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第二章:独裁の予兆!?中央政治局常務委員《フラワーナイン》の選抜
第13話:シーを襲うルー!?コウと面会した代償
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コウの住居から出て、過去の偉大な指導者の放つ異様なプレッシャーから解放され、俺はようやく大きく呼吸することができた。
コウの放つ思力の香りの影響で、今だ頭はぼんやりしていた。鼓動も高く、体温も少し高い気がしていた。
コウの姿を少し思い出しただけでも、興奮が蘇りそうな感覚になる。
シーは、すたすたと俺の前を歩いていた。
本来は、俺が先導しなくては行けないが、今は、正直、歩くのやっとだ。
シーは、コウやシュウと違い、肉感は全くなく、体の線は細く、後ろ姿は儚げであった。
そんな後ろ姿を見るにつれ、俺の鼓動はまた高鳴り出した。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
シーの歩く速度についていくのがやっとで、息が上がってきた。なんとか呼吸を整えながら、シーの後ろについていくと、突然、シーが振り返った。
「コウ様の前で正気を保てたのは、なかなかだぞ。ルー」
シーの声を聞いた瞬間、俺の欲情は爆発した。
シーの声は極上の喘ぎ声に聞こえ、その唇と白い肌がなんとも言えず官能的に感じられた。
俺は、自分を抑えられず、シーに向かって抱きつこうとした。
シーの顔には微かな笑みが浮かんでいた。
そしてー。
「ひ、ぎゃぶ!」
顎に強烈な衝撃を受け、視界は一瞬空を捉えたかと思うと次の瞬間には地面が眼前に迫っていた。
地面に這いつくばった俺は、痛みと衝撃に堪えながら、何が起きたのか理解しようとした。
(意識があるということは、許されたということかな……)
コウの思力に当てられた後遺症で、俺は、シーに襲いかかってしまったのだ。
シーは俺の顎に蹴りでも入れたのだろう。
俺は、その衝撃で空中で一回転して、地面に倒れているのだ。
中央政治局常務委員に襲いかかるなんて、死刑になっておかしくない。
そして、シーならたやすく俺を殺すことができる。
だから、そうなっていない、今の状況は、恐らく許されたと考えていい。
俺は、地面に這いつくばりながら、恐る恐る、シーを、見上げた。
「ふん、褒めたそばからこれか。まあ、仕方ないな」
「も、申し訳ありません。大変失礼いたしました」
俺は、なんとか起き上がり、シーに謝罪の言葉を伝えた。
(顎は、痛いけど、これは……)
そう先ほどまでの頭がぼんやりするようなコウの思力を受けた後遺症が消えて、痛みを無視すれば、とてもすっきりしていた。
「シー様、もしかして、私を治していただけたのですか?」
「盛のついた犬なんかそばに置きたくないからな」
「あ、ありがとうございます。ただ、もしかして、蹴らなくても治せたのでは……?」
シーは俺の質問には、答えず、笑みを浮かべてまた歩き出した。そして、いつも通り、澄んだ感情の無い声で俺にこう言った。
「ルー。帰ったら茶を淹れてくれ。中央政治局常務委員会で使った茶葉がまだあるだろう」
コウの放つ思力の香りの影響で、今だ頭はぼんやりしていた。鼓動も高く、体温も少し高い気がしていた。
コウの姿を少し思い出しただけでも、興奮が蘇りそうな感覚になる。
シーは、すたすたと俺の前を歩いていた。
本来は、俺が先導しなくては行けないが、今は、正直、歩くのやっとだ。
シーは、コウやシュウと違い、肉感は全くなく、体の線は細く、後ろ姿は儚げであった。
そんな後ろ姿を見るにつれ、俺の鼓動はまた高鳴り出した。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
シーの歩く速度についていくのがやっとで、息が上がってきた。なんとか呼吸を整えながら、シーの後ろについていくと、突然、シーが振り返った。
「コウ様の前で正気を保てたのは、なかなかだぞ。ルー」
シーの声を聞いた瞬間、俺の欲情は爆発した。
シーの声は極上の喘ぎ声に聞こえ、その唇と白い肌がなんとも言えず官能的に感じられた。
俺は、自分を抑えられず、シーに向かって抱きつこうとした。
シーの顔には微かな笑みが浮かんでいた。
そしてー。
「ひ、ぎゃぶ!」
顎に強烈な衝撃を受け、視界は一瞬空を捉えたかと思うと次の瞬間には地面が眼前に迫っていた。
地面に這いつくばった俺は、痛みと衝撃に堪えながら、何が起きたのか理解しようとした。
(意識があるということは、許されたということかな……)
コウの思力に当てられた後遺症で、俺は、シーに襲いかかってしまったのだ。
シーは俺の顎に蹴りでも入れたのだろう。
俺は、その衝撃で空中で一回転して、地面に倒れているのだ。
中央政治局常務委員に襲いかかるなんて、死刑になっておかしくない。
そして、シーならたやすく俺を殺すことができる。
だから、そうなっていない、今の状況は、恐らく許されたと考えていい。
俺は、地面に這いつくばりながら、恐る恐る、シーを、見上げた。
「ふん、褒めたそばからこれか。まあ、仕方ないな」
「も、申し訳ありません。大変失礼いたしました」
俺は、なんとか起き上がり、シーに謝罪の言葉を伝えた。
(顎は、痛いけど、これは……)
そう先ほどまでの頭がぼんやりするようなコウの思力を受けた後遺症が消えて、痛みを無視すれば、とてもすっきりしていた。
「シー様、もしかして、私を治していただけたのですか?」
「盛のついた犬なんかそばに置きたくないからな」
「あ、ありがとうございます。ただ、もしかして、蹴らなくても治せたのでは……?」
シーは俺の質問には、答えず、笑みを浮かべてまた歩き出した。そして、いつも通り、澄んだ感情の無い声で俺にこう言った。
「ルー。帰ったら茶を淹れてくれ。中央政治局常務委員会で使った茶葉がまだあるだろう」
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