1 / 1
第1話 〜満月〜
しおりを挟む
今日は、夏の、大きな満月の日。
月光が照らすのは、山の中を歩く2人の少年と少女。彼らはお月様のちょっとしたイ・タ・ズ・ラ・によって大冒険をする事になるのだが、彼らはまだ知らない。
「ちょっと早いよ湊!」
「ごめん! 雪!」
俺の名前は、「三室 湊」。
何のへんてつも無い、ただの高校生だ。強いて言うと、喧嘩がまあまあ強いということくらいだ。ちなみに年上相手でも、俺は負けたことはない。
そして、俺の袖を今ギュッと握っているのは、「岡本 雪」。俺の幼稚園からの幼馴染だ。
こいつは、昔から頭も良くて、運動神経も良くて、顔もいい、ほぼ完璧女子だ。ただ、雪は今言ったことや、周りのみんなと違って白髪ということやちょっとボケているところもあってか。よくナンパやら、イジメやらされて、目を離せない奴なのだ。そんなこともあり、俺の喧嘩の原因は、ほとんどが雪が呼んできたものだった。しかし、白の綺麗なショートヘアに可愛い顔立ちで、しかも幼馴染の女子に毎回、「ありがとう」と言われたら、 許してしまう。男とは、哀れなものだ……
「あぁわたしったら、何でこんな真夜中にこんなところに来ちゃったんだろ……」
「いや、雪が俺に学校の裏山に一緒に行こうって誘って来たから来たんじゃないか」
そもそも、なぜ、俺たちが学校の裏山にしかも、こんな真夜中に居るかというと、話は今から数時間前に戻る。
あれは俺と雪が学校から帰っている時だった。
「湊~。暑い! 何とかして!」
「残念ながら、俺はド○えもんじゃないから無理」
「え~。そんな~……」
「何か夏っぽい事したら涼しくなるんじゃないか?」
「え~。夏っぽい事か~。じゃあ、二人で肝試しでもする?」
「なんで肝試しなんだ?」
「湊知らない? 最近学校の裏山で幽霊が出るって噂になってるよ~」
「そうなのか? じゃあ、最近二人で遊べてなかったし、今日の夜中にでも行ってみるか!」
「ヨシ!」
「ん? なんか言ったか?」
「いいや、何でもないよ!」
ということで、今に至る。
「確かに肝試しを提案したのは私だけど……湊はもうちょっと女の子に優しい声を掛けてあげられるようになった方がいいよ~」
「うるさい!」
そんなたわいもない話をしていた時だった。突然月光が強くなり、俺と雪を照らした。その光は、夏の太陽より美しく、強く輝き、そして、暖かかった……
光が落ち着くと、俺はいつもと違う違和感を感じた。
「雪! 大丈夫か?」
「うん、わたしは平気。湊は?」
「ああ、俺も平気みたいだ。そんな事より、早くこの山から出よう! 何か嫌な感じがする」
「うん!」
俺が雪の手を握り、急いで下山を開始しようとしたその時、俺と雪をまた月光が照らした。今度は、先程とは違い、優しい光だった。すると雪が突然叫んだ。
「キャー! 湊~!」
「どうした雪!?」
俺は、すかさず後ろを振り向き、雪の方を見た。すると、
「み、湊なの?」
「ゆ、雪なのか?」
そこには、白い綺麗なショートヘアーに赤い瞳、死人のように白い肌。そして、鋭い牙が2本生えている少女が、確かにさっきまで雪が着ていた服を着て、その場に立っていた。
「雪! 何だその牙は!?」
「湊こそ何その耳!?」
お互い、持っていたスマホの画面で、自分の姿を確認してみた。すると俺は、黒い髪に黒っぽい獣耳が頭からはえ、歯は全体的に鋭く、犬歯なんか獣そのままだった。
そう、俺も、雪も、人間ではなくなっていた。お月様のイ・タ・ズ・ラ・によって。
月光が照らすのは、山の中を歩く2人の少年と少女。彼らはお月様のちょっとしたイ・タ・ズ・ラ・によって大冒険をする事になるのだが、彼らはまだ知らない。
「ちょっと早いよ湊!」
「ごめん! 雪!」
俺の名前は、「三室 湊」。
何のへんてつも無い、ただの高校生だ。強いて言うと、喧嘩がまあまあ強いということくらいだ。ちなみに年上相手でも、俺は負けたことはない。
そして、俺の袖を今ギュッと握っているのは、「岡本 雪」。俺の幼稚園からの幼馴染だ。
こいつは、昔から頭も良くて、運動神経も良くて、顔もいい、ほぼ完璧女子だ。ただ、雪は今言ったことや、周りのみんなと違って白髪ということやちょっとボケているところもあってか。よくナンパやら、イジメやらされて、目を離せない奴なのだ。そんなこともあり、俺の喧嘩の原因は、ほとんどが雪が呼んできたものだった。しかし、白の綺麗なショートヘアに可愛い顔立ちで、しかも幼馴染の女子に毎回、「ありがとう」と言われたら、 許してしまう。男とは、哀れなものだ……
「あぁわたしったら、何でこんな真夜中にこんなところに来ちゃったんだろ……」
「いや、雪が俺に学校の裏山に一緒に行こうって誘って来たから来たんじゃないか」
そもそも、なぜ、俺たちが学校の裏山にしかも、こんな真夜中に居るかというと、話は今から数時間前に戻る。
あれは俺と雪が学校から帰っている時だった。
「湊~。暑い! 何とかして!」
「残念ながら、俺はド○えもんじゃないから無理」
「え~。そんな~……」
「何か夏っぽい事したら涼しくなるんじゃないか?」
「え~。夏っぽい事か~。じゃあ、二人で肝試しでもする?」
「なんで肝試しなんだ?」
「湊知らない? 最近学校の裏山で幽霊が出るって噂になってるよ~」
「そうなのか? じゃあ、最近二人で遊べてなかったし、今日の夜中にでも行ってみるか!」
「ヨシ!」
「ん? なんか言ったか?」
「いいや、何でもないよ!」
ということで、今に至る。
「確かに肝試しを提案したのは私だけど……湊はもうちょっと女の子に優しい声を掛けてあげられるようになった方がいいよ~」
「うるさい!」
そんなたわいもない話をしていた時だった。突然月光が強くなり、俺と雪を照らした。その光は、夏の太陽より美しく、強く輝き、そして、暖かかった……
光が落ち着くと、俺はいつもと違う違和感を感じた。
「雪! 大丈夫か?」
「うん、わたしは平気。湊は?」
「ああ、俺も平気みたいだ。そんな事より、早くこの山から出よう! 何か嫌な感じがする」
「うん!」
俺が雪の手を握り、急いで下山を開始しようとしたその時、俺と雪をまた月光が照らした。今度は、先程とは違い、優しい光だった。すると雪が突然叫んだ。
「キャー! 湊~!」
「どうした雪!?」
俺は、すかさず後ろを振り向き、雪の方を見た。すると、
「み、湊なの?」
「ゆ、雪なのか?」
そこには、白い綺麗なショートヘアーに赤い瞳、死人のように白い肌。そして、鋭い牙が2本生えている少女が、確かにさっきまで雪が着ていた服を着て、その場に立っていた。
「雪! 何だその牙は!?」
「湊こそ何その耳!?」
お互い、持っていたスマホの画面で、自分の姿を確認してみた。すると俺は、黒い髪に黒っぽい獣耳が頭からはえ、歯は全体的に鋭く、犬歯なんか獣そのままだった。
そう、俺も、雪も、人間ではなくなっていた。お月様のイ・タ・ズ・ラ・によって。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる