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エピソード6 飾る
しおりを挟む作ったはいいけど、デコレーションしたはいいけど……。
完成に近づけば近づくほど、君にこれをどう渡そうか迷っていた。
放課後2人で会えないかな? なんて言ったら朝から〝告白しますよ〟って言ってるようなものだし、だからと言って、余っただけなんて言えるような包装じゃないし。
隙見て渡すしかないのかな、なんて考えながらチョコレートを詰める。
チョコペンがうまくできたものとか一番形がきれいなものとか、出来に自信があるものだけを選んで箱に詰めていく。
「これでよし」
やっとできた君用のチョコレートにそうつぶやいて箱にリボンを巻き付ける。不器用な私は何度かそのリボンを結《ゆ》いなおしてきれいなままリュックの中に入れた。
なるようになるしかない。
リュックのチャックを閉めるとともに気持ちに踏ん切りをつけて胸をなでおろす。
制服のポケットには今日、君からもらったホッカイロが入っていてまだほんのり暖かい。
どうか、うまくいきますように。
その温度を両手で挟んで心の中でそうつぶやきながら、机の上にそっと置いた――。
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