黄金の鳥が羽ばたくとき

渡辺 佐倉

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小さな友達(番外編内三人称視点)

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私にはお父様が二人います。

普通はお父様とお母様で家族ということを知らない訳ではありません。
けれど、私のうちはお父様が二人いるので仕方がありません。

一度、たとえ男同士の夫婦であっても生んだ方が母親だろうと言われたことがありました。
けれど、私にはそれがぴんときませんでした。


だって、お父様はやっぱりお父様だから。
私のお父様は二人とも強くてかっこよくてやさしくて、それに私のことを想っていてくださるのが分かるのです。

「ああ、シャーリーこんなところにいたのか。」

息を切らしてグレン父様が言う。
私のことをずいぶんと探したようだった。何せ、ここは庭の一番はじだったから。
足元で、私のおちびちゃんがニャーと鳴いた。

慌てて隠すと、ふはっと声を立ててお父様が笑った。

「ねこ見つけたのか。」

お父様はしゃがむと、手を伸ばして舌を鳴らした。

「あ、あのね、お父様。」

今日はもう一人のお父様、アルフ父様が久しぶりに帰ってくる日なのだ。
だから、我侭を言って困らせてはいけない。

分かっているのに、上手くは出来ませんでした。

「大丈夫だよ。」

お父様はネコを撫でるように、ぽんぽんと私の頭を撫でた。
それは、いつものそっと撫でる手つきと少しだけ違っていて、少しだけ力強くて、それでも優しさがつたわってくるものでした。

「アルフレートが帰ってきたら一緒に頼んでみような。」
「はいっ!」

私はおちびちゃんをそっと抱えてお父様に見せた。
お父様は目じりを下げて笑顔を浮かべた。

「屋敷に戻ろうか。」

二人で並んでゆっくりと歩いた。



「お疲れ様。」

ベッドに腰掛けたアルフレートを見下ろしながらグレンは言う。
久しぶりに帰ってきたアルフレートに娘のシャーリーははしゃぎすぎて、既に彼女の寝室のベッドの上だ。

「貴方こそ、いつもありがとうございます。」

腰に手を回しながらアルフレートは言う。
グレンが見下ろしたアルフレートの顔は、穏やかに笑っていた。

犬にするみたいに、ぐしゃぐしゃとアルフレートの金髪をかき混ぜる瞬間が案外すきだと知ったのは彼の伴侶として生きると決めてしばらくたってからだった。

「シャーリーまた可愛くなってて。」
「将来が楽しみだろ?」
「心配ですよ?」

眉根を寄せたアルフレートをグレンは鼻で笑った。

「だって、シャーリーはアンタに似てるじゃないですか!」
「いや、どう見てもお前似だろ。」

金色の髪の毛と瞳を持つ少女はアルフレートによく似ているように見える。
娘の前で呼ばれている貴方という言葉が、昔つかっていたアンタに戻る瞬間がグレンはとても好きだ。

見下ろしたアルフレートの頬をそっと撫でると、口付けをした。
すぐに、主導権はアルフレートに移る。

柔らかな唇をお互いに食む。
唾液が流れ落ちるのも気にせず、舌を絡ませると、グレンの後頭部をアルフレートが乱暴に撫でた。

唇は離れたものの顔自体は至近距離にあり、かかる吐息が熱く感じられる。
アルフレートの金色の目は情欲に揺らめいていた。

グレンはそれを見ると目を細める。
それから、ぺろりと唇を舐めた。

アルフレートはゴクリと唾を飲み込む。

「お前趣味悪いよな。」

てっきりたまたま近くにいたのが自分だったから、組み伏せて壊れないのが自分だったから関係を持ったのだとグレンは思っていた。
別に男が好きだろうがなんだろうが、あえてグレンを選ぶ必要は無いのだから。

「は?俺は趣味はいいですし、見る目もありますよ。」

そういうとアルフレートはグレンの腕をひっぱる。
体制を崩してベッドに横たわった、グレンのシャツのボタンを器用にはずした。

それから、グレンの筋張った首筋をそっと撫でた。
ほら、やっぱり趣味悪いと思いながら、グレンはアルフレートの背中に腕を伸ばした。



お題:甘々、子煩悩
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