…
僕はいつだって、一人ぼっちだ… ずっと…誰ともお話…していない…
なんでだろう…どうして…僕はどうして…この世界に生まれてきたのかな…
神様がいるなら…いつかそう、聞いてみたい…。
『僕の生まれた意味って…あったの?』
ああ…眠い…もう…無理みたいだ…僕は死んじゃう…
さようなら…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
突如…光が僕の前を照らした…眩しいくらいの沢山の光の粒…
…僕の目の前に、白い綺麗な服をまとった、綺麗なお姉さんが現れた…。
『こんにちは…達也君…。君…まだこんなに小さいのに…ものすごく、頑張ったね…』
その女の人は…僕の頭を優しくなでて…ぎゅうっと…抱き締めてくれた。
お姉さんは暖かくて…僕のほっぺたに…涙がこぼれた…
僕は今まで泣かなかったけど…お姉さんの胸の中で、わあわあ泣いた。
お姉さんが僕の頭を撫でながら聞いてきた。
『私は…不幸の神様なの…あなたはこの世界で、とても悲しい思いをした…不幸だった…。だからね…一つだけ、お願いを聞いてあげることになってるの…。』
その神様と名乗るお姉さんは涙を流しながら、僕に問う。
『君…達也君は、なにになりたい…?生まれ変わったら…なにに、なりたい…?お姉さんに教えて…願いを一つだけ叶えてあげる…』
僕は…僕は…一生懸命、考える…。
考えて、
「僕…そらに…そらになりたい…」僕は答えた。
『え…?達也君…何でもいいんだよ…?現世で不幸だった分、来世ではなんにでもなれるよ…?お金持ちの会社社長でも…悪い人をつかまえる警察官でも…本当に何でも…ね…そうしたら、ご飯もいっぱい食べられるよ…ね…もう一度ゆっくり考えてごらん…お姉さん、待つから…』
もう一度考える。やっぱり僕は…
「僕…やっぱり空になりたい…」そう答えると、今度はお姉さんが、わあわあ泣きながら、僕に問う。
『…どうして…?』
「僕はもう、邪魔な存在になりたくない…誰のじゃまにもならない…でも、絶対に必要なもの。空腹も痛みもない…あの…空になりたい…。青空…曇り空…夕焼け空…星空…僕みたいに…どこかで一人…寂しく生きている誰かを…癒せるような綺麗でどこまでも広い空の一部に、僕はなりたい。僕…本当に、それでいいの…」
『…あのね…達也君は邪魔になんてなってないんだよ…この世界に必要だから生まれてきたんだよ…だから達也君にそう思わせてしまった周りが悪いに決まってるの…だから、自分が邪魔な存在だなんて、思わないで…。
…でも…そっか…わかった…そうだね…、
空なら…お姉さんとも友達になれるね…!私は空の上にいていつも君を見ているから…ずっと一緒だよ…!』
お姉さんの声がうっすらと聞こえた後、
目を開けて居られないほどのまばゆい光が不思議な音とともに…僕とお姉さん二人を包み込んだ…
… ぱあああぁ …
こうして僕は、空の一部になった。
空腹もない…寂しくもない…
空には、きらびやかに光る星や月…これは内緒だけどウサギ…あと、優しいお姉さんもいる…
僕はこうやって、幸せをつかんだ。
今…ひとり悲しい思いをしている人は…ゆっくり深呼吸をして…空を見上げて欲しい…
大丈夫…
僕は…僕だけは絶対、君の味方だ。
おしまい
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