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婚約者の弟
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「………はぁ。まさか兄貴が浮気するなんてなぁ。アイツは子供の頃から萌奈一筋だったから未だに信じられないんだけど」
「っ、ううっ、わ、私も信じてたよっ。でもっ!あの綺麗な…胸のおっきな、すごい色っぽい女の人がっ……ふぇっ、裸の上に龍也兄のブカブカのワイシャツ羽織っててぇ、っく、首とか胸にキスマークめちゃくちゃ付いてて、龍也兄はベッドで激しいって、朝まで龍也兄に抱かれたって言ってたもん!それにっ、龍也兄の身体にも…キスマークいっぱい付いてたぁ!うぇぇぇっ…」
私は龍也兄の2つ違いの弟の春樹の部屋に来ていた。号泣しながら扉の前に立っている私を見た春くんは珍しく龍也兄と喧嘩でもしたのかと思ったようだった。けれど実際には喧嘩よりももっとエグい事を龍也兄に私はされた。
「っ!!んだよそれ!ふざけんなよっ、人がどんな思いでっ……クソッ!」
「ふぇっ、え、春…くん?」
グズグズ泣き続ける私を抱き締めている春くんの腕に突然力が籠もった。苦しいくらいぎゅうぎゅう抱き締められて私は眉をひそめて春くんを見上げた。
「んっ、春くん…苦しい…よ?」
「……萌奈はガキの頃から兄貴にベッタリで兄貴も萌奈しか見てなかった。2人はお互い両想いで婚約までしちゃってラブラブで本当に俺の付け入るスキなんか無かったよ。でも兄貴は萌奈を裏切って他の女を抱いたんだな…まぁどうせアレだろ?萌奈にぶつけられない溜まった性欲をその辺の女で発散させてたんだろうけど。それでもアイツのやった事は裏切り行為だ」
「っ!!うっ……ふぇっ…」
改めて言葉にされると悲しくて胸が痛くて私は春くんの腕の中でまたボロボロ涙を流した。人生史上1番最悪な形で私の初恋は呆気なく幕を閉じた。初恋は実らないって本当だった。
「兄貴はこんなに可愛い萌奈を一生独り占め出来る権利を手にしといて……ハッ、浮気だと?萌奈を傷付けてこんなに泣かせてっ、俺がどんなに欲しくても手に入れられない萌奈をサッサと自分のモノにしといてっ…、あぁ!マジ腹立つ!」
「は、春くん?」
「……気付いてなかっただろ?萌奈は兄貴ばっかで俺の事なんか見てくれやしなかったもんな。俺だってずっと、ずーっとガキの頃から萌奈が好きだった!兄貴なんかよりも俺の方がお前を愛してる!それなのにっ…」
「春くんっ!わ、私っ…きゃっ!」
突然身体が宙に浮き思わず私は春くんの首にしがみついた。顔を上げると龍也兄によく似た春くんの綺麗な顔が目の前いっぱいに広がっていた。
「んんっ?!んーっ!」
春くんは私をお姫様抱っこした状態でキスをしたままスタスタと奥の部屋に歩いて行く。唇を合わせたまま春くんは私をゆっくりベッドに下ろしそのまま覆い被さってきた。
「ん、やめ、んぅぅ…」
「はぁ…、ん、もえ、チュッ…チュウッ!」
私は春くんの胸をドンドン叩いて必死で藻掻いた。
「やっ、やだ離してっ!んうぅ、」
「ん、こら萌!暴れるなって、」
必死で藻掻き抵抗するが春くんはいとも簡単に私の両手をねじ伏せて何度も唇に吸い付いた。
息苦しさに耐えられず私が少し口を開くと春くんの熱い舌がヌルリと侵入してきた。彼はクチュクチュ卑猥な音を立てながら荒々しく私の口の中を掻き回した。きつく舌を吸われて私の身体からカクンと力が抜けた。
「んっ…萌奈はホントに可愛いな…」
春くんは嬉しそうに笑うとまた私の唇を塞いだ。どんどん深くなる口付けに私はギュッと目を瞑って耐えた。
しばらく私の唇を貪った春くんはちゅっと音を立てて唇を離した。彼は私の髪に指を通して優しく漉くように撫でた。
「はぁ…本当に可愛い…好きだよ。萌奈の髪も白くて綺麗な肌も可愛い顔も良い匂いする柔らかい身体も…負けん気が強い癖に泣き虫なところも可愛くて…萌奈の何もかも全てが愛おしくて堪らない。好きだっ…愛してるんだよっ!」
私は肩で息をしながら春くんを見つめた。ぱっと見彼は龍也兄とよく似ているけどパーツが少しずつ違っている。
龍也兄は整った顔の正統派イケメンだけど春くんは少し垂れ気味の瞳で可愛い犬系イケメンだ。筋の通った高い鼻とふっくらと形の良い唇、茶色みがかったサラサラの髪。細身だけど筋肉の付いたがっしりした身体で龍也兄と同じく女の子から凄くモテる。
なのに春くんは今まで彼女が居た事がない。不思議に思って私は何度か彼に尋ねた事があった。だけどいつも春くんは笑ってはぐらかしていた。
「春くん…ごめんね?私っ、春くんの気持ちに気が付けなくて…でもねっ、春くんは大事な幼馴染みだし私は春くんが大好きだよ?」
私の呟きに春くんはにっこり笑って顔を近付けるとコツンと額を合わせた。
「知ってるよ。萌奈が俺の事をただの幼馴染みとしか思ってないのは。でも俺は違う…お前を女として愛してる。だから萌奈にも俺を男として愛して欲しい!萌奈の全てが欲しいんだ!」
「っ!春くん?!やっ…」
私は身をよじり春くんの腕から抜け出そうと藻掻いたけどきつく抱き締められてまた唇を塞がれた。
「っ、ううっ、わ、私も信じてたよっ。でもっ!あの綺麗な…胸のおっきな、すごい色っぽい女の人がっ……ふぇっ、裸の上に龍也兄のブカブカのワイシャツ羽織っててぇ、っく、首とか胸にキスマークめちゃくちゃ付いてて、龍也兄はベッドで激しいって、朝まで龍也兄に抱かれたって言ってたもん!それにっ、龍也兄の身体にも…キスマークいっぱい付いてたぁ!うぇぇぇっ…」
私は龍也兄の2つ違いの弟の春樹の部屋に来ていた。号泣しながら扉の前に立っている私を見た春くんは珍しく龍也兄と喧嘩でもしたのかと思ったようだった。けれど実際には喧嘩よりももっとエグい事を龍也兄に私はされた。
「っ!!んだよそれ!ふざけんなよっ、人がどんな思いでっ……クソッ!」
「ふぇっ、え、春…くん?」
グズグズ泣き続ける私を抱き締めている春くんの腕に突然力が籠もった。苦しいくらいぎゅうぎゅう抱き締められて私は眉をひそめて春くんを見上げた。
「んっ、春くん…苦しい…よ?」
「……萌奈はガキの頃から兄貴にベッタリで兄貴も萌奈しか見てなかった。2人はお互い両想いで婚約までしちゃってラブラブで本当に俺の付け入るスキなんか無かったよ。でも兄貴は萌奈を裏切って他の女を抱いたんだな…まぁどうせアレだろ?萌奈にぶつけられない溜まった性欲をその辺の女で発散させてたんだろうけど。それでもアイツのやった事は裏切り行為だ」
「っ!!うっ……ふぇっ…」
改めて言葉にされると悲しくて胸が痛くて私は春くんの腕の中でまたボロボロ涙を流した。人生史上1番最悪な形で私の初恋は呆気なく幕を閉じた。初恋は実らないって本当だった。
「兄貴はこんなに可愛い萌奈を一生独り占め出来る権利を手にしといて……ハッ、浮気だと?萌奈を傷付けてこんなに泣かせてっ、俺がどんなに欲しくても手に入れられない萌奈をサッサと自分のモノにしといてっ…、あぁ!マジ腹立つ!」
「は、春くん?」
「……気付いてなかっただろ?萌奈は兄貴ばっかで俺の事なんか見てくれやしなかったもんな。俺だってずっと、ずーっとガキの頃から萌奈が好きだった!兄貴なんかよりも俺の方がお前を愛してる!それなのにっ…」
「春くんっ!わ、私っ…きゃっ!」
突然身体が宙に浮き思わず私は春くんの首にしがみついた。顔を上げると龍也兄によく似た春くんの綺麗な顔が目の前いっぱいに広がっていた。
「んんっ?!んーっ!」
春くんは私をお姫様抱っこした状態でキスをしたままスタスタと奥の部屋に歩いて行く。唇を合わせたまま春くんは私をゆっくりベッドに下ろしそのまま覆い被さってきた。
「ん、やめ、んぅぅ…」
「はぁ…、ん、もえ、チュッ…チュウッ!」
私は春くんの胸をドンドン叩いて必死で藻掻いた。
「やっ、やだ離してっ!んうぅ、」
「ん、こら萌!暴れるなって、」
必死で藻掻き抵抗するが春くんはいとも簡単に私の両手をねじ伏せて何度も唇に吸い付いた。
息苦しさに耐えられず私が少し口を開くと春くんの熱い舌がヌルリと侵入してきた。彼はクチュクチュ卑猥な音を立てながら荒々しく私の口の中を掻き回した。きつく舌を吸われて私の身体からカクンと力が抜けた。
「んっ…萌奈はホントに可愛いな…」
春くんは嬉しそうに笑うとまた私の唇を塞いだ。どんどん深くなる口付けに私はギュッと目を瞑って耐えた。
しばらく私の唇を貪った春くんはちゅっと音を立てて唇を離した。彼は私の髪に指を通して優しく漉くように撫でた。
「はぁ…本当に可愛い…好きだよ。萌奈の髪も白くて綺麗な肌も可愛い顔も良い匂いする柔らかい身体も…負けん気が強い癖に泣き虫なところも可愛くて…萌奈の何もかも全てが愛おしくて堪らない。好きだっ…愛してるんだよっ!」
私は肩で息をしながら春くんを見つめた。ぱっと見彼は龍也兄とよく似ているけどパーツが少しずつ違っている。
龍也兄は整った顔の正統派イケメンだけど春くんは少し垂れ気味の瞳で可愛い犬系イケメンだ。筋の通った高い鼻とふっくらと形の良い唇、茶色みがかったサラサラの髪。細身だけど筋肉の付いたがっしりした身体で龍也兄と同じく女の子から凄くモテる。
なのに春くんは今まで彼女が居た事がない。不思議に思って私は何度か彼に尋ねた事があった。だけどいつも春くんは笑ってはぐらかしていた。
「春くん…ごめんね?私っ、春くんの気持ちに気が付けなくて…でもねっ、春くんは大事な幼馴染みだし私は春くんが大好きだよ?」
私の呟きに春くんはにっこり笑って顔を近付けるとコツンと額を合わせた。
「知ってるよ。萌奈が俺の事をただの幼馴染みとしか思ってないのは。でも俺は違う…お前を女として愛してる。だから萌奈にも俺を男として愛して欲しい!萌奈の全てが欲しいんだ!」
「っ!春くん?!やっ…」
私は身をよじり春くんの腕から抜け出そうと藻掻いたけどきつく抱き締められてまた唇を塞がれた。
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