韓劇♡三百字シアター

鶏林書笈

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商機

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「あの時は本当にありがとうございました」
 尚沃の前に座る初老の夫婦は頭を下げた。
 彼は恐縮しながら、かつて目の前の夫人が妓楼に売られかけた時、自身の持ち金全てを払って彼女を買取ったことを思い出した。
 あの時は清国相手の商売で初めて成功したのだった。彼はこれで商いのコツを得たのである。それゆえ、夫人が助けを求めた時も躊躇わず身請けしたのだった。金はこれからも稼げるが彼女は今しか救えないのだから。
「ずっと林大人には御礼をしたいと思っていたのです」
と言いながら夫は大きめの包みを尚沃に渡した。中には、あの時、尚沃が払った以上の金があった。
「どうぞお納め下さい」
 夫婦が言うと尚沃は自分が出した分のみ受け取った。
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みんなの感想(2件)

野栗
2023.01.02 野栗

教えて頂きありがとうございました。
「常緑樹」学生時代の感動がよみがえってくるような気がします。図書館で探して再読したいと思います。

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野栗
2023.01.02 野栗

はじめまして。野栗と申します。
「先生の鞄」の話ですが、小説「常緑樹」がもとの話でしょうか?
学生時代に日本語訳で読んで、久しぶりに思い出していますが、遠い記憶なので曖昧です。
野栗はゲームの二次創作?の妄想小説を書き散らしております。文中に韓国朝鮮ネタを少しばかり入れ込んではひとり悦に入っております💦
古典には疎いので、少しずつ見聞を広げていきたいと思っております。

鶏林書笈
2023.01.02 鶏林書笈

御感想ありがとうございます。
この物語の主人公の崔容信は小説「常緑樹」のモデルとなった実在の人物です。
農村改革運動をしていた容信の生涯を作家沈薫が描いたのが小説「常緑樹」です。日本統治下の朝鮮にこうした女性がいたのですね。

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