韓劇♡三百字シアター

鶏林書笈

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雲従街

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 鐘が十二回鳴り終わると廛樓の鍵が開けられる。と同時に荷物を背負った男女が一斉に押し寄せる。少しでも良い場所を取ろうと先を争う。場所の良し悪しが今日の売り上げを左右するのだ。
 場所取りが一段落すると、それぞれが持参した物を台に並べていく。ここにはこの世の有りと有らゆる物が集まっている。このうち上等なのは唐物と呼ばれる清国の物。次は日本製品で我が国の物は粗悪品ばかりだ。
 何故、こうなるのだろう。作り手の能力のせいだ。我が国にも能力のある者はいるが、そうした人々は高位の人々ばかりで、困窮しても手仕事には手を染めない。
 このままでは我が国は衰退していくのではないか。士浩先生はそれが気掛かりだった。
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