水色と恋

和栗

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優しいね

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「そういえば、真喜雄って初めてAV観たの中学生だったの?」
以前田所くんが言っていたことをふいに思い出した。
真喜雄の部屋で2人でゴロゴロしながら雑誌を読む。
少し悩んで、そうだった気がすると呟いた。
「興味なかったんだ」
「うーん・・・恥ずかしかったな」
「え、観るのが?」
「・・んー、そういう目で見るのが?」
「性の対象としてってこと?」
「うん・・・。興味ないわけじゃないけどさ・・・。AVの話題もそうだし、見知った女子の胸が大きくなってきて、周りがこそこそ、大きいなって話したりしているのが恥ずかしかったし、なんか、気を遣ったな」
「へぇー」
「・・おれのチームに、女の子が2人いたんだけど・・1人が練習を休んで、もう1人の女子とお見舞いに行ったことが、あるんだけど・・・顔面が真っ青で、辛そうで、姉貴に話したら、女子は大きくなると毎月そんな感じになるって聞いて・・大変だなって思って、倒れたらどうしようって不安になったことがある」
「あー・・・真喜雄は優しいね」
「姉貴もそうだって言うし、毎月必ず体調が悪くなるのを知ってるのに、いつもと変わらない様子で過ごすのが・・なんか、怖い・・?ん・・?なんだろ・・・女子は体の変化が多くて、大変で辛いのに、AVとか出て、大変じゃないのかなって思って・・・本当は体調悪いのに無理してんのかなって、そっちが気になって」
優しいな。
まったくそんなこと思ったことがない。母さんが毎月辛そうにしているので、女の人は大人になったら誰でもそうなるんだろうって漠然と理解するだけだった。
ぺラリと雑誌をめくると、僕の顔を覗き込んできた。
「透吾は?初めて観たの、いつ?」
「小学生のころ同級生のお兄さんが観せてくれたんだ。6年生だったかな。へぇーって思って家に帰って、もやもやして、初めてオナニーしたって感じかな。夢精はしてたけど」
「・・・おれ夢精したとき、めちゃくちゃ怖くてさ」
「学校で習う前だった?」
「習ったよ。でも突然だったからもうパニックでさ。だって変な感じがして起きたらちんこから白い液体出てるし、夜中だし、父親は基本いないし、誰に何を相談していいか分からないしさ」
「ずっと不安だった?」
「いや・・・。泣きながらパンツとズボン持って洗面所行ったら、たまたま起きてた兄貴が部屋から出てきて、色々教えてくれた。んで、冷静になってきて、そのまま兄貴の部屋で爆睡してたな」
「お兄さんいると相談できるからいいね」
想像して、少し笑ってしまう。泣きながら夢精したなんて話をされたお兄さんは、さぞ驚いただろう。
きっとあのお兄さんことだから、淡々と教えたに違いない。ちょっと面白い。
いつか僕も澄人に相談されるのだろうか。いや、それはないな。楽観的だし友達も多いし、僕なんかよりもよっぽど色々経験して話をして成長するはずだ。
「・・・・おれ勝手な先入観なんだけど、透吾ってそういうの興味ないと思ってた」
「潔癖に見える?」
「ううん。単純に、興味ないんだろうなって。潔癖とか、そういうんじゃなくて」
「・・それは初めて言われた」
「・・・え、こんな話、他の人とするのか?」
眉が寄せられた。驚いて体を起こして胡坐をかく。真喜雄も同じように胡坐をかき、じーっと見つめてきた。
「そりゃぁ、したよ。中学の時は一応、友人とまではいかないけど一緒に行動する人もいたし・・・」
「・・・ずるい」
「は?君だってするでしょ。サッカー部の人とか」
「・・・透吾としたい」
「照れるくせに」
「・・・だって、」
「というか、真喜雄とは結構色々したし、話したと思うんだけどな。他人に触られたのも真喜雄が初めてだし、触ったのも真喜雄が初めてだしさ」
「・・おれも」
「これはきっともう、真喜雄としかできないよ」
あ、口元が緩んでる。表情もふにゃふにゃしてきて、耳がぴくぴく動いた。
耳たぶを触るとくすぐったそうに首をすぼめる。
「真喜雄の夢精、見てみたいかも」
「結構、今もする・・・。オナニーしないで寝ることもあるからさ」
「えー、じゃぁ見せてよ」
「必ずするわけじゃないし・・・てか、何で見たいの。楽しくないだろ」
「僕の見たくない?」
「それは見たい」
「それと同じ気持ち」
「・・・じゃぁ泊る?」
「・・・でも泊まったら、何もしないで寝るなんて、無理だよ」
顔を見合わせて笑う。
覆いかぶさってきた体を受け止める。堪えきれずに倒れると、頭がベッドから落ちた。首に唇が押し付けられる。
声を殺して笑うと、ぐいっと引っ張り起こされ膝の上に乗せられた。真喜雄はこの体勢が大層お気に入りらしい。
腰に腕を回し、僕の胸に顔を押し付ける。ぐりぐりと鼻先を擦ると、満足げに見上げてきた。
「・・泊る?今日」
「え。でも愛喜さんも美喜雄さんもいるじゃないか」
「兄貴は多分、シロくんとこ行くと思う。明日も休みだし。姉貴は今日デートだから帰り遅いし、だから、いいだろ?」
あれ?泊まること前提の話になってる?
じっと見つめると、真喜雄は目を輝かせながら僕を見つめた。この目で見つめられると逆らえない。
反らすと、背中に手を突っ込まれつーっと指先で撫でられた。腰を揺らすと、ニヤニヤとやらしい笑顔になる。
「・・どっちかがいるなら、何もしないよ」
「うん、2人とも出かけるから大丈夫」
「・・・もー、じゃぁ、家に電話するから・・」
「うん。今兄貴に言ってくる」
真喜雄はウキウキしながら部屋から出ていった。
お兄さん、心配になってでかけるのやめたりするんじゃないかな。大事な弟だもん、何かあったら大変だってきっと思うだろうし。
まぁ、どういうことになっても、この部屋で真喜雄といられるならいいや。それだけで幸せだもんね。
携帯を取り、耳に当てる。ドアの向こうから、軽快な足取りが聞こえた。少し笑ってしまった。























 
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