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壱、
しおりを挟む俺のうちのマンションがバリゲード封鎖された訳ではないのだけれども、外壁をシールドによって完全武装された仕様にいつの間にかなっていて、しかも、隣のうちは既に臨戦態勢が完了している。玄関扉、鋼鉄の扉を新たに増設して二重扉になっていた。これはもう只事ではないぞ!?何事か?取り敢えず、外の様子をうかがってみようと思い立ち玄関からあたりを注意深く見渡し、周辺の動静、総ての感覚をフル稼働させて訝りつつ狭い廊下を横向きになって這いながら外界へ出ようとすると、果たして、其処はブロック塀の上であって、またそして、正午の報せと夕方五時に夕焼け小焼けのメロディが流るる各町内ごとに設置された公共スピーカーからは、何の理由も提示せずに、ただただ、自宅で待機していてくださいという主旨内容の放送が繰り返し垂れ流されていた。俺は、そんなこと気にも留めずにブロック塀の上を悠々と、しかし、壁に手を突きながら半ば慎重に突き進むのだけれども、或る地点で行き止まり。俺とおなじく壁を頼りにしながらブロック塀の上で立ち止まっている、おそらくたぶんおんなじマンションの住民であるとおぼしきおばさんがいて、俺は、そのおばさんに向かって「…果たして、一体、世の中はどーなってるんでしょうねえ?」と、話し掛けようか?話し掛けまいか?考えあぐねながらも、ここで話し掛けたら百年目!これからどっかで逢うたんび ことあるごとに そこかしこでやんごとなき挨拶を取り交わしたり世間話なんかしなくちゃならないやんぴこんぴな状況に陥ったりなんかして、そんなことになったら浮き世はガンジガラメ地獄、渡る世間は鬼が斬る!わてほんまによいわんわ!わてほんまによいわんわ!でんがなまんがなかいたろか?ほんますまんこってす!飛び蹴りゴッデス!状態。何処に行っても誰ともふれあわずすれ違わず誰にも咎められず気にも留められず歯牙にも掛けられず誰も知らないどんな場所でも知らぬ存ぜぬつらぬき通されいつでもどこでもちからいっぱい無機質な存在であるべきだ!と俺は叫びたいATTITUDEの持ち主であるからして、誰も俺のことなど知らない知りたくもない知る由もないし、俺は誰も知らないし知りたくもない知る術もない訳でもあるからして、なにをどこでだれがしようとしでかそうとやらかそうと知ったこっちゃねぇやは十五で嫁にいき♪Styleを踏襲しながら明日は我が身のアスファルト無心、四つん這いになってHighになってカレンダーを喰い散らすような生活、知りびととおらずわかち合うひとおらず訊ねびとの数は計り知れず常に我関せず誰彼知らず知らずの詠み人知らず世間知らずの浮世離れゼログラヴィティZ.O.N.E.をキープオンロッケンロー!して自由を謳歌し身の程を弁えず引き伸ばし拡張しながら自我を見定めることなく自分を見失いたいから況してや未来の俺に対しても、も、も、申し訳、NNNNNNght!!!!!(※ ギルガメッシュ、ナナナナァアアアアアイト!!!!!)であるからして、話し掛けるのはやめとくことにした。なんとかこの関所をうまいこと通り抜けて移動する為の策を考えあぐねながら、スマフォを弄くり、チャールズマンソンのアイコラを制作していると、ブロック塀の下では地獄から帰還したモノホンのチャールズマンソンが超次元的に復活していて 悪魔のいけにえ準備万端、死霊のしたたりスタンバイオッケー!しかも、ドラゴンボールZ悟空伝なんとかバトルみたいに縦横無尽そこら中の上空を華麗に舞い躍っている。ターゲット、ロッキングオンされて俺がいけにえになるのは時間の問題なのだけれども(最早、慈悲なし!)、そんなことらに気を取られていたらふと片足に違和感を感じ、眼下に目をやると、フィリピーナが、自らのことをカンダタになぞられているのか?知らんが、俺の片足を蜘蛛の糸のようにしてしがみついて決して離そうとしない。そのまんま上へ上がって来ようとしているものだから、俺はその足を無我夢中で四方八方にぶらぶらさせてあわてて振り解こうとしている。この出来事の時点で、俺は、もう既に外に出るのを諦めておとなしくマンションの内部空間へ引き返すのだけれども、俺の足から手を離したフィリピーナはブロック塀の下で事切れていた。マンションのエントランスホールに戻ると、体育館のようになっていてあたり一面はゴミだらけ。片隅では、夜鬱婆が夜鬱部チャンネルの録音をしていてこちらに背を向けて半車座になっていた。そのなかのひとりが急にこちらを振り向き、持ち前の慇懃ではない無礼さで「なんだこいつッ!?」と 吐かれた。そして、俺は、なるべく音を立てないように抜き足&差し足&忍び足でそのなかの一番偉そうな奴に近づき腰を屈めて耳打ちをして、「…このフロアー掃除してもいいですか?」と 訊くと「…はい、いいですよ…!」と、俺の声量を更に下廻る小声で呟かれた、余白に人情。許可を得ることが出来たので、竹箒ではなく、日本家屋に昔からある古き善き懐かしき昔ながらの座敷箒で、掃除し始める。しかし、本当にこれで正しかったのだろうか?考えあぐねながら掃除をしていると、外ではサイレントがけたたたたたたたたましく鳴り響いている。戦争でも始まったのか…?
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