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邂逅5
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この人の事をアラタは知っていた。
職場によくあらわれる、騎士だという男。
先ほど話した、アラタが好きな人……。
「ははっ」
声を出してアラタが笑った。
異世界からの来訪者かもしれないと思われていたんじゃない。ほぼそうだと確信を持たれていた。
そうでなければここで顔をあわせるはずが無い。
まっすぐな目で睨みつけられる。
恨まれる覚えは、ないと言えばウソになってしまう。
けれど、そもそもアラタに御子としての“責任”があるのであればの話だ。
アラタは自分が御子だとは思っていない。
あの魔方陣の様なものは、契約としての文言が刻まれている訳でも、何かに応じたからこの世界にアラタがいる訳でもない。
ただ引きずりこまれたことに責任なんか発生しやしないはずだ。
けれど、これが自分の事情だという事をアラタはよく知っている。
多分、この人にはこの人の事情がある。
けれどそんなアラタの気持ちは目の前の男には何も伝わっていない。
アラタの笑い声を聞いて、いっそう憎悪の詰まった視線が絡まる。
「彼は、琥珀の国の」
ウィリアムが言う。
ああ、どこかで会ったことがあるのかと思った。
アラタはウィリアムの人となりは知らない。
彼が王侯であることは知っていたが、それ以上の事はまだ何も話していない。
アラタは頭を抱えたくなった。
ここにいる言霊使いは、アラタとリツだけだ。
洗脳の様な事は声で行う方が圧倒的に向いている。
けれど、それを成立させられる力はリツには無かった。
「何故……。何故、シエラを見捨てる様な真似をしている!!」
アラタは怒鳴る様に言われた言葉に心当たりが無かった。
そもそも、シエラという知り合いはアラタにはいない。
彼の大切な人の名前だろうか。
こんなに憎悪をこめられた視線をアラタを見るくらい、大切な人が彼にはいるのだろう。
「律。この辺に逗留してるんだっけ?
場所、貸してくれへんか」
アラタが言うと、リツは唾をゴクリと飲み込んだ。
職場によくあらわれる、騎士だという男。
先ほど話した、アラタが好きな人……。
「ははっ」
声を出してアラタが笑った。
異世界からの来訪者かもしれないと思われていたんじゃない。ほぼそうだと確信を持たれていた。
そうでなければここで顔をあわせるはずが無い。
まっすぐな目で睨みつけられる。
恨まれる覚えは、ないと言えばウソになってしまう。
けれど、そもそもアラタに御子としての“責任”があるのであればの話だ。
アラタは自分が御子だとは思っていない。
あの魔方陣の様なものは、契約としての文言が刻まれている訳でも、何かに応じたからこの世界にアラタがいる訳でもない。
ただ引きずりこまれたことに責任なんか発生しやしないはずだ。
けれど、これが自分の事情だという事をアラタはよく知っている。
多分、この人にはこの人の事情がある。
けれどそんなアラタの気持ちは目の前の男には何も伝わっていない。
アラタの笑い声を聞いて、いっそう憎悪の詰まった視線が絡まる。
「彼は、琥珀の国の」
ウィリアムが言う。
ああ、どこかで会ったことがあるのかと思った。
アラタはウィリアムの人となりは知らない。
彼が王侯であることは知っていたが、それ以上の事はまだ何も話していない。
アラタは頭を抱えたくなった。
ここにいる言霊使いは、アラタとリツだけだ。
洗脳の様な事は声で行う方が圧倒的に向いている。
けれど、それを成立させられる力はリツには無かった。
「何故……。何故、シエラを見捨てる様な真似をしている!!」
アラタは怒鳴る様に言われた言葉に心当たりが無かった。
そもそも、シエラという知り合いはアラタにはいない。
彼の大切な人の名前だろうか。
こんなに憎悪をこめられた視線をアラタを見るくらい、大切な人が彼にはいるのだろう。
「律。この辺に逗留してるんだっけ?
場所、貸してくれへんか」
アラタが言うと、リツは唾をゴクリと飲み込んだ。
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