僕の輝ける伴星

渡辺 佐倉

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本編

戦う魔法使い1

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◆ ◆ ◆

自分の本業は魔法の解析を行う研究者だ。
けれど、平民の魔法使いにだけは義務が生じる。

貴族で魔法の適正のある魔法使いも一応建前上は同じ様な義務があるらしいかその義務を果たしているところを俺は見たことが無い。

義務とは、戦争で戦うことと魔物の討伐をすること。
どちらもあまり気分のいい仕事ではない。

今回の任務は魔物の討伐だった。

戦争は魔法使い以外の平民の歩兵を守りながらの戦闘になるが今回は魔法使いと冒険者のみの構成だった。

狙うのは小型の虫型の魔物だ。
一匹一匹は大した力のない魔物だが、いかんせん数が多い。

少数の場合、冒険者に依頼という形で駆除を行うがこうなってしまうと国家として動かねばならないということなのだろう。
そこで何故研究所を頼るのかは理解できないけれど、そういうことだ。

衝撃斬撃ショックウェーブ

麦畑のすぐそこまで迫って黒々と見える虫たちが迫っているので広範囲に衝撃波による攻撃を繰り出す。
次々に虫たちは落ちていく。

「さすがです!」

サポート役の魔法使いが感激したように言う。


「いや、まだだ!!」

魔物たちにも生態系ってやつがある。
虫がこれだけ大量にわいたのだ、それを食べる魔物も引き寄せられるようにやってくる。

大きな怪鳥の魔物がはるか虚空に見える。

「対空注意!」

冒険者から集められた魔法使いたちが防御癖を張る。

虫もまだすべてが片付いた訳ではないのに、後から後から出てくる魔物にうんざりとする。

「ここ一帯を焼き払ってしまいたい」
「地形や、生態系への影響を考えてください!」

そう注意される。

冒険者の一人が「他属性持ちの自慢かよ」と言っているのが聞こえた。

一般的に魔法使いの多くが使える技の系統が決まっている。
聖女の様に『まるで女の子が好みそう』という様なざっくりとしたものではなく、水なら水、火なら火の一系統しか使えないのだ。

黒と呼ばれるのには理由がある。
適正だけならほぼすべての魔法が理論上使える、とされる唯一の魔法使いが俺なのだ。

聖女の御業の様に魔法の理論から外れる奇跡や、自己治癒の様に理論的には可能だが実験する機会が無いので専門外のものもあるけれど基本的には使えるはずということになっている。
実際に現状使えない魔法はいくつもあるけれど、修練によっては使えるようになる素養があるという適正を持っている。
何色もの色を重ねたための黒。
それが俺の魔法使いとしての色だ。

いちいち突っかかっていても時間の無駄だ。

俺は地面をけると浮遊魔法を自分にかけた。
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