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エピローグ ようこそ、むし屋へ
むしコンシェルジュの卵
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ペコっと元気よく頭を下げる優太君。
ちっ、と、向尸井さんが小さく舌打ちして「余計なことを」と、碧ちゃんをジロリと睨んだ。
でも碧ちゃんは、知らんぷり。
ほたるは、優太君の言葉を復唱する。
表向きは国際弁護士、しかしてその実態は、むし屋のむしコンシェルジュか。
小学生らしい、夢のある夢な気がする! うん、いい!!
「つか、アキアカネさん。今食べてるのも昆虫食ですか?」
自分で夢を語っておきながら、優太君の興味は早くも別のところに向いている。
「タガメのラスクだよ。食べるかい?」
「うっそ! オレの好きな水生昆虫ランキング上位に君臨するタガメが食べれるなんて、夢みたいだ」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ。テーブルに座って一緒に食べよう」
わちゃわちゃと楽し気な二人を横目に、額に手を当て、浮かない表情の向尸井さん。
「ちょっと休憩に」
逃げるように店の奥へ引っ込もうとしている。
「確かぁ、むしコンシェルジュとして素質ある者が弟子入りを願い出た場合~、むしコンシェルジュは技術伝承の義務により、これを受け入れなければならない~、じゃなかったけぇ?」
碧ちゃんが、ニヤニヤと向尸井さんの背中に声をかけた。
「お前、何故それを」
「前に、蜻蛉から聞いた」
ぱちりと、可愛くウィンクした碧ちゃん。向尸井さんがまた、ちっと、舌打ちする。
「蜻蛉のやつ、余計なことばかり吹き込みやがって。というか、オオミズアオ。そもそもお前は人間嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いだよー。特に人間の子どもはね」
「なら、どうしてあの子に関わる」
「面白そうだから?」
タガメラスクを齧る優太君を見て、にんまり笑った碧ちゃんが、「それにぃー」と、今度はほたるに、にっこり微笑む。
やっぱり、碧ちゃんは可愛いな。と、見つめられたほたるはドキドキした。
同性アイドルにキャーキャー興奮するファンの気持ちって、こんな感じだろうか。
「それにぃ~、僕が優太を推薦して、優太の後見人になれば、この店に自由に出入りする権利が手に入るからねー。そしたら、ほたるちゃんとずーーーっと一緒にいられるも~ん」
「ぐえっ。碧ちゃん、苦じい」
ほたるに飛びついた碧ちゃんが、か細い身体で、ぎゅうぎゅうに締め付けてくる。
碧ちゃんは、華奢に見えるけど、力士並みに力が強いのだ。
「優太少年はともかく、オオミズアオ君が店に来るのは風紀が乱れるから嫌だなぁ。ぜひ、オオミズアオ君には遠慮してもらいたいね」
優太君と一緒にタガメラスクを齧りながら、眉を寄せるアキアカネさんに「べぇー」と、碧ちゃんがほたるに巻き付きながら、おもいっきり舌を出した。
「グロい食べ物を貪るアホメガネの方が、よっぽど風紀を乱してますよーだ。そっちこそ、ほたるちゃんがいる時は遠慮してよねー。グロいがうつるー」
「グロいがうつるという表現は世の中に存在しないよ。君は本当にバカだなぁ」
「きい~~! バカって言ったやつがバカなんですー。アホバカメガネー」
「ま、まあ、まあ、二人とも」
二人の仲裁をしながら、ほたるは、ホクホク顔でタガメをカリっと食べている優太君を見た。
「優太君」
「ん?」
タガメの頭を口から出して、優太君がほたるを振り返る。
確かに、グロい。
でも、幸せそうな顔だ。いろいろ乗り越えて、未来を向いている。
ほたるはにっこり笑って言った。
「ようこそ、むし屋へ! これからよろしくね! むしコンシェルジュの卵さん」
「おう!」
にかっと、はにかんだ子供らしい笑顔で、優太君は笑った。
完
ちっ、と、向尸井さんが小さく舌打ちして「余計なことを」と、碧ちゃんをジロリと睨んだ。
でも碧ちゃんは、知らんぷり。
ほたるは、優太君の言葉を復唱する。
表向きは国際弁護士、しかしてその実態は、むし屋のむしコンシェルジュか。
小学生らしい、夢のある夢な気がする! うん、いい!!
「つか、アキアカネさん。今食べてるのも昆虫食ですか?」
自分で夢を語っておきながら、優太君の興味は早くも別のところに向いている。
「タガメのラスクだよ。食べるかい?」
「うっそ! オレの好きな水生昆虫ランキング上位に君臨するタガメが食べれるなんて、夢みたいだ」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ。テーブルに座って一緒に食べよう」
わちゃわちゃと楽し気な二人を横目に、額に手を当て、浮かない表情の向尸井さん。
「ちょっと休憩に」
逃げるように店の奥へ引っ込もうとしている。
「確かぁ、むしコンシェルジュとして素質ある者が弟子入りを願い出た場合~、むしコンシェルジュは技術伝承の義務により、これを受け入れなければならない~、じゃなかったけぇ?」
碧ちゃんが、ニヤニヤと向尸井さんの背中に声をかけた。
「お前、何故それを」
「前に、蜻蛉から聞いた」
ぱちりと、可愛くウィンクした碧ちゃん。向尸井さんがまた、ちっと、舌打ちする。
「蜻蛉のやつ、余計なことばかり吹き込みやがって。というか、オオミズアオ。そもそもお前は人間嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いだよー。特に人間の子どもはね」
「なら、どうしてあの子に関わる」
「面白そうだから?」
タガメラスクを齧る優太君を見て、にんまり笑った碧ちゃんが、「それにぃー」と、今度はほたるに、にっこり微笑む。
やっぱり、碧ちゃんは可愛いな。と、見つめられたほたるはドキドキした。
同性アイドルにキャーキャー興奮するファンの気持ちって、こんな感じだろうか。
「それにぃ~、僕が優太を推薦して、優太の後見人になれば、この店に自由に出入りする権利が手に入るからねー。そしたら、ほたるちゃんとずーーーっと一緒にいられるも~ん」
「ぐえっ。碧ちゃん、苦じい」
ほたるに飛びついた碧ちゃんが、か細い身体で、ぎゅうぎゅうに締め付けてくる。
碧ちゃんは、華奢に見えるけど、力士並みに力が強いのだ。
「優太少年はともかく、オオミズアオ君が店に来るのは風紀が乱れるから嫌だなぁ。ぜひ、オオミズアオ君には遠慮してもらいたいね」
優太君と一緒にタガメラスクを齧りながら、眉を寄せるアキアカネさんに「べぇー」と、碧ちゃんがほたるに巻き付きながら、おもいっきり舌を出した。
「グロい食べ物を貪るアホメガネの方が、よっぽど風紀を乱してますよーだ。そっちこそ、ほたるちゃんがいる時は遠慮してよねー。グロいがうつるー」
「グロいがうつるという表現は世の中に存在しないよ。君は本当にバカだなぁ」
「きい~~! バカって言ったやつがバカなんですー。アホバカメガネー」
「ま、まあ、まあ、二人とも」
二人の仲裁をしながら、ほたるは、ホクホク顔でタガメをカリっと食べている優太君を見た。
「優太君」
「ん?」
タガメの頭を口から出して、優太君がほたるを振り返る。
確かに、グロい。
でも、幸せそうな顔だ。いろいろ乗り越えて、未来を向いている。
ほたるはにっこり笑って言った。
「ようこそ、むし屋へ! これからよろしくね! むしコンシェルジュの卵さん」
「おう!」
にかっと、はにかんだ子供らしい笑顔で、優太君は笑った。
完
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