6 / 6
6
「……入れるぞ」
やがて無理やり広げられた水澄の足の間に、黒焔の熱が触れる。硬く、熱くなったそれが、ゆっくりと、水澄の入口にあてがわれた。
「――や、だ……こわい……!」
頭を振っても、鎖が軋むだけ。黒焔の動きは止まらなかった。
「……力を抜け」
耳元で、吐息と共に囁かれた。そのまま、ぐ、と腰が押し出される。
「……っっっ、あ……あ、あああ……っ!!」
ずぷ、と、それが中に入り込み、ゆっくりと中を押し広げていく。その質量に水澄は息を止めた。身体が強張るのがわかる。だが黒焔は構わずに腰を進め、そのまま奥まで貫いた。
「ひ、あ……っ」
黒焔の熱に侵され、水澄の身体がびくびくと震える。腰を掴まれて揺さぶられ、声が漏れる。
「っ、く……」
黒焔の喉が、微かに唸った。
最初はゆっくりだった黒焔の動きは少しずつ速くなり、深く、強く、押し殺していた欲望が、形を変えて水澄の中を蹂躙する。
「あ、あっ……や、だめ……っ」
「っ、水澄……」
奥を突かれるたびに、甘く痺れる感覚が、意識を曇らせる。黒焔の手が強く水澄の腰を抱え込み、激しい音が室内に響く。
「あっ、ああっ、や、あっ、あ……!」
ずちゅ、と濡れた音を立てて引き抜かれる。そしてまた奥まで抉られる。それを何度も繰り返されて水澄は身をよじった。
奥に当たるたび、身体が浮いてしまいそうになる。
けれど黒焔の腕が、腰を、脚を、押さえつけて離さない。どこまでも逃がさないとでもいうように、執拗に突き上げてくる。
「火鷹……っ、お願い……やめて……もう、やめて……っ」
水澄はぐちゃぐちゃになった思考で火鷹の名前を呼ぶ。望んでいた再会だった。あんなに、また火鷹に会いたいと願っていたのに、こんな事になるなんて。
「っく……、水澄……」
「あっ、やぁっ、やだぁ……っ」
泣きながら首を横に振る。身体が熱くて、わけがわからなくなる。黒焔は容赦なく水澄を責め立てる。
「……出すぞ」
「や……っ、ひぁっ、あ、あっ、ああっ!」
黒焔の熱が一気に注がれ、水澄は体を痙攣させた。逃げることも、拒むこともできず、ただ、黒焔の執念を身体の奥に刻まれていく。何度か腰を揺らしてすべてを出し切ると、黒焔はゆっくりと水澄の中から自身を抜いた。
すべてが終わったあとの世界は、妙に静かだった。熱の余韻だけが、ふたりの間に微かに残っている。
水澄は、まだ荒い呼吸を整えることもできずにいた。拘束は解かれたはずなのに、全身の力が抜けて動くことができない。
腰の奥が、じんじんと熱い。奥に注がれたものが、ゆっくりとこぼれ出ていく感触に、喉の奥がひくりと震えた。
羞恥も、悲しみも、悔しさも――何もかもに蓋をされたまま。
感情がすべて抜け落ちて、からっぽになってしまったようだった。
――その時だった。
気付かぬうちに床に転がっていた霊鈴の音が、ひどく小さく震え、すぐにぴたりと沈黙した。
それを確認すると、黒焔は無言のまま布を取り、水澄の脚にかかった汚れを丁寧に拭き取った。その手つきはあまりにも静かで――さっきまでの激しさが嘘のように、優しかった。
「……霊鈴が、鳴らなくなった」
水澄は、ぽつりと呟いた。黒焔は頷きもしない。ただ一瞥だけ鈴に送り、それから、水澄の肩にそっと掛け布をかける。
「少し、眠れ」
低く、掠れた声が落ちてくる。
「まだ少し時間はある。起きたら、お前を俺の家に連れていく」
水澄の瞼はすでに重く、涙と苦しみと疲労で、身体は限界を越えていた。
黒焔の手が、そっと水澄の頭に触れた。まるで壊れ物に触れるように――それでもどこか、愛おしそうに。指先が静かに髪を撫でるたび、胸の奥に、どうしようもない懐かしさが滲んでしまう。
「……火鷹」
名前を呼ぶ声は、ほとんど夢の中のようにかすかだった。
黒焔はただ眠りに落ちていく水澄を、黙って見つめていた。
やがて水澄が完全に眠ったのを確認してから、静かに、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「どんな形でもいい、お前を守るとあの日決めた。正しさなんて――とっくに手放した」
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
魔性の男
久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。
最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。
そう、思っていた。
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
俺以外を見るのは許さないから
朝飛
BL
赤池凌平は、成瀬真介と出会い、緩やかに親交を深めてやがて恋人同士になるのだったが、時折違和感を抱いていた。
その違和感の正体が明らかになる時には、もう何もかも手遅れになってしまい……。
(女性と付き合うシーンもあります。)
※ネオページ、エブリスタにも同時掲載中。マイペースに更新します。