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辛い生活※
それからの生活は私が番としておごらないように竜王様の真実の愛に比べて私がいかに駄目かについて皆が語る、そういうものでした。
部屋から出してもらえることはめったにありませんでしたが専属の侍女というものはおらず入れ代わり立ち代わり私の世話をする獣人が変わり、皆口々に調子に乗らないようにと口にしました。
私は理由が無い限り部屋の外に出ることが出来ませんでした。
それは私の存在を真実の愛のお相手が心配するからと私の身を気遣ってという事でした。
私が一度バルコニーに出ようとしたとき、血相を変えた侍女の様子を見て、私が逃亡しないように、私が死のうとしないようにという理由が一番なのだと気が付きました。
窓には鎖と鍵がかけられるようになりました。
真実の愛との結婚式が今日あるのだと侍女に言われた日がありました。
私とは何か書類すら交わしたことはありません。
特に何もなくその日は終わりました。侍女が監視のため結婚パーティを見に行けずイライラしていたことだけを覚えています。
食事と着替えは一応用意されました。
ただそれは伯爵家で暮らしていたときのものより質素で使用人用のものだとわかりました。
着替えも全てお仕着せでした。
それ以外は何も与えられませんでした。
侍女たちは話しかけても、ほとんど何も答えてはくれませんでした。
結婚式が終わってしばらく、おおよそひと月が経った頃、「陛下のお渡りがあります」と静かに侍女が告げた。
邪魔な存在として忘れ去られ、嫌味を言われるだけの存在だと思い始めていたので驚いた。
けれどその瞬間は決して楽しくも、幸せなものではなかった。
竜王は私を粗雑に扱ったし、私への気遣いも無かった。
『カトリーヌはもっといい匂いがする』と何度も行為の最中に比較をされた。
番との行為は最高なのだと言われていたが少なくとも私はそうは思わなかった。
竜王様にとってはどうだったか分からないが、彼は時々この部屋を訪れるようになりました。
別に何かまともな会話をしたことはないです。
私はこの人が竜王であるという事以外は真実の愛の相手がいること以外何もしりません。
この部屋は客人用のものではなく、また夫婦のためのものでもないため浴場は隣接していませんでした。
そのため体を清めるときだけは部屋の外に出ることを許されました。
その道中色々な人がひそひそと私の陰口を言っているのが聞こえました。きっと聞かせているのでしょう。
私が真実の愛に対していかに失礼な存在か、番だからと言ってわきまえなければならないのか。
これ以上私は何を諦めればいいのか分かりませんでした。
きっと私の世話という名の監視をしている侍女に聞いても答えてはくれないでしょう。
その道中で、私ははじめてカトリーヌ様に会いました。
誰かから紹介されたわけではありません。
ただ、貴族だから分かるのです。
周りの人間の目線が、行動がその人が高貴な存在だと示していることが。
その人の着ている服がアクセサリーが、そして手入れの行き届いた髪型が高貴な人だという事が……。
そして竜王様と同じ匂いをしていることがぴたりと重なってこの人が竜王様の最愛なのだと気が付きました。
私は慌てて私の国の礼を取りました。
私の地位がこの国でどのようになっているかは知りません。
聞いても誰も答えてはくれませんでした。
けれど、だからこそとてもとても低いものになっているのだろうと気が付いています。
番だというのは城に来てから何人もの医師らしき人、研究者らしき人が確認していったので本当なのでしょう。けれどそれだけです。
カトリーヌ様に侍っていた者の一人がカトリーヌ様に耳打ちをしました。
「へえ、あなたが……」
カトリーヌ様は馬鹿にする様な眼で私を見ました。
「虫けらの分際でよく陛下の寵をうけられますね」
カトリーヌ様はそう言いました。
虫けらと言われた私は何も言い返せませんでした。
「身の程をわきまえなさい」
カトリーヌ様はそう言いました。
ここで言い返してはいけないことくらいわかります。
彼女は一国の王妃です。
白い耳はとがっていて私には何の力を持つ獣人なのかよくわからないけれどそれでも私の様な人間より強い事だけは確かで、そして権力も私より強い。
「かしこまりました」
私は震えながらそう言う事しかできませんでした。
周りにいた人々がクスクスと私をあざ笑っている声だけがよく響いていました。
* * *
竜は子ができにくい。けれど番との間であれば別である。
というのは本当だったらしい。
獣人が私が身ごもったと判断したのははじめて竜王様がこの部屋に渡ってから四か月のころだった。
けれど誰も喜んでいる様には見えなかった。
竜王様から何か言葉があった訳でもない。
ただ、渡りが無くなったことは少しだけマシだった。
けれどそれは長くは続かなかった。
番との間の子は強いと聞いていたが、子は流れてしまった。
誰も私を慰めはしなかった。
それよりむしろ何人もの獣人が竜王の子を殺したと私を責めた。
私が朝早く風呂に入りに行ったのが悪いと言った者がいた。
それはカトリーヌ様と会ってしまうと彼女に申し訳ないという建前で決められた入浴の時間だったからそれに従うしかなかった。
きちんと食事をとらなかったからだと言うものがいた。
出されたものは相変わらず使用人のものだろうと思われるものだったが、妊娠が分かって以降半ば無理矢理食べさせられていました。
私に何かできたことなのでしょうか。
それでも私の子が流れてしまった喪失感で涙があふれて、あふれてしばらくの間止まりませんでした。
竜王様からはその時も何もありませんでした。
それからしばらくして、恐らく医師から許可が出たのだろうまた竜王様が私の部屋にお渡りになるようになりました。
辛い時間を耐えて、周りに誰も味方がいない中、私は再び妊娠し、そして流産しました。
余りにも辛く、家族に手紙を書きたいとうったえましたが、許可されることはありませんでした。
部屋から出してもらえることはめったにありませんでしたが専属の侍女というものはおらず入れ代わり立ち代わり私の世話をする獣人が変わり、皆口々に調子に乗らないようにと口にしました。
私は理由が無い限り部屋の外に出ることが出来ませんでした。
それは私の存在を真実の愛のお相手が心配するからと私の身を気遣ってという事でした。
私が一度バルコニーに出ようとしたとき、血相を変えた侍女の様子を見て、私が逃亡しないように、私が死のうとしないようにという理由が一番なのだと気が付きました。
窓には鎖と鍵がかけられるようになりました。
真実の愛との結婚式が今日あるのだと侍女に言われた日がありました。
私とは何か書類すら交わしたことはありません。
特に何もなくその日は終わりました。侍女が監視のため結婚パーティを見に行けずイライラしていたことだけを覚えています。
食事と着替えは一応用意されました。
ただそれは伯爵家で暮らしていたときのものより質素で使用人用のものだとわかりました。
着替えも全てお仕着せでした。
それ以外は何も与えられませんでした。
侍女たちは話しかけても、ほとんど何も答えてはくれませんでした。
結婚式が終わってしばらく、おおよそひと月が経った頃、「陛下のお渡りがあります」と静かに侍女が告げた。
邪魔な存在として忘れ去られ、嫌味を言われるだけの存在だと思い始めていたので驚いた。
けれどその瞬間は決して楽しくも、幸せなものではなかった。
竜王は私を粗雑に扱ったし、私への気遣いも無かった。
『カトリーヌはもっといい匂いがする』と何度も行為の最中に比較をされた。
番との行為は最高なのだと言われていたが少なくとも私はそうは思わなかった。
竜王様にとってはどうだったか分からないが、彼は時々この部屋を訪れるようになりました。
別に何かまともな会話をしたことはないです。
私はこの人が竜王であるという事以外は真実の愛の相手がいること以外何もしりません。
この部屋は客人用のものではなく、また夫婦のためのものでもないため浴場は隣接していませんでした。
そのため体を清めるときだけは部屋の外に出ることを許されました。
その道中色々な人がひそひそと私の陰口を言っているのが聞こえました。きっと聞かせているのでしょう。
私が真実の愛に対していかに失礼な存在か、番だからと言ってわきまえなければならないのか。
これ以上私は何を諦めればいいのか分かりませんでした。
きっと私の世話という名の監視をしている侍女に聞いても答えてはくれないでしょう。
その道中で、私ははじめてカトリーヌ様に会いました。
誰かから紹介されたわけではありません。
ただ、貴族だから分かるのです。
周りの人間の目線が、行動がその人が高貴な存在だと示していることが。
その人の着ている服がアクセサリーが、そして手入れの行き届いた髪型が高貴な人だという事が……。
そして竜王様と同じ匂いをしていることがぴたりと重なってこの人が竜王様の最愛なのだと気が付きました。
私は慌てて私の国の礼を取りました。
私の地位がこの国でどのようになっているかは知りません。
聞いても誰も答えてはくれませんでした。
けれど、だからこそとてもとても低いものになっているのだろうと気が付いています。
番だというのは城に来てから何人もの医師らしき人、研究者らしき人が確認していったので本当なのでしょう。けれどそれだけです。
カトリーヌ様に侍っていた者の一人がカトリーヌ様に耳打ちをしました。
「へえ、あなたが……」
カトリーヌ様は馬鹿にする様な眼で私を見ました。
「虫けらの分際でよく陛下の寵をうけられますね」
カトリーヌ様はそう言いました。
虫けらと言われた私は何も言い返せませんでした。
「身の程をわきまえなさい」
カトリーヌ様はそう言いました。
ここで言い返してはいけないことくらいわかります。
彼女は一国の王妃です。
白い耳はとがっていて私には何の力を持つ獣人なのかよくわからないけれどそれでも私の様な人間より強い事だけは確かで、そして権力も私より強い。
「かしこまりました」
私は震えながらそう言う事しかできませんでした。
周りにいた人々がクスクスと私をあざ笑っている声だけがよく響いていました。
* * *
竜は子ができにくい。けれど番との間であれば別である。
というのは本当だったらしい。
獣人が私が身ごもったと判断したのははじめて竜王様がこの部屋に渡ってから四か月のころだった。
けれど誰も喜んでいる様には見えなかった。
竜王様から何か言葉があった訳でもない。
ただ、渡りが無くなったことは少しだけマシだった。
けれどそれは長くは続かなかった。
番との間の子は強いと聞いていたが、子は流れてしまった。
誰も私を慰めはしなかった。
それよりむしろ何人もの獣人が竜王の子を殺したと私を責めた。
私が朝早く風呂に入りに行ったのが悪いと言った者がいた。
それはカトリーヌ様と会ってしまうと彼女に申し訳ないという建前で決められた入浴の時間だったからそれに従うしかなかった。
きちんと食事をとらなかったからだと言うものがいた。
出されたものは相変わらず使用人のものだろうと思われるものだったが、妊娠が分かって以降半ば無理矢理食べさせられていました。
私に何かできたことなのでしょうか。
それでも私の子が流れてしまった喪失感で涙があふれて、あふれてしばらくの間止まりませんでした。
竜王様からはその時も何もありませんでした。
それからしばらくして、恐らく医師から許可が出たのだろうまた竜王様が私の部屋にお渡りになるようになりました。
辛い時間を耐えて、周りに誰も味方がいない中、私は再び妊娠し、そして流産しました。
余りにも辛く、家族に手紙を書きたいとうったえましたが、許可されることはありませんでした。
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