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プロローグ
プロローグ
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…‥‥私は、生まれつき皆とは違っていた。
同じ種であり、同じ親の卵から生まれたはずなのに、どういう訳か私だけはちょっと違っていた。
他の黒光りする光沢を持つ皆とは違い、私の方はふわふわとした毛を持つ身体。
とはいえ、そんなことは家族は気にせず、同じように育ててくれた。
‥‥‥そしてある日、私はいつものように兄や姉たちと一緒に狩りに出かけ、身重になった母様のために栄養たっぷりの獲物を捕らえて持って来たが…‥‥そこにはもう、住みかは無かった。
何もかもが焼き払われ、抵抗したらしい家族が皆、切り捨てられ、射貫かれ、焼かれている。
何が起きたのかと思っていたところで‥‥‥頬をかすめるかのようにして何かが通り過ぎ、真横にいた兄弟を貫いた。
【‥‥‥キュ?】
その飛んで来たものの先を見れば、そこにいたのは人間と呼ばれる者たち。
時折母様たちが獲物として持ち帰ってきていたが‥‥‥‥そんな獲物が、あっさりと家族を殺せるのか?
そう思っている中で、次々にその者たちは武器などを使って、私達を攻撃してきた。
その中で、ふと彼らは私の存在に気が付き…‥‥驚愕したかのような目を向けたかと思えば、次の瞬間には、ぞっとするかのような欲望の眼に切り変わっていた。
(怖い、怖い、怖い、怖い怖い怖いコワイコワイコワイ!!)
強い悪寒に襲われ、恐怖が心を占めていくのだが、体が動かない。
そうしている間にも、家族がどんどん狙われていき、私が最後の一匹になってしまった。
逃げ出したいのに逃げられない。
腰が抜けてしまい、戦いたくとも戦えない。
そして、彼らが私を捕らえようとしたのか、何か縄のような物を持ってきたところで…‥‥ようやく私の体が言う事を聞いて、足が駆けだした。
人間たちは私の逃走に驚きつつも、直ぐに何か怒声を上げて追いかけてきたが、そんなものを気にしている場合ではない。
出来れば家族を殺戮したあいつらには復讐してやりたいけれども、悔しいが私ではどうにもできない。
今できるのは、ただ逃げるという行為のみ。
けれども、家族の中で誰よりも早く駆け抜けることが出来た私ではあったが…‥‥生憎、人間たちの武器には勝てなかったらしい。
ズドン!!
【‥‥‥がっ!?】
鈍い音と鋭い傷みに気が付き、見れば私の体は大きな剣で貫かれていた。
そのまま血を流し、力を失い、思いっきり転倒して転がり…‥‥その先には、母様が絶対に落ちるなと言っていた大穴があった。
このまま向かえば、私はその穴に落ちるだろう。
かなりの深さがあるようで、この怪我ではまともに落ちれば確実に助かることはない。
‥‥‥でも、その方が良いのかもしれない。
もう、私の家族は皆、逝ってしまったようだから。
復讐だとか逃亡とかはもうできないだろうし、このままいっその事私は消えるかのように亡くなったほうが良いだろう。
生きる事を諦め、私はそのまま抵抗せずに転がり、その穴に落ちた。
落ち行く先で、ふと上を見れば、ギリギリのところで人間たちが見下ろしており、獲物を捕らえ損ねたかのような悔しい顔をしていた。
まぁ、その気持ちが分からないでもない。獲物が取れなければ、悔しいのは間違いないだろうから。
とはいえ、その獲物が私だということに関しては複雑だが…‥もう、関係ない事だとは思う。
ああ、でもせめて、母様たちと共に眠りたかったなぁあ。
皆と一緒に遊び、食べ、過ごした日々が私の頭の中を流れていく。
もしも、願いが叶うならば、次の生があるのならば…‥‥今度はこんな目にあうことが無い、楽しい生を過ごしたい…‥‥
『…‥‥良いでしょウ。見かけたのであれば、これも何かの縁。とは言え、種族は変えようがないようですが…‥‥ここで消えるのもなんですし、大丈夫な場所へ移動させマス。貴女にとって、大事な相手が共に居る生涯になるように…‥‥』
…‥‥意識が薄れ、私が私でなくなる前に、声が聞こえてきた。
それがどの様な内容だったのかは理解できなかったが、少なくとも今の願いがちょっとは叶うらしい。
その願いを叶えてくれるらしい声の主に感謝しながら、私という存在はその場から消えるのであった…‥‥
同じ種であり、同じ親の卵から生まれたはずなのに、どういう訳か私だけはちょっと違っていた。
他の黒光りする光沢を持つ皆とは違い、私の方はふわふわとした毛を持つ身体。
とはいえ、そんなことは家族は気にせず、同じように育ててくれた。
‥‥‥そしてある日、私はいつものように兄や姉たちと一緒に狩りに出かけ、身重になった母様のために栄養たっぷりの獲物を捕らえて持って来たが…‥‥そこにはもう、住みかは無かった。
何もかもが焼き払われ、抵抗したらしい家族が皆、切り捨てられ、射貫かれ、焼かれている。
何が起きたのかと思っていたところで‥‥‥頬をかすめるかのようにして何かが通り過ぎ、真横にいた兄弟を貫いた。
【‥‥‥キュ?】
その飛んで来たものの先を見れば、そこにいたのは人間と呼ばれる者たち。
時折母様たちが獲物として持ち帰ってきていたが‥‥‥‥そんな獲物が、あっさりと家族を殺せるのか?
そう思っている中で、次々にその者たちは武器などを使って、私達を攻撃してきた。
その中で、ふと彼らは私の存在に気が付き…‥‥驚愕したかのような目を向けたかと思えば、次の瞬間には、ぞっとするかのような欲望の眼に切り変わっていた。
(怖い、怖い、怖い、怖い怖い怖いコワイコワイコワイ!!)
強い悪寒に襲われ、恐怖が心を占めていくのだが、体が動かない。
そうしている間にも、家族がどんどん狙われていき、私が最後の一匹になってしまった。
逃げ出したいのに逃げられない。
腰が抜けてしまい、戦いたくとも戦えない。
そして、彼らが私を捕らえようとしたのか、何か縄のような物を持ってきたところで…‥‥ようやく私の体が言う事を聞いて、足が駆けだした。
人間たちは私の逃走に驚きつつも、直ぐに何か怒声を上げて追いかけてきたが、そんなものを気にしている場合ではない。
出来れば家族を殺戮したあいつらには復讐してやりたいけれども、悔しいが私ではどうにもできない。
今できるのは、ただ逃げるという行為のみ。
けれども、家族の中で誰よりも早く駆け抜けることが出来た私ではあったが…‥‥生憎、人間たちの武器には勝てなかったらしい。
ズドン!!
【‥‥‥がっ!?】
鈍い音と鋭い傷みに気が付き、見れば私の体は大きな剣で貫かれていた。
そのまま血を流し、力を失い、思いっきり転倒して転がり…‥‥その先には、母様が絶対に落ちるなと言っていた大穴があった。
このまま向かえば、私はその穴に落ちるだろう。
かなりの深さがあるようで、この怪我ではまともに落ちれば確実に助かることはない。
‥‥‥でも、その方が良いのかもしれない。
もう、私の家族は皆、逝ってしまったようだから。
復讐だとか逃亡とかはもうできないだろうし、このままいっその事私は消えるかのように亡くなったほうが良いだろう。
生きる事を諦め、私はそのまま抵抗せずに転がり、その穴に落ちた。
落ち行く先で、ふと上を見れば、ギリギリのところで人間たちが見下ろしており、獲物を捕らえ損ねたかのような悔しい顔をしていた。
まぁ、その気持ちが分からないでもない。獲物が取れなければ、悔しいのは間違いないだろうから。
とはいえ、その獲物が私だということに関しては複雑だが…‥もう、関係ない事だとは思う。
ああ、でもせめて、母様たちと共に眠りたかったなぁあ。
皆と一緒に遊び、食べ、過ごした日々が私の頭の中を流れていく。
もしも、願いが叶うならば、次の生があるのならば…‥‥今度はこんな目にあうことが無い、楽しい生を過ごしたい…‥‥
『…‥‥良いでしょウ。見かけたのであれば、これも何かの縁。とは言え、種族は変えようがないようですが…‥‥ここで消えるのもなんですし、大丈夫な場所へ移動させマス。貴女にとって、大事な相手が共に居る生涯になるように…‥‥』
…‥‥意識が薄れ、私が私でなくなる前に、声が聞こえてきた。
それがどの様な内容だったのかは理解できなかったが、少なくとも今の願いがちょっとは叶うらしい。
その願いを叶えてくれるらしい声の主に感謝しながら、私という存在はその場から消えるのであった…‥‥
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