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<アドバイス>

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グギギ……痛快だったが、いつまでも笑い返してる場合じゃない。

取り敢えずは何とかなったが、長期戦では魔力に限界が在るこっちが不利だ。

となると問題は死なないコイツを、どう倒すかになる。

そんな事を考えている間にも、触手を伸ばしたセトの攻撃は止まず。

結界魔法を破ろうと、あらゆる角度から攻撃を仕掛けてきている。

結界周りには重々しく猟奇的な音が鳴り響き、怯えたエミリが俺の服を掴んでいた。

カワイイ……。
何て、そんな事を考えている場合じゃない。

何とかしなくては……。
焦る気持ちとは裏腹に、反撃の方法は浮かばず。

防戦一方となったのに気付いたのか、セトの表情にニヤつきが戻りだす。

一方的に攻撃を仕掛けるセトは、結界を破ろうと更に破壊的な攻撃を狙い。

巨大化した両手の触手をドリル状に形作り、上空から叩きつけ始める。

何とか結界は破られずにいるが、とてつもない衝撃音と震動が響き。

とてもじゃないが、このまま結界が持つとは思えない。

ヤバイ。
このままではやられてしまう。

こっちが攻撃しないと思って、調子に乗りやがってこの野郎。

結界を重ね掛けして、多重結界にしてみるか。

だが其れでは、時間の問題な気がする。

コイツを、結界魔法で閉じ込めるとか出来ないだろうか。

「其れは無理だな、魔力が足らんぞ」

其の時、久しぶりに聞いた魔王の声が頭に響く。

だったら他に何か、コイツを倒す方法無いのか?

「我なら可能だがな……」

駄目だ、強者過ぎて話しにならねえ。

今は自分なら倒せるみたいな、強さ自慢要らねーんだよ。

魔王からの助言を諦めたタイミングで、ククク……と聞き慣れた笑い声が聞こえ。

その場に居なかったはずのウスロスが、不気味な笑顔を浮かべ突然表れるのだった。

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