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6章 卒業、未来へ向けて

6-4 何もかも手を加えることもない

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 少々考えはしたけれども、ハクロの後任になりそうなお仕置き顧問は学園に任せることにした。
 
 僕らが捜すのもありだけど、流石に全部見ることも無いし、学園だからこそ選ぶのは教師陣の方に決定権があるだろう。

 ゆえに、そこに真剣に力を注ぐ必要もなく、ゆっくりと人任せに出来るのだが‥‥‥

「卒業式後は寮を引き払うから、掃除も必要なんだよなぁ。とは言え、僕らって案外荷物があんまりないよね」
「キュル、ぬいぐるみとかは寄付しているし、そもそもそこまで使うもの、無かったかも」

 卒業式が近づいてきたのだが、忘れてはいけない。学園で過ごす生徒たちは寮で過ごしていることを。

 それなりの時間を過ごしていただけに、ここももう一つの家のように思えるのだが、それでも卒業しなければさらないといけない場所であり、片付ける必要があるのだ。

 生徒たちの中には家具を入れていたり、その他雑貨が多く積み重なるのだが‥‥‥僕らの場合は、ちょっとばかり荷物が少なかったのである。

‥‥‥まぁ、領地の屋敷の方に前々から移していたのもあるし、私物自体がそこまで多くないからね。ハクロが作る衣服が占めているぐらいか。



 何にしても、大掃除になると予想されたが、結果としてはそこそこ綺麗にした程度である。
 
 ついでに天井裏の方も掃除しておくべきなのかなと思ったが、こちらはこちらで何故か埃一つない綺麗な状態だった。帝国の学園寮だけに、こういう部分も気を使っているのだろうか。

「掃除も終わって、大分すっきりしたけれどもこうしてみると結構いたんだよなぁ…‥‥」


 学園に入学してから入っていた寮。いざ離れる時が来るとなると、感慨深いものがあるだろう。

 ふとハクロの方に目を向けて思い出す。小さな状態で隠し、堂々と過ごせるようになり、体の変化もここで見てきた場所。

 考えたら、終わりごろが体感的に結構広く感じたかもしれない‥‥‥‥蜘蛛の身体が失われた分、スペースが結構空いたからね。そう考えると、意外に広い部屋だったんだなココ。

 思い出深くもありつつ、もう間もなく卒業して去る場所。感慨に浸りつつ、卒業へ向けて意識を切り替えるのであった‥‥‥‥

「キュッルル、アルスと一緒にいた部屋、ここ丸ごと持っていければ楽なのに」
「いや、流石に無理だからね」

 片付けもして綺麗にして、次の人に備えて欲しい。まぁ、よくある寮室の一室という事で何事も問題なく引き渡されて僕等がいた形跡も無くなるだろうなぁ‥‥‥‥









「…‥‥と、思っているだろうが、そうはいかないのが悩みどころだな」
「学園の寮は新入生が入寮予定ですが‥‥‥一室に対しての希望が非常に多く来ていますからね」

 学園の職員室内にて、教師たちは話し合っていた。

 卒業式へ向けての準備もしているのだが、それと同時に新しく入ってくる生徒たちの調査も行い、ある程度の寮内での希望も聞く作業もやっているのだが、その希望に対して一つの希望が集中していた。

 それは、ハクロとアルスが一緒にいた部屋に入りたいという希望である。

 というのも、ハクロのファンクラブの子供だった人達や、普通にファンクラブ所属の者たちも多く存在しており、入寮できるのであればある程度掃除されてしまったとはいえハクロが過ごしていた部屋という事で、そこに入寮したいという意見が多くなったのである。

 例えるのであれば、オタクの聖地巡りに近いような…‥‥いや、どちらかと言えば神秘たっぷりな楽園に入りたい人が多いというべきか、何にしてもその部屋に入りたい人がほとんどを占めていたのだ。

 もちろん、ある程度のアレルギーやら体質なども考慮してもいるが、基本的に部屋はほぼランダムで決められており、確実に希望通りの場所に行けるだけでもない。

 それでもやはり、その部屋を狙いたいという人がいるのも当然のことで、入出希望者が多すぎて、運良くは入れたとしても他の人達とのいざこざが起きそうで、教師たちの悩みの種になってしまったのであった。

「いやまぁ、分からないわけでもないが…‥‥」
「それにしても、ほとんどがその部屋を狙うとは、どれだけの人気があるのやら」
「歴代皇帝陛下が学生時代に使用していた部屋や、今でこそ顔を知られている有名人などがいた部屋などに希望が来ることもありましたが、それでもここまでは無かったはずですよねぇ」

 はぁぁっと溜息を吐きつつ、解決策を考える教師たち。

 ハクロの後任のお仕置き顧問の人選作業も重なり、非常に精神的に疲れるのであった…‥‥

「いっその事、お仕置き顧問は完全に外部委託をするべきでしょうか。そうすれば考える負担を減らせませんかね?」
「むぅ、それだとちょっと問題が起きた時に対処しづらいが…‥‥ある程度調べないとな」
「都合のいいサービスをやっているところが‥‥‥いや、案外ありますね。需要があるのでしょうかね?」
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