一から百まで

渡辺 佐倉

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初めての時よりも、体が悦んでいるのが分かる。
自分の内壁が百目鬼の指に吸い付いている。

中を、広げられる違和感はまだ、あるはずなのに指が一本増やされるごとに甲高い声が上がる。

これが気持ちいいって体も心も知っている。

百目鬼の指は爪が短く切りそろえられている。
それは俺のためじゃなくて、柔道をする際に引っ掛けて爪を割らないためだと知っている。
俺の爪だって、普通より短く切ってある。

だから「背中に腕回して、しがみついてていいから。爪も立てていいし。」と言われたときちょっと面白くて笑った。

笑い声に嬌声が混ざる。

「指に力入れたって、さすがにひっかき傷は作れねえよ?」

百目鬼の目の前に手を見せる。
爪は切りそろえられている。

当たり前だ。
今日勝負したのだ。
襟をつかんで関節を抑える。それを前提とした準備はしている。

だからどんなに背中に手を回そうと彼の背中に傷をつけることはできない。

「そうか?」

ならいいだろうと、腕を背中に回すように促される。
初めての時はどうだっただろうと思い出すけれど、いっぱいいっぱいだった自分の記憶では曖昧だ。

食事をして、やっと止まった涙は、快楽でひっきりなしに滲む。
何度も念入りにローションを追加された孔がぬかるんでいる。

足が緊張ではなく、快楽でこわばる。
このままだと指だけで達することになりそうだ。

別に気持ちよくなること自体が嫌な訳じゃない。
格闘技という枠の外で痛みを感じたい訳でもない

ただ、百目鬼よりも自分の方が気持ちよくなってるかもしれないという事実が嫌なのだ。なんか、まるで負けているって事みたいで。


多分今日は途中までしか入りませんでしたって事にはならないだろう。
未知の感覚に感情が犯されることは、もうちゃんと理解している。

むき出しになっている百目鬼の起立は痛いくらいに張りつめている。

だから――

という訳でもないけれど、俺から促してもいいんじゃないかと思った。
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