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第二章:独裁の予兆!?中央政治局常務委員《フラワーナイン》の選抜

第24話:華の国の清風!?美しきオウキの花々

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 目の前に現れたレイは紛れもなく精密機器ウォッチと呼ばるレイであった。
 
 着ている服が、フーの側近としてそばにいるときのいつもの人民服でないためか、すらりと伸びた細長い手足に不釣り合いな大きな胸が目立っている。
 
 それなのに性的な魅力は全く感じさせない。

 ただただ、無機質な機械仕掛けの人形。
 レイとは、そんな印象を与える人物だ。

 目の前の人物があの写真に写っていたようなとろけた表情をしていた人物と同じとはとても思えない。

「ここは、私有地です。いくら政治局委員だといえ勝手に入るのは不法侵入。それなりの覚悟はしてください」

 レイは、あからさまに氷のような敵意をオウキに向けた。

「いや、レイが楽しそうなパーティーを開いていると聞いてな。混ざらせてもらおうと思って訪ねてきたのだ。そしたら、敷地が広大過ぎて迷ったてしまった。勝手に入るつもりはもちろんなかったぞ」

 対するオウキは楽しそうなパーティーをわざとらしく強調して挑発で返した。

 レイの機械人形のような表情は、少しも変わらない。
 オウキのプレッシャーを受けているにも関わらずだ。

 レイほどの頭の切れる者なら、今のオウキの一言で、オウキが、どこまで知っており、なんで来たのか悟っただろう。

 にも関わらず、微塵も動揺していない。

「今すぐお引取りいただければ、不法侵入の件は不問にしましょう」

 冷酷なほど冷たい声は、内容とは裏腹に刺すような響きだった。

「わざわざここまでせっかく来たのだ。パーティーに参加させてもくれてもいいだろう。私もイケメンに取り囲まれて、ハメを外したいな、ガハハハ」

 オウキはあくまでオウキのまま下品なことを言って豪快に笑った。

「えっ!?」

 次の瞬間、急激な状況変化に俺は、付いていけず、ただ驚きの声をあげるしかなかった。

 起こったことはこうだ。

 急にあたりが白銀の氷の世界になった。

 これはレイの思界ステージだ。

 そして、そこには、思力装纏ドレスアップしたレイが構えていた。
 氷狼を思わせる美しいドレス姿だ。

 レイから放たれた思力は氷狼となりオウキを襲った。

 油断していたオウキは全く何も出来ず、その思力を受けた。

 いや、油断だけでない。

 レイが早すぎたのだ。

 思力を受けたオウキはまるで氷漬けされたかのように固まっている。

「ふん、華の国の暴風と持て囃されて調子に乗ってるが、大したことない。フー様もなんでこんなやつを中央政治局常務委員フラワーナインに推すのか」

 固まったオウキを見ながらレイは、吐き捨てるように言った。

 これまで全く表情がなかったが、今、初めて表情を表した。

 それは侮蔑だった。

 レイの思界ステージである白銀の世界には似つかわしくないどす黒い侮蔑だ。

「オウキの従者か……。まあ、こんなやつしか連れてこれないということはあながちパーティーに混じりたいと言うのは本当だったか」

 レイは、俺を舐め回すように見たあと、そう言って笑い出した。

 無表情だった機械が、今や狂ったように様々か表情を見せている。
 
 このレイを見たら、あの写真に写った女が紛れもなくレイ本人だったというのが分かる。

 党の歯車として、冷酷、正確な働きをしていたレイの裏の顔。
 
 どす黒い欲望にまみれた姿だ。

「さて、お前、今の私は気分がいい。オウキがのこのこ無防備にやってきて、これでコウ様へのいい手土産になったからな。本来なら死んだほうが百倍マシな地獄を見せるとこだったが、軽い蹂躙で済ませてやろう。それでも死んだほうがマシだと思うがな」

 レイは、ギラついた目をこちらに向けた。

 白銀の世界で、白い思力装ドレスを着飾ったその姿はそれだけなら汚れを知らない乙女のようだ。
 
 しかし、表情だけが、欲望をむさぼり食う飢えた狼だ。

 そして、美しさと醜悪さが同居した歪な姿が持つ欲望が、俺に向けられた。

「ルーに欲情するなんて、よっぽど壊れてるな、レイ」

 レイが俺に襲いかかろうとした矢先、いつもの豪快でこんな時は頼りがいのある声が響いた。

 その声と共に、白銀の世界の半分が、満開に咲き誇った花畑になった。

「オウキさん」

 振り向くとそこには思力装纏ドレスアップしたオウキが堂々と立っていた。

 美しい花々が咲き誇った思力装ドレスに見を包んだオウキは華の国の暴風と呼ばれるには似つかわしくなく美しい。

 そよ風がオウキを包むように撫で、思力装ドレスは見るものを魅了するかのように揺れている。

 そのそよ風があたりの草木、花をゆらし、さざ波を作った。

 そして、そのさざ波がレイに向かった。

 その風を受けて、レイの短い髪が少し揺れた。

 次の瞬間、そこにはレイだった肉塊が横たわっていた。

 

 
 

 
 

 
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