君へ

綾瀬弘人

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孤独な君へ

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名前ももう分からない君へ。
変な書き出しでごめんね。
○○は今何をしてるのかな?と思いつつこの文を書いています。
それはともかく君と会った最後の日のことを覚えていないんだ。
それどころか、君の名前や顔、声すらもね。
というのも、君と最後に会った日僕は倒れ、目を覚ましほどなくすると医者に余命を告げられた。僕は、重度の肺癌らしくもう助からないらしい。
おそらく、もう一週間もするとこの手紙のことも思い出せないだろう。
そうなる前に君へ僕の思いを書くよ。

君はいつか大人になって、いろんな世界を見ると思う。
そして、愛する人や家族を持ち友人達と共に笑い喧嘩したり、どうしようもない壁にぶつかったり辛いこともあるはずだ。
けれど、これだけは忘れないで欲しい。
君は、気づいてないだけで人を引き寄せる力がある。
だから辛いときは半歩下がって周りを見てごらん。
君に手を差しのべている人がたくさんいるよ。
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