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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第15話:知り合いがスパイ!?託された機密
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「コッチ。コチアルヨ。」
そういって陣さんは俺に手を振った。
陣さんは日本語は、はっきり言って日本人と全く変わらないレベルだ。
ほとんどの人が言われないと陣さんが中国人だとはわからない。
ただ、日本人が考える中国人のカタコトの日本語 を挨拶代わりに使うのが好きだ。
おそらく陣さんの持ちネタなのだろう。
このような陣さんの取っつきやすさは、交流イベントで何度も助けられた。
「何ですか~、こんな早くにー。日本の公務員は忙しいんですよー、誰も読まないレポート書くのが大変なんですから」
俺も笑いながら陣さんに挨拶代わりの軽口をたたいた。
陣さんに対して、無駄なことしかしてない公務員ネタは鉄板なのだ。
「相変わらずだね。それで給料高いんだから幸せよ」
「いやいや、もらってるのは、キャリア組の上の人だけですよ。私なんか、娘よりお小遣い少ないのですから」
こんな冗談を交わしながら、俺は陣さんと歩いた。
どうやら陣さんは、外で話したいようだ。陣さんは日比谷公園に向かって歩きだした。
「ニュースは見たよね?」
「共産党の通告ですよね。驚きましたよ。正直言って、日本側の視点では残念ですし、今後が不安です」
俺はそれ以上今朝のニュースについて話さなかった。
日本人としては、中国共産党の横暴について言いたいことはたくさんある。
しかし、陣さんに文句を言っても仕方無いことだ。
しかも中国人は台湾について日本人にな想像できない複雑な感情を抱いている。あまり触れない方がいいのだ。
「中国人のみんなはどう想っているのですか」
「それは、人それぞれよ。拍手喝采する人もいれば、戦争を怖がる人もいるし……」
陣さんは肩をすくめながらそう答えた。まあ、陣さんもこの辺は突っ込んでこない。
公園を歩きながら他愛もない話をした。
しかし、 陣さんはどんな要事があるのか。俺は真意を図れずにいた。
平日の午前、しかも早い時間だ。人をまばらだった。
人が辺りにいない場所を選んだかのように陣さんは立ち止まるといたずらっぽい表情でこう話した。
「飛田さん、私本当は中国のスパイなんですよ」
「え、スパイ?急に何よりです言ってるんですか。ははは」
「日本人はみんな知らないだけでスパイなんてたくさんいますよ。中国人だけでなく」
「それは、知ってますよ。ただ、陣さんがスパイって急に言われても。スパイって大袈裟に言ってるだけで、ちょっと調べて中国政府に報告するくらいですよね?」
「私の仕事は、政治家や官僚にハニートラップを仕掛けることですよ」
先ほどまで、冗談混じりの顔だった陣さんは今までみたこともないほど真剣な表情を見せた。
「え、ハニートラップ??」
「真面目な飛田さんだから、ハニートラップがどんなものか知らないでしょ。実は飛田さんも何回か嵌めようとしましたが、飛田さん真面目すぎて全く引っ掛かりませんでしたよ」
「いやいや、私なんかトラップしたところで1円の得にもなりませんよ……」
いきなりスパイだ、ハニートラップだと言われて俺は状況が全く飲み込めず、自分を卑下することを口走った。
そんなことを言った直後、陣さんは急に俺の肩に手を回して、自分に引き寄せたあと、ポンポンと背中合わせを叩いた。そして、すぐ元の体勢に戻った。
「ちょ、何ですか、急に」
「誰か見てるかもだから、ポケットに手を入れないでくださいね。今飛田さんのポケットにSDカードを入れました。私や私の仲間がハニートラップした人のリストや証拠が保存されています」
「え、リスト??」
「そうです。結構偉い政治家の先生や官僚の方もいますよ。大スキャンダルですよ」
「い、いやいや、本当に?マジですか?本当にそうだとして、そんなの受け取れないですよ」
「飛田さんから、鶴見先生に渡して欲しいのです」
「え、鶴見先生?」
鶴見先生は衆議院のベテラン政治家で、俺は交流事業の運営で、何度かお世話になった。
ノンキャリの俺にも分け隔てなく接してくれる人格者で、なぜか俺のことを気に入ってくれている。
一度飲みに連れていってくれたとき、冗談混じりに秘書にならないかと誘ってくれた。
「そう、鶴見先生。鶴見先生なら、そのリスト上手く使ってくれるでしょう」
「なぜ、そんなことを??」
「一から説明しましょう。中国政府はアメリカのメッセージを読み間違えたのです。台湾を侵攻してもアメリカは手を出さないと。でも、実際のところ、アメリカは台湾を真珠湾にするつもりですよ」
「え、真珠湾??」
「日本人は祖国の歴史知らなすぎですね。真珠湾ですよ、日本が嵌められて奇襲した。アメリカは保守とリベラルの分断が深刻になり国力が低下しています」
「それは、そうですね。だから、台湾有事の際もアメリカは何もしないのではという見方が多いです」
「国内の問題を隠すために外に目を向けさせる。どんな時代、どこの国でもやることです。実はアメリカで台湾のプレゼンスは相当高まっているんですよ。そして、アメリカは保守だろうがリベラルだろうが民主主義の価値観がとても大事。民主主義の台湾が武力侵攻されれば、アメリカ人は烈火の如く怒るでしょう。国が一つにまとまるくらいに」
「しかし、真珠湾と違って、台湾はアメリカにとって別の国です。」
「そう、でも、台湾にはアメリカ人たくさん住んでます。アメリカは手遅れにならないうちに中国をやっつけたいのですよ。あと、五年もすれば軍事的にも中国にかなわなくなるのが明白です。その前に中国から仕掛けさせて、それを叩く。第二次世界対戦で日本にしたことと同じです」
陣さんが、こんな知識と洞察力を持っているとは思わなかった。
これまで俺にとっては陣さんは少し助平だか、交流に力を入れる好い人という印象しかなかった。
本当にスパイなんだと信じるようになってきた。
「中国が読み間違えたのは、アメリカは手を出さない、出したとしても国内ガタガタのアメリカに比べて、統制の取れる中国が勝つということです」
今朝にニュースにつながる話しとハニートラップリストにどんな関係があるのか。
俺はまだ、陣さんの真意が全く読めずにいた。
そういって陣さんは俺に手を振った。
陣さんは日本語は、はっきり言って日本人と全く変わらないレベルだ。
ほとんどの人が言われないと陣さんが中国人だとはわからない。
ただ、日本人が考える中国人のカタコトの日本語 を挨拶代わりに使うのが好きだ。
おそらく陣さんの持ちネタなのだろう。
このような陣さんの取っつきやすさは、交流イベントで何度も助けられた。
「何ですか~、こんな早くにー。日本の公務員は忙しいんですよー、誰も読まないレポート書くのが大変なんですから」
俺も笑いながら陣さんに挨拶代わりの軽口をたたいた。
陣さんに対して、無駄なことしかしてない公務員ネタは鉄板なのだ。
「相変わらずだね。それで給料高いんだから幸せよ」
「いやいや、もらってるのは、キャリア組の上の人だけですよ。私なんか、娘よりお小遣い少ないのですから」
こんな冗談を交わしながら、俺は陣さんと歩いた。
どうやら陣さんは、外で話したいようだ。陣さんは日比谷公園に向かって歩きだした。
「ニュースは見たよね?」
「共産党の通告ですよね。驚きましたよ。正直言って、日本側の視点では残念ですし、今後が不安です」
俺はそれ以上今朝のニュースについて話さなかった。
日本人としては、中国共産党の横暴について言いたいことはたくさんある。
しかし、陣さんに文句を言っても仕方無いことだ。
しかも中国人は台湾について日本人にな想像できない複雑な感情を抱いている。あまり触れない方がいいのだ。
「中国人のみんなはどう想っているのですか」
「それは、人それぞれよ。拍手喝采する人もいれば、戦争を怖がる人もいるし……」
陣さんは肩をすくめながらそう答えた。まあ、陣さんもこの辺は突っ込んでこない。
公園を歩きながら他愛もない話をした。
しかし、 陣さんはどんな要事があるのか。俺は真意を図れずにいた。
平日の午前、しかも早い時間だ。人をまばらだった。
人が辺りにいない場所を選んだかのように陣さんは立ち止まるといたずらっぽい表情でこう話した。
「飛田さん、私本当は中国のスパイなんですよ」
「え、スパイ?急に何よりです言ってるんですか。ははは」
「日本人はみんな知らないだけでスパイなんてたくさんいますよ。中国人だけでなく」
「それは、知ってますよ。ただ、陣さんがスパイって急に言われても。スパイって大袈裟に言ってるだけで、ちょっと調べて中国政府に報告するくらいですよね?」
「私の仕事は、政治家や官僚にハニートラップを仕掛けることですよ」
先ほどまで、冗談混じりの顔だった陣さんは今までみたこともないほど真剣な表情を見せた。
「え、ハニートラップ??」
「真面目な飛田さんだから、ハニートラップがどんなものか知らないでしょ。実は飛田さんも何回か嵌めようとしましたが、飛田さん真面目すぎて全く引っ掛かりませんでしたよ」
「いやいや、私なんかトラップしたところで1円の得にもなりませんよ……」
いきなりスパイだ、ハニートラップだと言われて俺は状況が全く飲み込めず、自分を卑下することを口走った。
そんなことを言った直後、陣さんは急に俺の肩に手を回して、自分に引き寄せたあと、ポンポンと背中合わせを叩いた。そして、すぐ元の体勢に戻った。
「ちょ、何ですか、急に」
「誰か見てるかもだから、ポケットに手を入れないでくださいね。今飛田さんのポケットにSDカードを入れました。私や私の仲間がハニートラップした人のリストや証拠が保存されています」
「え、リスト??」
「そうです。結構偉い政治家の先生や官僚の方もいますよ。大スキャンダルですよ」
「い、いやいや、本当に?マジですか?本当にそうだとして、そんなの受け取れないですよ」
「飛田さんから、鶴見先生に渡して欲しいのです」
「え、鶴見先生?」
鶴見先生は衆議院のベテラン政治家で、俺は交流事業の運営で、何度かお世話になった。
ノンキャリの俺にも分け隔てなく接してくれる人格者で、なぜか俺のことを気に入ってくれている。
一度飲みに連れていってくれたとき、冗談混じりに秘書にならないかと誘ってくれた。
「そう、鶴見先生。鶴見先生なら、そのリスト上手く使ってくれるでしょう」
「なぜ、そんなことを??」
「一から説明しましょう。中国政府はアメリカのメッセージを読み間違えたのです。台湾を侵攻してもアメリカは手を出さないと。でも、実際のところ、アメリカは台湾を真珠湾にするつもりですよ」
「え、真珠湾??」
「日本人は祖国の歴史知らなすぎですね。真珠湾ですよ、日本が嵌められて奇襲した。アメリカは保守とリベラルの分断が深刻になり国力が低下しています」
「それは、そうですね。だから、台湾有事の際もアメリカは何もしないのではという見方が多いです」
「国内の問題を隠すために外に目を向けさせる。どんな時代、どこの国でもやることです。実はアメリカで台湾のプレゼンスは相当高まっているんですよ。そして、アメリカは保守だろうがリベラルだろうが民主主義の価値観がとても大事。民主主義の台湾が武力侵攻されれば、アメリカ人は烈火の如く怒るでしょう。国が一つにまとまるくらいに」
「しかし、真珠湾と違って、台湾はアメリカにとって別の国です。」
「そう、でも、台湾にはアメリカ人たくさん住んでます。アメリカは手遅れにならないうちに中国をやっつけたいのですよ。あと、五年もすれば軍事的にも中国にかなわなくなるのが明白です。その前に中国から仕掛けさせて、それを叩く。第二次世界対戦で日本にしたことと同じです」
陣さんが、こんな知識と洞察力を持っているとは思わなかった。
これまで俺にとっては陣さんは少し助平だか、交流に力を入れる好い人という印象しかなかった。
本当にスパイなんだと信じるようになってきた。
「中国が読み間違えたのは、アメリカは手を出さない、出したとしても国内ガタガタのアメリカに比べて、統制の取れる中国が勝つということです」
今朝にニュースにつながる話しとハニートラップリストにどんな関係があるのか。
俺はまだ、陣さんの真意が全く読めずにいた。
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