1 / 13
第一章
プロローグ
しおりを挟む
「ーー次のニュースです。昨夜、イタリア北部においてヴァンパイアと聖騎士団との大規模な戦闘が起きた模様です」
終戦記念公園の広場に設置された巨大スクリーンから、アナウンサーの強ばった声が流れてくる。
出勤を急いでいた人々も思わず足を止め、情報に聞き入っていた。
「幸い周囲に民家は無く、下水処理場があるのみでしたので、人的被害はなかったとのことです。戦闘終了後、現場にはローガン・ハリス副団長が到着し、事態の収拾をーー」
今や、ニュースの大部分は聖騎士団とヴァンパイアの話ばかりだ。
約一年半ほど前に、聖騎士団上層部が世界放送で明らかにした、ヴァンパイアとの戦争。
おとぎ話上の生物だと思われていた奴らの存在に、人間は震え上がった。
全ては、ヴァンパイアの頂点に君臨する化け物が舞い戻ってきたことから始まったそうだ。
奴らは人間社会にとけ込み、今もどこかから人間の生き血をすすろうと狙っているのかもしれない。
「ヴァンパイアは非常に危険です。国民のみなさんは、夜間の外出を控え、戸締まりに気をつけてください」
続報が入り次第伝えるという、おきまりの文句で締めくくったアナウンサーは、すでに次のニュース内容に移っていた。勿論、ヴァンパイアによる被害増加についてのニュース。
殺人事件はかすみ、最優先されるのはヴァンパイアに関連する情報だ。
人間こそ地上最強の生き物だと思われていたのに、王族ヴァンパイアなんて化け物が蘇ったせいで、世界は一変した。
人間はもう、精肉場へ出荷される日を恐れて待つ、牛の気分だ。
ヴァンパイアにあらがう事ができるのは、聖騎士団とーー俺くらいだろう。
興味もなくスクリーンを眺めていると、スマートフォン型の通信機が、入電を告げた。
緩慢な動作で通信に出ると、聞き慣れた声が俺を呼んだ。
『ルーカス』
「お疲れさまです、ハリス副団長」
『すぐ本部へ来い。お前に初任務だ』
「ーー了解」
とげとげしい話し方にも、もう慣れた。
俺は通信を切ると、呼び出された場所へ足を向けた。
だが、再びスクリーンを見上げる。
そこには、聖騎士団が血眼になって探している王族ヴァンパイア二体が映っていた。
銀髪の男と、黒髪の男。
俺は、スクリーン越しに優しげなまなざしを向けてくる黒髪の男の顔を凝視する。
「・・・・・・殺す」
この二体を殺すことが、俺の存在理由だ。
終戦記念公園の広場に設置された巨大スクリーンから、アナウンサーの強ばった声が流れてくる。
出勤を急いでいた人々も思わず足を止め、情報に聞き入っていた。
「幸い周囲に民家は無く、下水処理場があるのみでしたので、人的被害はなかったとのことです。戦闘終了後、現場にはローガン・ハリス副団長が到着し、事態の収拾をーー」
今や、ニュースの大部分は聖騎士団とヴァンパイアの話ばかりだ。
約一年半ほど前に、聖騎士団上層部が世界放送で明らかにした、ヴァンパイアとの戦争。
おとぎ話上の生物だと思われていた奴らの存在に、人間は震え上がった。
全ては、ヴァンパイアの頂点に君臨する化け物が舞い戻ってきたことから始まったそうだ。
奴らは人間社会にとけ込み、今もどこかから人間の生き血をすすろうと狙っているのかもしれない。
「ヴァンパイアは非常に危険です。国民のみなさんは、夜間の外出を控え、戸締まりに気をつけてください」
続報が入り次第伝えるという、おきまりの文句で締めくくったアナウンサーは、すでに次のニュース内容に移っていた。勿論、ヴァンパイアによる被害増加についてのニュース。
殺人事件はかすみ、最優先されるのはヴァンパイアに関連する情報だ。
人間こそ地上最強の生き物だと思われていたのに、王族ヴァンパイアなんて化け物が蘇ったせいで、世界は一変した。
人間はもう、精肉場へ出荷される日を恐れて待つ、牛の気分だ。
ヴァンパイアにあらがう事ができるのは、聖騎士団とーー俺くらいだろう。
興味もなくスクリーンを眺めていると、スマートフォン型の通信機が、入電を告げた。
緩慢な動作で通信に出ると、聞き慣れた声が俺を呼んだ。
『ルーカス』
「お疲れさまです、ハリス副団長」
『すぐ本部へ来い。お前に初任務だ』
「ーー了解」
とげとげしい話し方にも、もう慣れた。
俺は通信を切ると、呼び出された場所へ足を向けた。
だが、再びスクリーンを見上げる。
そこには、聖騎士団が血眼になって探している王族ヴァンパイア二体が映っていた。
銀髪の男と、黒髪の男。
俺は、スクリーン越しに優しげなまなざしを向けてくる黒髪の男の顔を凝視する。
「・・・・・・殺す」
この二体を殺すことが、俺の存在理由だ。
0
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
因習村の生贄の双子を拾って10年、何故か双子に執着されています
ユッキー
BL
因習村の神への生贄だった双子を偶然拾ったルポライターの御影透は、成り行きで双子を引き取る事に。10年後、双子が居た村が土砂崩れで廃村した事から物語が始まる。双子からの信仰と執着の行方は?
主人公×双子兄
双子弟×主人公
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる