異世界転移しました。元天才魔術師との優雅なお茶会が仕事です。

渡辺 佐倉

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夜の書斎

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契約は叔父さんも関わってくるという事で、明日以降オーウェンさんが直接何とかしてくれるらしい。


「そんなことよりも、あなたのいた世界についてもっと聞かせてください!!」

オーウェンさんはそう言った。
俺は案内されるまま彼の書斎に来た。

壁一面の本棚にはこの国の言葉で書かれた高級そうな装丁の本が沢山並んでいた。

奥には茶色がきれいな一枚板で作られた机がありその前にソファーセットが設置されていた。


そこに座ると、オーウェンさんはワインとワイングラスを二つ持ってきて「お酒は飲めます?」と聞いた。
ワインを好んで飲んではいなかったけれど、アルコールは飲める方だ。

だから頷いた。

二人でワインを飲みながらとりとめのない話をした。
オーウェンさんは俺の世界の話を聞きたいと言っていたのに、俺は自分の話ばかりしていた気がする。
久しぶりにする自分の話につい饒舌になってしまいワインも進む。

「これはお勧めのチーズですよ、はい、あーん」

酔いが大分回ってしまったのだろう。オーウェンさんの冗談に思わず口を開けてしまう。
どうしようと思ったところで、酔いの回った頭は、まあいいかと決めてしまう。
チーズを口に入れられる。

本当だ。あまり癖も無くワインにも合っていて美味しい。

「こんなに楽しいお酒は久しぶりです」

そう言いながらワインを一口。
大分酔っている自覚はあるような気がする。

へにゃりと笑う。

「なんで、そんな無防備なんですか?」

ふわふわする。
かなり愉快な気持ちだった。

だから、口もとても軽くなっていた。

「だって、オーウェンさん何か酷い事するタイプじゃないじゃないですか」

このまま突然外に放り出したり身ぐるみをはいだり、そういうタイプには見えない。

ワインは飲み慣れず許容量がよくわからない。
特に出してもらったワインはとても口当たりがいい。


疲れもあったのかもしれない。ふわふわとうとうとの境目がよくわからない。

「だから――」

オーウェンさんが何か言おうとしている。
だからねむっちゃだめだ。

「なんですか?」

途中で言葉が止まってしまって気になる。

「もしかして、ですがあなた達の世界は男性を孕ませる技術がまだないんですか?」
「はらむ?」

一瞬意味がわからず聞き返す。
そして酔った頭で考える。
はらむがようやく孕むの意味だと分かる。
酔っていない時なら、息を飲むか少し悲鳴を上げてしまったかもしれない。

だから今聞けて良かったという事にしておく。そう酔っぱらった俺は判断した。

「この世界では男もはらめるんですねえ」

そうか、魔法があるもんな。
こちらの世界の方が色々進んでいることもあるのかもしれない。
そう思った。

けれど、そういう説明よりも今はうとうととしてしまう。
瞬きを何度もして寝ないようにしているけれどうまくいかない。

思ったよりもこのワインは度数が高かったのかもしれない。
オーウェンさんに抱きかかえられる感触がした。

迷惑をかけては駄目なのでなにか言おうとしたけれど優しく「おやすみなさい」と言われ瞼をとじてしまった。
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