こおにの手紙

箕面四季

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こおに、手紙を書く その1

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「あったぞ~」

 宝物入れの缶から出てきたのは、真っ青な包み紙です。

 おまんじゅうかせんべいか、とにかくお供え物を包んでいたすべすべの紙で、まるで海のように深い青色が気に入って、ひげもじゃ神さまにお願いして、境内のそうじと交換でもらった宝物でした。


「みえちゃんのためだもん。これを使おう」


 次に、転がっていた小石をひろって、頭の一本角をけずります。

 子供のおにに生えている角はロウのようにやわらかく、簡単にけずることができるのです。

 子おにはそれにブナの樹液を少しまぜて、白い絵の具を作りました。
 その絵の具を先のとんがった小枝につけて、青い包み紙の上に白い文字を書いていきます。
 

 読み書きの苦手な子おには、何度も休けいしながら、少しずつ、いっしょうけんめい手紙を書いていきました。
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