転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波

文字の大きさ
211 / 229
6章 卒業、未来へ向けて

6-2 ちょっとした思い出も振り返りつつ

しおりを挟む
‥‥‥卒業式の後に行われる、挙式ラッシュ。

 そのラッシュに紛れつつ、一生に一度きりの思い出をという事で、色々と用意することはあるだろう。


「‥‥‥でも、その場を用意する前にしっかり先に、報告しないといけないかなと思っていたけれども…‥‥どうしてこうなった」
「キュル、ファンクラブ、というのにお願いして、業者関係の伝手を利用したのはいいけれど…‥」
「「これってどう見ても、やり過ぎ‥‥‥‥」」

 念のために、しっかりと現地確認しようと休日を利用して、挙式を挙げる予定の式場を見に来てよかっただろう。

 結婚式と言えば、教会とかのイメージがあったので大まかなベースは教会にしつつ、周囲を造園して綺麗な庭を作り上げ、挙式後は他の人達も利用できる式場や、観光スポットなどに利用する予定も確かに立てていたとはいえ、ここまでの完成度は流石に求めていなかった。


 何をどうしたら、ここまで豪華になるのか。

 基礎となる教会部分は大きくなるのはまだ良いとして、造形に凝り過ぎである。柱の一本一本が薔薇やその他美しい花々が彫られており、今にも風によって動きそうな自然すぎる雰囲気。

 ちょっとした庭園風な予定の場所も、思いっきり大改造が施されており、帝国の王城の中庭よりもはるかに大自然というか、それでいてきちんと手入れされた豪華な庭園になっている。

 小さな小川も水がわき出す噴水も創り上げ、水の表現を活かしつつ、宝石ではないものの透き通るような鉱石をちりばめている光景は、まるで昼間の星空のような光景を地面に描いているだろう。


 というかコレ、教会じゃなくて神殿とかのほうがあっているような気がする。何を祭っているんだと言いたくもなるのだが、内部のステンドグラスに描かれている動植物のモチーフや、奥に描かれた大きな絵画を見ると蜘蛛…‥‥というか、蜘蛛の身体があったころのハクロの身体をモチーフにしている庭園になっているだろう。


 ちょっとした休日での確認作業のはずが、何をどうしたらここまでやり過ぎな建物を見せられることになるのか。

 僕らはそろってどこをどうしたらこうなったのだと、思わずツッコミを入れてしまうのであった‥‥‥

「にしても、あのステンドグラスのハクロの絵とか、よくみると芸が細かいな…‥‥最初のころから今に至るまで、分かりやすく描かれている」
「ちょっと、私が多くて恥ずかしいかも。でも、こういう風に私変わっていたの見れて、新鮮かも」






 とにもかくにも、やり過ぎな豪華な挙式場を見つつ、休日に領地へ訪れたもう一つの目的を果たすために動くことにした。

 こうやって事前の下見もいいけれども、招待する人たちのために、招待状を配るのだ。

 領主たるもの、領民も招待するのであれば地道に足で一軒一軒訪ねていき、きちんと出席できるのかという確認を取る必要があるだろう。

 なお、この挙式の招待に関しては領地によっては色々と異なるようで、不人気な領主は出席者がおらず、人気者の領主であれば全員来るらしい。

 これがある意味、領内でどれだけの人々に支持されているのかということを示すので、挙式がある際にはその結果を密かに帝国が集めて、領主の選別も行う話も聞いていたのだが…‥‥

「おおおお!!領主夫妻様の挙式ですか!!時期までに、絶対に全ての用事を終えさせていただきます!!」
「え!?まだ夫婦じゃなかったの!?でも出ます!!」
「夫妻なのに、夫妻ではない関係が、ついに正しい夫妻という関係に‥‥‥!」


「…‥‥何でだろう。ほぼ9割が僕らが既に結婚している夫婦に見えていた結果なんだけど」
「キュル、間違ってないと言いたいけれども、皆そう見えていたのかな?」

 まだ挙式を挙げていなかったのに、ほぼすべての領民に夫婦認定をされていたんだけど。え、この認定ってどのぐらいの範囲で広がっているの?

 前々から少しツッコミを入れたかった部分ではあったが、灯台下暗しというか自分たちの足元からすでにその認識が広がっていたのかという事実に、僕はどう反応したものか悩んでしまう。

 間違ってもないようだけど、まだ結婚してもないのに夫婦に見られていたって‥‥‥‥いやまぁ、それはそれで良い事なのかもしれないけれども、この様子だと実はもっと遠いところまでその認識が広がっているのではなかろうか?

 ふと、その事に気が付いてしまったが、知るだけかなりの余計な事実も知識に入れてしまいそうなので、気が付かないふりをするのであった…‥‥‥






‥‥‥アルスたちが招待状を領民たちへ配り、ほぼすべての出席を確認していた丁度その頃。

 手紙によって、一通の招待状が届けられているところがあった。


「----さーん、お手紙ですよ」
「‥‥‥手紙?誰だ、兄は愚かにも無くなり、母も父も失ったこの身に出す奴がいたのか?」

 遠く離れた場所ではあるが、それでも交通の便が無いわけでもない。

 それに、彼はすでに許されている。愚かな時を省みて、心の底から変わったのだから、実はこの場所以外にもいく許可が出されていた。

「これは‥‥‥ああ、そうか。良かった、あの弟が…‥‥わかった、出席をさせてくれるのであればそうしたい。そうと決まれば、外に出る用意をさせてくれ」
「ええ、許可はありますし、向かえますよ。ここからだとちょっと前に着くぐらいにまでかかりますけれども…‥手紙を出してきたとはいえ、お会いして大丈夫でしょうか?」
「問題ない。すでに俗世の欲は消え去り、穏やかな日々を過ごしているからこそ、愚かだった自分を見つめ直すことが出来た。昔は気にもかけず、虐げるぐらいしかできなかったが‥‥‥血のつながりもなく、戸籍からも完全に除籍されてしまったが…‥‥できなかった兄としては、祝福をしたいからな」

 その問いかけに対して、その男は優しく微笑み、身支度をし始める。

 まさかこうやって招待状を出してくれるとは思わなかったが、それでも過去の愚かな自分を見つめ直すことが出来たからこそ、会っても問題は無いだろう。

 しいて言うのであれば、自身を利用しようとする輩もいるだろうが、血縁でもなんでもない男にはその利用価値もないし、安心して迎えるはずである。

「それじゃ、向かう事にするよ。ああ、出席をする連絡は届くかな?」
「到着するよりも先に届きますよ。グエスさん。今ではもう、こういう通信系の魔道具も発展してますからね」
「おおぅ、世間から離れていることが多いとはいえ、こういうのは驚かされるなぁ‥‥‥あ、そう言えば出かける前に一つ、踏んでくれないだろうか?」
「お断りしますって。だったら今度、帝国の、えっと変態皇子さんとまた談話して来なさい」
「ああ、あの友にも、出来れば逢えればいいのだがなぁ…‥‥」
しおりを挟む
感想 574

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...