韓劇♡三百字シアター

鶏林書笈

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惠慶宮の独白

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 本来、女人が文章を手掛けるのは好ましいことではないだろう。それは重々承知している。だが、敢えて書くことにしよう。ここに記すことは公的な記録には恐らく残らないだろうから。
 私の夫君は確かに素行が悪く、私はもちろんのこと生母や周囲の人々もそのことで苦しめられた。見かねた主上は遂に実の子息である世子を罪人として処罰してしまった。
 幸い私は王宮に留まることができ、息子は王世孫となり、その身は保証された。
 王となった息子は、外祖父も自分の父親を死に追いやったと思っている。そのようなことはない。我が一族はただ前王に従っただけ、何の欲心もなかったのだ。
 父も叔父も王と国家に尽くしたのである。
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