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幸せな日々
* * *
私の気持ちを伝えてから、私がふさわしい存在ではないことを思い出す。
けれど、先にルーチェ様は言った。
「過去のことは過去のことです。
私は全く気にしません。
それに結婚後番を見つけて結ばれるみたいな話を聞いたことがあるでしょう?
獣人と人族とで常識は少しだけ異なるのです」
だから、過去は捨てていい。ルーチェ様はそう言ってくれた。
「それに人生はまだ長いのです。将来のことはゆっくりと考えて大丈夫ですよ」
ルーチェ様は私にそう言いました。
その日から半年ほど過ぎた頃でしょうか、獣人国の竜王が病に倒れ離宮で静養されているという話を聞いたのは。
私の所為かもしれないと少しだけ思ったのですが、父もルーチェ様もそれは無いとおっしゃっていました。
詳しくは分からないのですが、竜だけは特別で角が無ければ番を認識できなくなるそうです。
番のことはよくわからないけれど、ルーチェ様も「私たちには関係ない事ですから」と言った。
ルーチェ様は私の父と何やら目配せをした気がしたけれど、私は気が付かないふりをしました。
それほど獣人国での暮らしは過酷で思い出したくない事でした。これ以上好奇心の様な感情で首を突っ込みたくはありませんでした。
そんな酷いことを考えてしまう私をお父様もルーチェ様も「気にすることは無いよ」と許してくださいます。
お父様たちのお仕事は順調なようでこの国でも引き続き伯爵を名乗れるようになったと言っていました。
それから。
一度竜の番となったことで私の寿命は一般的な人族より少し伸びたのではないかと言われました。
それはすこしでも長くルーチェ様と一緒にいられるという意味です。
それは私が番というものにされて唯一良かったことだったのかもしれません。
「ハンカチのお礼がようやく完成したんだ」
あれきりになっていたのでお礼のお礼については無かったことになっていたと思っていたのですがそれは違ったようです。
それ以外にお花等会うたびに何かいただいていたので何か準備をしていたことには気が付きませんでした。
それはルーチェ様の瞳の色のブルーグレーの石が銀色の細工にはまったキレイな髪飾りでした。
「これは成人の前に切り落とした私の角をつかったものなのだけれど」
人はそういうのが苦手だと聞いたけれど……大丈夫かな?
ルーチェ様は言いました。
あの私が逃げ出した日の祭りの様に獣人たちには体の一部を贈る習慣があるようでした。
あの日々を思い出して怖くなってしまうかと思いましたけれど、大丈夫でした。
こんな美しい銀色を持つ獣人を私は見たことが無かったから。
「今すぐつけていいですか?」
私が聞くとルーチェ様は「私がつけましょう」と言って器用に私の髪につけてくださった。
「私もお返しをしないといけませんわ」
私がそう言うとルーチェ様は「じゃあ私もそのお返しを考えておきましょう」と言った。
その言葉に私とルーチェ様は顔を見合わせて笑顔を浮かべた。
私の優しい竜はずっとずっと私の近くで穏やかに笑っていられますようにと、私は願いました。
了
私の気持ちを伝えてから、私がふさわしい存在ではないことを思い出す。
けれど、先にルーチェ様は言った。
「過去のことは過去のことです。
私は全く気にしません。
それに結婚後番を見つけて結ばれるみたいな話を聞いたことがあるでしょう?
獣人と人族とで常識は少しだけ異なるのです」
だから、過去は捨てていい。ルーチェ様はそう言ってくれた。
「それに人生はまだ長いのです。将来のことはゆっくりと考えて大丈夫ですよ」
ルーチェ様は私にそう言いました。
その日から半年ほど過ぎた頃でしょうか、獣人国の竜王が病に倒れ離宮で静養されているという話を聞いたのは。
私の所為かもしれないと少しだけ思ったのですが、父もルーチェ様もそれは無いとおっしゃっていました。
詳しくは分からないのですが、竜だけは特別で角が無ければ番を認識できなくなるそうです。
番のことはよくわからないけれど、ルーチェ様も「私たちには関係ない事ですから」と言った。
ルーチェ様は私の父と何やら目配せをした気がしたけれど、私は気が付かないふりをしました。
それほど獣人国での暮らしは過酷で思い出したくない事でした。これ以上好奇心の様な感情で首を突っ込みたくはありませんでした。
そんな酷いことを考えてしまう私をお父様もルーチェ様も「気にすることは無いよ」と許してくださいます。
お父様たちのお仕事は順調なようでこの国でも引き続き伯爵を名乗れるようになったと言っていました。
それから。
一度竜の番となったことで私の寿命は一般的な人族より少し伸びたのではないかと言われました。
それはすこしでも長くルーチェ様と一緒にいられるという意味です。
それは私が番というものにされて唯一良かったことだったのかもしれません。
「ハンカチのお礼がようやく完成したんだ」
あれきりになっていたのでお礼のお礼については無かったことになっていたと思っていたのですがそれは違ったようです。
それ以外にお花等会うたびに何かいただいていたので何か準備をしていたことには気が付きませんでした。
それはルーチェ様の瞳の色のブルーグレーの石が銀色の細工にはまったキレイな髪飾りでした。
「これは成人の前に切り落とした私の角をつかったものなのだけれど」
人はそういうのが苦手だと聞いたけれど……大丈夫かな?
ルーチェ様は言いました。
あの私が逃げ出した日の祭りの様に獣人たちには体の一部を贈る習慣があるようでした。
あの日々を思い出して怖くなってしまうかと思いましたけれど、大丈夫でした。
こんな美しい銀色を持つ獣人を私は見たことが無かったから。
「今すぐつけていいですか?」
私が聞くとルーチェ様は「私がつけましょう」と言って器用に私の髪につけてくださった。
「私もお返しをしないといけませんわ」
私がそう言うとルーチェ様は「じゃあ私もそのお返しを考えておきましょう」と言った。
その言葉に私とルーチェ様は顔を見合わせて笑顔を浮かべた。
私の優しい竜はずっとずっと私の近くで穏やかに笑っていられますようにと、私は願いました。
了
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