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5章 高等部~そして卒業まで
5-14 告げられているのであれば、対策はしておきやすくもあるのだが
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「キュル?アルス、今日はいつもより私に近寄っている?」
「ああ、いつもハクロの方から来ているし、たまには僕の方から寄ってもいいよね?」
「キュルル、寄っても良いよ。むしろ、何時も来て欲しい‥‥‥うん、アルスが私に寄ってくるの、これはこれで良いかも♪」
ふふふっと機嫌良さそうにハクロが口ずさみ始めたのを見て、ちょっとだけ僕は罪悪感を覚えていた。
というのも、こうやって彼女に寄っているのは純粋な気持ちではなく、今朝見た夢のせいで少々不安を抱いたからであり、少しでも気を紛らわせるために彼女にちょっとあやかろうと思っているからだ。
純粋な気持ちも確かにあると言えばあるのだが、利用しているような気分になると凄い心苦しい。
けれども、あの夢の中に出て来た変な植物の化け物のような奴が言っていたことが気になっているからなぁ‥‥‥信者たちがいるとかいろいろ言っていたけど、そういう単語が出てくるものに限って、面倒な存在なのが目に見えている。
いやまぁ、どこの誰が何を信仰しようが僕は気にしないよ。
神であろうとなかろうと、信じることで心の拠り所になるものがあるのは大切な事だろうし、あのばけものであっても誰かに信仰されているのは不思議ではないだろう。
でも、中には狂信者というか、行き過ぎた輩がいたりするからね…‥‥なにを言っても自分の都合のいいように曲解したりして行動をする輩がでるのが面倒なのだ。
そしてわざわざ夢の中に出てきてまで、あの植物の化け物が言っていたのは、もしかするとその行動が僕の周囲で起きる可能性が考えられるだろう。というか、もう起きているのかもしれないんだよなぁ、あの化け物大量発生事件も、関係がないとは言い切れないからね。
そう言う訳で本日は、何かやらかされたくもなく、不安もあるのでハクロに僕から積極的に近寄っていた。いつもならばハクロの方から僕の方に来るので珍しい光景かもしれないのだが、どちらかと言えばバカップルのように見られている視線を感じないわけでもない。
「ふふふ、アルス、私にくっ付いている。嬉しい、私アルス好き、アルスも私が好きで、すごい幸せ♪」
ついでに滅茶苦茶罪悪感も増える…‥‥いや本当にごめん、ハクロ。自己保身の思いもあるのにそれを告げなくて。
でもこうやってくっつくのも、これはこれで悪くはないどころか、むしろいいかもしれない。
ちょっとばかり柔らかさや優しさ、温かさにほんのりと気分が和らいでいた…‥‥その時である。
「キュルル♪アルス、アルス‥ちょっと待って」
「ん?どうしたのハクロ」
ふと、歩みを止め、ハクロが止まるように告げて来た。
何事かと思って足を止めると、ハクロが糸を出して人形を作り上げ、僕らぐらいのサイズの人形を歩かせ始める。
そしてそのまま進んでいたところで…‥‥
ズボッ!!
「あ」
「…‥‥キュル、やっぱり、変だと思った。ちょっと地面の色が違っていた」
歩んでいた糸の人形が、あっと言う間に地面に吸い込まれて、いや、いつの間にか作られていた大きな落とし穴に落ちていった。
どうやら気が付かないほどの違いを彼女は見抜き、警戒していたらしい。
しかし、こんな罠が仕掛けられているとは…‥‥ここ、帝都内なのにどうやって仕掛けたんだ?
「‥‥‥うわぁ、どう考えても面倒事の予感しかしないな」
あの夢の中の化け物が、これを示していたのかもしれないと考えると、助かったのはいいけれどもさらに厄介事が待ち受けている未来しか目に見えない。
しかもこういうのに限って、絶対にまだまだ後が控えているのも読めてしまうのが非常に嫌である。
‥‥‥一晩の夢での遭遇によって、予兆を知ったのはいいけれども知りたくはなかった。
というか、だったらあの植物の化け物が現実に直接干渉して、未然に防いでほしかった。
色々と愚痴を言いたくもなるのが、今の時点ではどうしようもないのであった…‥‥
「ああ、いつもハクロの方から来ているし、たまには僕の方から寄ってもいいよね?」
「キュルル、寄っても良いよ。むしろ、何時も来て欲しい‥‥‥うん、アルスが私に寄ってくるの、これはこれで良いかも♪」
ふふふっと機嫌良さそうにハクロが口ずさみ始めたのを見て、ちょっとだけ僕は罪悪感を覚えていた。
というのも、こうやって彼女に寄っているのは純粋な気持ちではなく、今朝見た夢のせいで少々不安を抱いたからであり、少しでも気を紛らわせるために彼女にちょっとあやかろうと思っているからだ。
純粋な気持ちも確かにあると言えばあるのだが、利用しているような気分になると凄い心苦しい。
けれども、あの夢の中に出て来た変な植物の化け物のような奴が言っていたことが気になっているからなぁ‥‥‥信者たちがいるとかいろいろ言っていたけど、そういう単語が出てくるものに限って、面倒な存在なのが目に見えている。
いやまぁ、どこの誰が何を信仰しようが僕は気にしないよ。
神であろうとなかろうと、信じることで心の拠り所になるものがあるのは大切な事だろうし、あのばけものであっても誰かに信仰されているのは不思議ではないだろう。
でも、中には狂信者というか、行き過ぎた輩がいたりするからね…‥‥なにを言っても自分の都合のいいように曲解したりして行動をする輩がでるのが面倒なのだ。
そしてわざわざ夢の中に出てきてまで、あの植物の化け物が言っていたのは、もしかするとその行動が僕の周囲で起きる可能性が考えられるだろう。というか、もう起きているのかもしれないんだよなぁ、あの化け物大量発生事件も、関係がないとは言い切れないからね。
そう言う訳で本日は、何かやらかされたくもなく、不安もあるのでハクロに僕から積極的に近寄っていた。いつもならばハクロの方から僕の方に来るので珍しい光景かもしれないのだが、どちらかと言えばバカップルのように見られている視線を感じないわけでもない。
「ふふふ、アルス、私にくっ付いている。嬉しい、私アルス好き、アルスも私が好きで、すごい幸せ♪」
ついでに滅茶苦茶罪悪感も増える…‥‥いや本当にごめん、ハクロ。自己保身の思いもあるのにそれを告げなくて。
でもこうやってくっつくのも、これはこれで悪くはないどころか、むしろいいかもしれない。
ちょっとばかり柔らかさや優しさ、温かさにほんのりと気分が和らいでいた…‥‥その時である。
「キュルル♪アルス、アルス‥ちょっと待って」
「ん?どうしたのハクロ」
ふと、歩みを止め、ハクロが止まるように告げて来た。
何事かと思って足を止めると、ハクロが糸を出して人形を作り上げ、僕らぐらいのサイズの人形を歩かせ始める。
そしてそのまま進んでいたところで…‥‥
ズボッ!!
「あ」
「…‥‥キュル、やっぱり、変だと思った。ちょっと地面の色が違っていた」
歩んでいた糸の人形が、あっと言う間に地面に吸い込まれて、いや、いつの間にか作られていた大きな落とし穴に落ちていった。
どうやら気が付かないほどの違いを彼女は見抜き、警戒していたらしい。
しかし、こんな罠が仕掛けられているとは…‥‥ここ、帝都内なのにどうやって仕掛けたんだ?
「‥‥‥うわぁ、どう考えても面倒事の予感しかしないな」
あの夢の中の化け物が、これを示していたのかもしれないと考えると、助かったのはいいけれどもさらに厄介事が待ち受けている未来しか目に見えない。
しかもこういうのに限って、絶対にまだまだ後が控えているのも読めてしまうのが非常に嫌である。
‥‥‥一晩の夢での遭遇によって、予兆を知ったのはいいけれども知りたくはなかった。
というか、だったらあの植物の化け物が現実に直接干渉して、未然に防いでほしかった。
色々と愚痴を言いたくもなるのが、今の時点ではどうしようもないのであった…‥‥
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