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よし… 今日も大丈夫だ…
真壁とは一度も、目を合わせていない…
もちろん、ただそこに居るだけで目立っちゃう奴だし、そもそも同じクラスだから…
奴の存在は、ひしひし感じてる。

文化祭の日まではごく普通のクラスメイトとして、真壁と接することが出来ていたのに…
あの夜のせいで…俺は真壁をまともに見ることができなくなっていた…

あの夜のことが、どうしても頭から離れてくれない…
舌をいやらしく、絡められ… 濃厚なキスをされた…
どんなに力を込めて奴を引き離そうとしても…全然…力が及ばず…ほぼ、酸欠状態…  
そのうえ、満月の夜に抱くぞ…っていう、真壁の意味不明な発言…

マジで、…今でもあれは夢だったんじゃないかって思えるほどに… 不可解だ…

そもそもあの、真壁に生えていたアレ…あのモフモフは、マジで… 耳…
獣の耳に、違いなかった… 
奴が言うように確かに…犬とか…狼とか、そういった類の耳… 

引っ張っても全然、取れなかった… 
んで、今はもちろん普通に、人間の耳…に戻っている真壁…

アイツ、もしかして本物の、狼男なのか… …?
イヤイヤイヤイヤ… ありえない…  そんなもの、この現代にいるわけがない…

だとしたら、あの耳は…どうやって…
んで、アイツのあの、信じられないくらいの、腕の力は…  なんだったんだ… 

「な~~葉山ちゅわん…久々に学食、行かね~?」
「っ…!」
考え事をしてる最中に突然声を掛けられ、心臓が跳ねる…また…田中、だ…

「…ちっ…田中、いい加減その、ちゃん、は、やめろ… 」俺は低い声でうなる。
「おお!こわこわ…わかったよ…冗談冗談、葉山、もし飯持ってきてないなら学食、行かね…?」
「ん…そだな… 行こっか…」

たまたま弁当がなくて、二人で久々に食堂へ向かったのだが…そこで…
なんでだよ… なんで、…?

真正面…に、よりにもよって、 真壁… ?

俺はその席を選んだ田中を、心から恨めしい気持ちで、睨んだ…    

早食い選手権じゃあないが、さっさと食べてそっこー、立ち去ろう… 

俺は密かに心にそう決めて、

      箸を荒々しく掴んだ…






















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