転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波

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4章 中等部後期~高等部~

4-27 こういう変化もちょっとはあったりする

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 ついについに迎えた、帝都内の大プール解禁日。

 ざっばぁぁんっと波がでるプールや、ぶくぶくっとジャグジーみたいにあぶくのでるプールなどが多数ある中、僕らは割とマイナーかもしれない流れるプールを漂っていた。

【キュルルル、流れる、楽で面白い!】
「何もしなくても流されるんだよね。流れに逆らって泳ぐ人や、流れに乗って加速する人も混じっているけれども…‥‥これはこれで楽しいんだよなぁ」

 ぷかぷかと浮かびつつ、ハクロの背中に乗って流される感覚は前世の絵本を思い浮かばせる。

 浦島太郎が亀に乗って竜宮城へ向かうところだが、この状況もまさにそれに近いだろう。

 まぁ、亀ではなく蜘蛛の背中だけどね。しかも浮かびまくっているのではなく、ちょっと重しを付けているから少し沈んだ状態だし。


 それでもこうやって何かに乗って流されるのもプールの醍醐味だろう。

 なんでこんなものがあるのかと思うが、全部魔道具で稼働しているのだという説明で簡単に片付くのは流石異世界というべきか。でもいくつかは、実は他の国にあるプールに存在しているものを輸入しているという噂もあったりする。もしや、前世の人でプール作りに携わった人がいるのでは?

 そう思いつつ、のんびりと流されるのを楽しんだところで、次のプールへ移ろうと思い立つ。

 きょろきょろと見渡し、適当なものを捜すと、ちょうどいいものがあった。

「あ、そうだハクロ。次はあれにのろう!ジェットスライダー!!」
【キュルル!!良いかも!!】

 プールと言えば、それは欠かせないものだろう。

 人気があるようで列が並びつつも、どんどん流されていくので進みは早く、そこまで待つことは無い。

 そして僕らの番になったのだが‥‥‥‥悲劇は起きた。









「…‥‥身長制限、かぁ‥‥‥」
【‥‥‥アルス、それでも小さいの、乗れたよ?】
「それはそれでよかったけど…‥‥こうやって面と突きつけられると、ちょっと心に来るんだよね」

‥‥‥何で人って、自ら墓穴を掘るような真似をしてしまうのか。

 例えが合っていないような気もするが、それでもショックなのは間違いない。

 安全を考えるならば確かに設けられているだろうが、それにしても高等部の年齢なのに‥‥‥身長制限にかかる男って僕ぐらいではないか。

【キュルゥ‥‥‥薬でごまかせても、納得しないよね?】
「そりゃ、ズルみたいなものだからね…‥‥」

 やろうと思えばできなくもないが、流石にそこまでやるほどでもない。

 でも、やっぱり悔しいんだよなぁ‥‥‥あんまり伸びない、我が身が残念過ぎる。

 原因としては予測がついていたりするのだが、それでもハクロと一緒にしたいし、どうしようもない。

【‥‥‥だったらアルス、私いい考え思いついた!】
「ん?」

 落ち込んでいる僕を見てどうしようかと悩んでいたハクロだったが、急に何かを思いついたようでポンッと手を撃った。

 何だろう、すっごい嫌な予感しかしないが…‥‥っと、考えている合間にも僕をすぐに手で持ち、魔力で出来た翅を広げるハクロ。

 その時点で僕はもう、何をやらかされるのか悟ってしまった。

「あの、ハクロ、もしかしてだけど…‥‥急降下でやってみようと?」
【うん!ただの急降下じゃなくて、宙がえり三回転5回横捻りアクロバット!所長お婆ちゃんに前に聞いた、空飛ぶモンスターのすごい飛行方法を聞いておいたから、それを活かすの!ジェットスライダーよりも迫力あるはず!!】
「待って待って、それ本当にや、」
【飛翔!!】
「ああああああああああああああ!!」

 止める間もなく瞬時に加速し、上空まで到達するハクロ。

 そして少しばかり落下前の静かな対空があったのち、狙いを定めるように体が傾き…‥‥

【そして急降下ーーーー♪】
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

…‥‥前世の遊園地でジェットコースターに乗った時よりも、どんなホラー映画でも出したことが無いような、大絶叫をあげて、浮遊感と水面が迫りまくる恐怖体験を味合わされるのであった‥‥‥‥

「‥‥‥そして案の定、プールの監視員から説教を喰らったね」
【…‥‥キュル、いい案、だったんだけどなぁ…‥‥】










…‥‥凄まじい恐怖体験を味わっていた丁度その頃。

 別の意味での恐怖体験というか、真の意味での恐怖が産まれていた。

「‥‥‥‥いや、恐怖になる前に、除去できたか」
「な、何者だ、お前らは!!」
「我々の作り出した生体兵器をこうも容易くあしらうとは、どうなっているんだ!!」

 とある地下の研究所内にて、無残に散らばる肉塊。

 そしてその研究所で勤務していた白衣の者たちは、目に映っていた生きた人たち…‥‥正体を隠すためか仮面をつけていたりフードを被っていたりする者たちに対して、そう叫んだ。

「尋ねられて、答えることがあるだろうか」
「いや、無い。だが、ここは礼儀正しく名乗るのであれば…‥‥元祖ハクロちゃんファンクラブ、戦闘部門の者というべきだろうか」
「は?ファンクラブ?戦闘部門って…‥‥」
「そんな滅茶苦茶なファンクラブがあるか!!」

「「「確かにその通りだが、あるのだから仕方がない!!」」」

 白衣の者達のツッコミに対して、ファンクラブの者たちは声をそろえる。


‥‥‥もともとファンクラブ自体、そんなに戦闘力があるわけでもなかった。

 だがしかし、数年前に起きた誘拐事件を機に鍛えあげ、その中でもより一層過激に動ける者たちが集まり、戦闘をこなすようになった部門が設立されたのである。

 全ては彼女を守るために、二度と悔しい思いをしないために。

 ゆえに固い結束でなりたち、ますます鍛え上げた彼らはここへ最高幹部たちの指示を受けて潜入し、滅ぼしている最中であった。

「だ、だがここが滅んでもまだほかにも‥‥‥」
「黙ってろ、もう聞く気はない」
「あるならあるで、潰すだけなのだからな」

バシィッ!!
「「ぐげぇぇぇっ!?」」

 そう告げつつ、手刀で白衣の者達の気を失わせていく。

 何も命を奪うまでには至らない。それでは情報も引き出せないし、生かすからこそ罰にもなる。


「‥‥‥‥さてと、大分殲滅したが…‥‥ひとまず後は自爆させ、次へ移るぞ」
「ああ、得られた情報では他にもあるのは確定だし、こいつらから絞り出そう」
「「「「すべては、彼女の笑顔を奪わせないために」」」」

 再び声をそろえ、こういう研究所にはお約束というべきか、全てを無くすために仕掛けられていた自爆装置を作動させてその場を後にする。

 そして続けて、次なる殲滅場所へ駆け抜け始めるのであった…‥‥

「にしても、今こうやって動くよりも、今頃プールに浸かっているハクロちゃんを眺めたいよなぁ」
「ああ、それはすごい分かるこいつらさえいなければ、見守っていられたのに…‥‥」
「とは言え、全員がそれを心に秘めて我慢しているが‥‥‥不安もあるんだよなぁ」
「ん?何故だ?我々の結束力は鋼よりも固く、強いだろ?」
「いや、それがな、組織力が強くなって固められたが…‥‥人数が多くなってきたせいで、妙な派閥も出てきてな…‥‥」
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