転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波

文字の大きさ
104 / 229
3章 学園中等部~

3-39 それは見られないようにされつつも

しおりを挟む
‥‥‥グラーダ共和国内、とある施設。

 その内部にて集まっていた者たちは報告を聞きつつ、一つの作戦が失敗したことを確認していた。

「‥‥‥そうか、狙っていた魔石は入手できなかったか」
「そのようです。ただ、全部を吐かさせられる前に自害を試みるもできていません」
「情報が漏れるのを避けたいが…‥‥幸いなことに、狩れということしか出していない以上、特にここまでたどり着くようなことは無いだろう」
「戦闘員を失うのは痛いが…‥‥それでも、切り捨てなければいけないな」

 室内に集まる者たちは溜息を吐きつつも、すぐに気持ちを切り替える。

 元々、その作戦自体は自分たちの求めていた魔石の確保手段の一つであり、それが失われても代わりはある。

 切り捨てる事でこちら側を守ることが、今は優先されるのだ。

「しかし、そうなると次に狙うべきは他のモンスターだろうが、それでも厳しいな」
「今回のターゲットは、まだ狙いやすさがあったが、この件で確実に警戒されて二度目は無いだろう。やりやすい所から狙わずに、やるべきだったか…‥‥」

 未練はあるが、それでも引き下がるしかないだろう。

 そして、次を狙えば良いのだと思っていた‥‥‥‥しかし、それは叶うことは無い。

「ところで、国への根回しは?下手にやれば上が激怒しかねないが」
「ああ、皇女も混ざっていたことで、国際問題になりかねない点か。一応、既にある程度の根回しはしており、情報はこちらに逐、っ!!」
「ん?どうなされたので、っ!?」

 議論し合って次を決めようとしていた中で、一人が胸を突然抑えて苦しみだし、そして次々にその場にいた者たちは同じように苦しみ始める。

「がっ、はっつ、な、なんだ、こごれば!!」
「ぎっつ、いだみが、ぎだぎががが!!」
「ひぎゅううううううヴヴヴぇばばぁあらら!!」

 突如自分たちの体に来る強烈な痛みに、何事かと思うのだが苦痛の声しか出てこない。

 いや、痛み以外にも何か一緒にあるようだが、それでも理解し切れずに苦しむのみ。



 全身に襲い掛かる、猛烈な痛み。

 引き千切り、捻じ切り、磨り潰し、切り裂き、叩き潰し…‥‥ありとあらゆる苦痛が一度に交じっているかのような激痛はそれからしばらく続いた。

 だがしかし、それで終わるはずがないだろう。彼らはもう、やってしまったのだから。

 これがまだ、滅亡の序章に過ぎないのだが…‥‥どうやら今は、末端部分からじわりじわりと攻められるようであった‥‥‥‥








‥‥‥夜も更け、朝日が昇る。

 自分の状態を診察してもらいつつ、完全に治っていることを確認してもらい、清々しい朝日を浴びることができているだろう。

 けれども今、一番良いのは…‥‥

【えへへ‥‥‥アルス、私と両思い。嬉しい‥‥‥スヤァ‥】
「よっぽど嬉しかったのかなぁ‥‥‥寝言でずっと言っているね」

 ベッド状態を選択したので、元の大きさのまま寝ているハクロに対してそうつぶやいたけど、嬉しい気持ちは同じだろう。

 今回の事で気が付かされ、そして想いを告げあったのは昨日の出来事。

 とはいえまだ、肉体関係とかは持てないんだけどね‥‥‥‥そこはきちんと、僕も成長しないといけないし、学生の身と言う以上不純異性交遊などは禁止されているのだ。

 アリス曰く、それでやらかして身を滅ぼした人もいたので、できる限り節度を守ってほしいのだとか。

 まぁ、そんな人がいたというだけで、ならば卒業まで我慢して…‥‥ということにもならない。


 僕は男爵家の次期当主でもあり、将来的には侯爵家にまでなるけれども、人であり貴族の立場。

 それに対してハクロは人に似ていてもモンスターであり、人ならざる存在と言う立場。

 何かと問題が山積みのようだが、それでもどうにか超えていきたいと思う。

「にしても、寝ているのに笑顔だよね‥‥‥ぷにっと」
【ピキュルゥ】

 なんというか、この寝顔を見るとほんわかとした気持ちになるが、むずっといたずら心が湧いてしまった。

 なので、ちょっと指で頬をつつく。

「おお‥‥‥なんかこう、すごいぷにぷにしているかも」
【ピキュルゥ、キュルゥ‥‥‥】

 弾力のある肌と言うか、ハリのある肌と言うべきか、突きがいがある肌。

 少し気持ち良くて、思わずぷにぷにっと続けてしまった…‥‥その時であった。


【キュルッ‥‥‥んにゅ?‥‥‥アルス、何しているの】
「あ」

 やり過ぎたというか、起こしてしまったらしい。

 ぐにゅぅっと僕の指が彼女の頬を押している中で、目を開いた。

【‥‥‥アルス、ちょっといたずらしてる…?なら、私も、ちょっとやる!】
「っと!?」

 がばぁっと一気に起き上り、痛みを感じさせないように加減しているのか僕の腕を引き、ベッドに押し倒される。

「ちょ、ハクロ、何をする気で‥‥‥」
【キュルルル、アルスのいたずら、やり返すだけ!】

 キラーンっと、目を光らせてハクロはそう返答する。

 力では圧倒的に負けているし、今の彼女との姿勢だと、まさに僕が被食者側で彼女が捕食者側に回っている。

【突くだけ、というのもなんか意味ない。だからこそ、こちょこちょで応戦するねー!!】
「何をどうしたらそんなことを考え、」
【問答無用!!アルス、覚悟♪】
「待って、待って、ま、あははははははははははっはっはっはあははははっはははははははっは!!」

 押し倒されたこの体制ではなすすべもなく、僕は抵抗することもできずに、むなしく笑わされまくるのであった‥‥‥‥



‥‥‥なお数分後、この騒ぎを聞いて入って来たアリス皇女に盛大にハクロがスパンっとツッコミを入れられ、一緒に説教されたのは言うまでもない。

「あのね、まだ問題があるのだけれども…‥‥二人とも、昨日まであったことを分かっているのかしら?」
「すいません、すいません‥‥‥」
【ごめんなさい…‥‥】
しおりを挟む
感想 574

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...