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惑星イオ 光国編
第85話 堕帝の宴
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ハリアとキール一行は、ハリス皇帝の暗殺を成し遂げるべく、エレバン帝国の城へと潜入していた。
外城壁と内城壁の間に広がる地下空間から魔物たちを外へ解き放ち、城を守る兵士たちの注意を魔物討伐へと逸らすことに成功した彼らは、ほぼ無人となった城内を進む。
「これで何があっても、俺たちしか見てねぇし、知らねぇぜ」
キールがにやりと笑った。
「魔物になった哀れな皇帝のところへ行くぞ」
ハリアがそう告げると、キールとガレスを従えて、皇帝がいる執務室へと向かっていった。
その頃、魔物討伐に駆り出された兵士たちは魔物たちを城の北側へ追いやっていた。その隙を突き、ダークゴブリンとブラックゴブリンキングが魔物たちが出てきた地下空間から這い出し、ゆっくりとハリアたちの後を追って城内へと侵入していた。
やがてハリアたち三人は執務室の前に到着した。
「本当に護衛兵まで外に出たのかよ。どんだけ戦いに飢えてんだか」
「ほ、本当ですよ……」
キールとガレスが呆れたように呟く。
「まあいい。それより中の様子を見ろ」
ハリアの指示に、キールが執務室の扉を少し開けて中を覗く。
「ぶっ……あれが皇帝かよ……」
広めの執務室の窓際にある皇帝の机と椅子の前を、イボブーという魔物が一匹、落ち着きなくうろうろしていた。
「どうだ?」
「皇帝、イボブーに変わってますね」
「なにっ! 俺にも見せろ! ぷぷっ、あれが父上か……」
ハリアとキールは肩を震わせ、たまらず笑い出す。
「はっはっはっ……ヒィー、腹が痛い……!」
その背後では、キールの仲間たちが城内をくまなく調べ、やがて誰もいないことを確認して戻ってきた。
「誰一人いなかったぜ」
「皇后は?」
「昨日からエバーテイン魔法国に向かったらしいな」
「なら、間違いなくあのイボブーが皇帝ってことだな」
「よし、中に入るぞ」
執務室に足を踏み入れると、そこにはイボブーしかおらず、他に気配はなかった。
ハリアは皇帝と思われるイボブーを前に、これまでの鬱憤を吐き出す。
「父上……もっと早く俺を皇帝にしていれば、こんなことにはならなかったのに。ハイリスを殺さずに済んだかもしれない。ハノイも俺の名声を利用して、女を周りにはべらせて……全部、あなたのせいですよ」
「ハノイの命乞い、笑えましたね~。足にキスして命乞いですよ」
「ふふ、あとは、イザーナだけだ」
(奴さんも、母親には敵わないか……)
「さあキール、目の前の皇帝を殺れ」
「へい!」
キールがイボブーを捕まえ、ナイフでその喉元を切り裂いた。
「ブキーッ!」
イボブーは断末魔を上げ、絶命する。
ハリアは慈しむようにイボブーを見下ろした。
「ふふふ……はーっはっは! これで俺が皇帝だ! イザーナを始末すれば、母上にできることなど何もない!」
──その時だった。
「まだ、まだあかんよ~、あぁ……」
「……もう許せん!」
皇帝の椅子の背後の窓際で、妖狐の術によって姿を消していたハリス皇帝が、怒号とともに姿を現した。
「ハリアアアアーーーッ!!」
突如響く怒声。
飛びかかってくる父の姿に、ハリアが声を上げる。
「げっ、父上!?」
ハリアの胸倉を掴み、ハリス皇帝は怒りに満ちた声で問いただす。
「貴様がハイリスもハノイも殺したのか!」
「ち、違いますよ父上! 奴らですよ、俺を脅して……!」
ニヤつきながらキールたちに罪をなすりつけるハリア。
「ハリア、そりゃねえぜ!」
「そ、そうだそうだ!」
「父上、すぐに奴らを処刑にいたします!」
「おい冗談じゃないぜ! イザーナ襲撃を命じたのはお前だろうが!」
「うるさい黙れ!」
「……もういい。皆まとめて始末してくれる!」
「やべぇ、ガレス逃げるぞ!」
「で、でも体が動かないのねん……」
キールとガレスは、アイアン・メイデン改によって動きを封じられていた。
皇帝に見つかり逃げ場のない状況に、ハリアが強気に出る。
「父上よ、老いたな……」
「老いたかどうか、試してみるがよい!」
ハリス皇帝はハリアを後方に突き飛ばし、さらに腹を蹴り飛ばす。
「立て! こんなものじゃ済まさんぞ!」
しかし、うずくまりながらもハリアは不敵に笑っていた。
「……なにが可笑しい!」
「効かないですよ、それ」
ハリアが外套を脱ぐと、そこには黒光りする鎧──デモンズメイルが現れる。
「それは……まさか!」
「そう、……あなたの攻撃など通じない!」
寿命と引き換えに身体能力が飛躍的に高められたハリア。
立場は逆転し、今度はハリアが猛攻を仕掛け、ハリス皇帝を殴打する。
「妹、女に皇帝の座を渡すなど……俺で良かったじゃないか!」
怒号が響く中、ハリスは沈黙し、ただその攻撃を防ぐ。
やがて息を荒らげたハリアが、腰に差していたデモンズソードを抜く。
「これで終わりだ!」
──だが、ハリス皇帝もまた、うずくまりながら家宝の短剣を手にしていた。
ハリアが右から左へ斜めに剣を振り下ろす刹那、皇帝は顔を上げ起き上がりながら、ハリア腹を狙って真っ直ぐ短剣を突き出した。
(……父上!)
その一瞬、ハリアの子供の頃の思い出がよぎり、ハリス皇帝の手が微かに揺れる。
──デモンズソードは皇帝の左肩から心臓近くまで縦に近い角度で深く刺さり。
そしてハリアの腹にも、皇帝の短剣が浅く刺さる。
「……これで俺が皇帝だ」
ハリス皇帝はデモンズソードが刺さったまま倒れ込み、動かなくなった。
ハリアはデモンズソードから手を離し、皇帝に背を向け離れながら、自らの傷を確認しつつ命じる。
「キール、とどめを刺せ」
「すまん、動けねぇ……!」
アイアン・メイデン改が、彼の身体を縛っていた。
「全く、使えない奴らだ。仕方ない、俺が片付けてやる……その次はお前らだからな!」
──だがその時。
倒れているハリス皇帝の近くに、白いモヤがゆっくりと現れ始めた──。
外城壁と内城壁の間に広がる地下空間から魔物たちを外へ解き放ち、城を守る兵士たちの注意を魔物討伐へと逸らすことに成功した彼らは、ほぼ無人となった城内を進む。
「これで何があっても、俺たちしか見てねぇし、知らねぇぜ」
キールがにやりと笑った。
「魔物になった哀れな皇帝のところへ行くぞ」
ハリアがそう告げると、キールとガレスを従えて、皇帝がいる執務室へと向かっていった。
その頃、魔物討伐に駆り出された兵士たちは魔物たちを城の北側へ追いやっていた。その隙を突き、ダークゴブリンとブラックゴブリンキングが魔物たちが出てきた地下空間から這い出し、ゆっくりとハリアたちの後を追って城内へと侵入していた。
やがてハリアたち三人は執務室の前に到着した。
「本当に護衛兵まで外に出たのかよ。どんだけ戦いに飢えてんだか」
「ほ、本当ですよ……」
キールとガレスが呆れたように呟く。
「まあいい。それより中の様子を見ろ」
ハリアの指示に、キールが執務室の扉を少し開けて中を覗く。
「ぶっ……あれが皇帝かよ……」
広めの執務室の窓際にある皇帝の机と椅子の前を、イボブーという魔物が一匹、落ち着きなくうろうろしていた。
「どうだ?」
「皇帝、イボブーに変わってますね」
「なにっ! 俺にも見せろ! ぷぷっ、あれが父上か……」
ハリアとキールは肩を震わせ、たまらず笑い出す。
「はっはっはっ……ヒィー、腹が痛い……!」
その背後では、キールの仲間たちが城内をくまなく調べ、やがて誰もいないことを確認して戻ってきた。
「誰一人いなかったぜ」
「皇后は?」
「昨日からエバーテイン魔法国に向かったらしいな」
「なら、間違いなくあのイボブーが皇帝ってことだな」
「よし、中に入るぞ」
執務室に足を踏み入れると、そこにはイボブーしかおらず、他に気配はなかった。
ハリアは皇帝と思われるイボブーを前に、これまでの鬱憤を吐き出す。
「父上……もっと早く俺を皇帝にしていれば、こんなことにはならなかったのに。ハイリスを殺さずに済んだかもしれない。ハノイも俺の名声を利用して、女を周りにはべらせて……全部、あなたのせいですよ」
「ハノイの命乞い、笑えましたね~。足にキスして命乞いですよ」
「ふふ、あとは、イザーナだけだ」
(奴さんも、母親には敵わないか……)
「さあキール、目の前の皇帝を殺れ」
「へい!」
キールがイボブーを捕まえ、ナイフでその喉元を切り裂いた。
「ブキーッ!」
イボブーは断末魔を上げ、絶命する。
ハリアは慈しむようにイボブーを見下ろした。
「ふふふ……はーっはっは! これで俺が皇帝だ! イザーナを始末すれば、母上にできることなど何もない!」
──その時だった。
「まだ、まだあかんよ~、あぁ……」
「……もう許せん!」
皇帝の椅子の背後の窓際で、妖狐の術によって姿を消していたハリス皇帝が、怒号とともに姿を現した。
「ハリアアアアーーーッ!!」
突如響く怒声。
飛びかかってくる父の姿に、ハリアが声を上げる。
「げっ、父上!?」
ハリアの胸倉を掴み、ハリス皇帝は怒りに満ちた声で問いただす。
「貴様がハイリスもハノイも殺したのか!」
「ち、違いますよ父上! 奴らですよ、俺を脅して……!」
ニヤつきながらキールたちに罪をなすりつけるハリア。
「ハリア、そりゃねえぜ!」
「そ、そうだそうだ!」
「父上、すぐに奴らを処刑にいたします!」
「おい冗談じゃないぜ! イザーナ襲撃を命じたのはお前だろうが!」
「うるさい黙れ!」
「……もういい。皆まとめて始末してくれる!」
「やべぇ、ガレス逃げるぞ!」
「で、でも体が動かないのねん……」
キールとガレスは、アイアン・メイデン改によって動きを封じられていた。
皇帝に見つかり逃げ場のない状況に、ハリアが強気に出る。
「父上よ、老いたな……」
「老いたかどうか、試してみるがよい!」
ハリス皇帝はハリアを後方に突き飛ばし、さらに腹を蹴り飛ばす。
「立て! こんなものじゃ済まさんぞ!」
しかし、うずくまりながらもハリアは不敵に笑っていた。
「……なにが可笑しい!」
「効かないですよ、それ」
ハリアが外套を脱ぐと、そこには黒光りする鎧──デモンズメイルが現れる。
「それは……まさか!」
「そう、……あなたの攻撃など通じない!」
寿命と引き換えに身体能力が飛躍的に高められたハリア。
立場は逆転し、今度はハリアが猛攻を仕掛け、ハリス皇帝を殴打する。
「妹、女に皇帝の座を渡すなど……俺で良かったじゃないか!」
怒号が響く中、ハリスは沈黙し、ただその攻撃を防ぐ。
やがて息を荒らげたハリアが、腰に差していたデモンズソードを抜く。
「これで終わりだ!」
──だが、ハリス皇帝もまた、うずくまりながら家宝の短剣を手にしていた。
ハリアが右から左へ斜めに剣を振り下ろす刹那、皇帝は顔を上げ起き上がりながら、ハリア腹を狙って真っ直ぐ短剣を突き出した。
(……父上!)
その一瞬、ハリアの子供の頃の思い出がよぎり、ハリス皇帝の手が微かに揺れる。
──デモンズソードは皇帝の左肩から心臓近くまで縦に近い角度で深く刺さり。
そしてハリアの腹にも、皇帝の短剣が浅く刺さる。
「……これで俺が皇帝だ」
ハリス皇帝はデモンズソードが刺さったまま倒れ込み、動かなくなった。
ハリアはデモンズソードから手を離し、皇帝に背を向け離れながら、自らの傷を確認しつつ命じる。
「キール、とどめを刺せ」
「すまん、動けねぇ……!」
アイアン・メイデン改が、彼の身体を縛っていた。
「全く、使えない奴らだ。仕方ない、俺が片付けてやる……その次はお前らだからな!」
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