聖女のわたし???が憧れの魔法使いさまの罠(トラップ)に堕ちる

myme

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もう、君を苦しめたくない

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 ラビィは作業所でルビーの魔法石を使ってブレスレット、ネックレス、髪飾りを作っていた。

 試作品をお屋敷のメイドに試してもらったところ、自分の魔力が安定するとか、ほんのちょっとだけ火力が上がるとか、お守り程度の力らしい。これらの作り方もノートに記述した。

 

 日常的に魔法を使っていた世界は、だんだんと魔法の力が弱まり生活は一変した。


 世界は竜や幻獣と人の暮らしの空間を分けるように規則を作り直した。

 

 ☆


 〈☆スノウクリスタル城。王座の間。〉

「ーーデンドライト国王、それで話しといいますのは」

 ベテルギウスは国王陛下に会いに来ていた。

「星の魔法使いに星の杖を取り戻していただきたい」


「このことは騎士団には相談済でしょうか?」

「騎士団で解決していないから改めてお願いしたいのだ」

「……わかりました」


 〈☆居間。〉


「ベテルギウス、調子はどうだ?」

「おかげさまで」

「そうか……君の力が安定しているなら良かった」

「騎士団にいた頃はお世話になりました」

「もう騎士団に戻るつもりはないのか?」

「ーー時期を見ているだけです」

「そうか」

「ベテルギウス、聖女の力がなくなったことについてなんだが」

「城の兵士になるつもりはないか?」

「ご冗談を」

「俺は時期にここを引退しないといけない」

「考えておきます」

「返事はゆっくりでいい」

「面倒なことになったな……」



 ベテルギウスは城から出る。
 吐く息が白い。
 空は灰色の雲が広がっていた。



 〈☆シリウスのお屋敷。〉


 「ーー雪が降ってきたようだな」

 真っ白なワンピースにニットのカーディガン。ふわふわの靴下を履いて、ラビィは窓の景色を見ていた。
 暖炉には薪がくべられており、火が灯されている。その暖炉を囲むように人が集まっていて、プロキオンはとあるものを持って立っていた。彼は手に持つものをテーブルに乗せる。被せてあった布を取る。


 小さくて真っ白な鳥だ。
 鳥かごの中の鳥は足首に銀色のリングがついている。



「この街は雪が多く積もる。雪が積もるとどこにも出歩けなくなるので、退屈しのぎに良いと思ってな」


 魔法使いは移動に馬車の他にも移動魔法を多く使っていた。それはとても便利なもので、一瞬のうちに今いる場所から遠くまで姿を移動させることができる。また、今まで街全体に降る雪の量を調節していたこともある。今はそれが気軽にできないので、本当に必要なときに、街に許可書を申告して、行先を指定された場所しか行き交うことができない。魔力の節約、節約ということだ。

 ラビィは鳥かごの鍵を開ける。かごの中の鳥は白くてふわふわで……おもちみたいにまんまるとしていて……。

(この鳥……飛べなさそう……)

 ラビィは心の中で思った。

 メイドは今は使われていない蓋つきの宝石箱を一つ持ってきた。その中に布を敷く。

「見る限りに大人しそうな子ですし、日中はここで過ごしてもいいのかなと」

 小鳥はラビィの手の中から宝石箱の中に入った。


 「それともう一つーー……」

 シリウスから白の箱が渡せれる。銀のリボンを解いてみると、中から、あたたかそうな可愛らしいブーツが出てきた。それと、折りたたんで入っていたものは、真っ白のコート。胸元に一等星の星が描かれたシリウスとお揃いのコートだった。ラビィはコートを大切に持って微笑む。







 そんな二人の様子を遠くからメイドたちは見守っていた。
 柱時計の秒針の音。


「ーーねぇ、この前の話しなのですが」

「ラビィさまに婚約者だってこと、バレてしまいましたのよね?」

「ですねぇ」

「……ですのに、この二人の遠い距離はおかしくございませんか?」

「うーーん」

「シリウスさまもはやく例の物をお渡ししたらいちころですのに」

「奥手な……こほん、失礼。慎重なお方ですので……わたくしはなんとも」

「本当シリウスさまは……」


 柱時計の音が鳴る。


「ーーえ? 気持ちを聞いていない?」

「ーーは? 聞いてない? あんなに長い時間一緒にいるのに?」


「ーー聞くタイミングありましたよね?」

「なかった? は?」


 
「ラビィさまはプロキオンさまでも動かなかった!?!?!? は!?!?!?」



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