転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波

文字の大きさ
224 / 229
7章 死がふたりを分かつまで

7-6 これが若さというのか

しおりを挟む
「だうーう!!だうだーう!!」
「ぴやぁぁぁ!!ぴゃあぁぁぁぁ!!」

「ちょっと二人とも、待ってぇぇぇ!!」
「なんで私達よりも、滅茶苦茶早いんですかぁぁ!!」
「ほうほう、流石と言うべきか才能はすごいのぅ。寄る年波のせいで全然追いつけんのじゃ」
「「脱走させた本人がのんきに言うな(言わないでください)!!」」

 ずるずると簀巻きにされた状態で引きずられるドマドン所長にツッコミを入れつつ、僕とハクロは今、先日ようやく生まれた我が子たちを追いかけていた。

 男の子には『ジーク』、女の子には『ローズ』と名付けたのは良いだろう。前世での伝説神話などに出てくる英雄の名前や花の英名をもじったものだけど、似合っているはずである。

 だがしかし、少々子育てを甘く見ていたというか、うちの子がちょっと特殊なだけなのか‥‥‥後半の方が確実だとは思うけれども、我が子たちは今ハイハイしながら研究所内を爆走していた。
 
 しかも滅茶苦茶早い。まだ数日しか経過していないはずなのに、行動力と成長力があり余り過ぎるというか、赤子の思考をちょっと舐めていたかもしれない。

 まだあと1週間ほどは滞在して精密に調べ、何も問題が無ければと思っていたのだが…‥‥元気さは流石に測定不可能だった。

「だうだうだうぅぅ!!」
「ぴゃいぴゃいぴゃぁぁい!!」

「というか何でハイハイであんなに早いの!?」
「走り方としては、蜘蛛の身体があった私に近いかも!!お腹の中にいても、歩き方を本能的に受け継いじゃったかもしれない、キュル!!」

 超高速移動すぎるハイハイゆえに、追いつくのが非常に難しい。

 ハクロが翼を広げて飛翔し始めたが、その飛行速度すら上回るってどういう赤子なんだろう、僕らの子供たち。彼女、その気になれば音速突破も可能なはずなんだけど!?




 万が一に備えてかつ、今後のことも考えて研究所内はバリアフリー化されており、障害物とか危険物はどかされているとはいえ、それでもあの速度は心配である。主に跳ね飛ばされる人が。

 怪我する心配もあるのだけれども、一応産着などはハクロの糸で念入りに頑丈さを増しており、更に安全を確保するために衝撃吸収材なども編みこまれているのだが…‥‥ある程度走ったところで、ぴたっと急に動きを止めた。

「だうだうだ‥‥‥うぅぅぴえぇぇぇん!!」
「ぴゃい、ぴゃいいいいいいい!!」
「あ、ちょうどお腹が空いて鳴きはじめた」
「止まった今が、ようやく確保、できる!!」

 赤子ゆえにまだまだ泣くことで意思を示すことも多く、お腹が空いたがゆえに動きを止めて鳴きはじめた。

 そのチャンスを見逃さずにすぐに追いつき、ハクロが授乳させ始めてようやく暴走が収まるのであった‥‥‥‥

「というか、飲んでいる時は普通の赤子にしか見えないのに‥‥‥ジークもローズも、元気過ぎでしょ」
「キュルル、元気なのはいいけれども、子育て大変。お母さん、こんな苦労していたのかも」
「いや、普通のご家庭じゃとこれはないからのぅ?というか、何時になったら自由になるのじゃ…‥」







 何にしても、ようやく暴走赤子事件も収まったところで、次が無いように対策を練り始める。

 赤子が産まれて早十数回目の対策会議なのだが‥‥‥毎回改善点を徹底的にやるはずなのに、なんでこうも繰り返す羽目になるんだろうなぁ。

「そりゃ、お主らの子供が凄まじいからのぅ。検査場の数値じゃと、普通の人の赤子のはずなのじゃが‥‥‥どうなっているんじゃよコレ」
「それは僕らの方が知りたいんだけど」
「キュル、調べるの、ドマドンおばあちゃんの方が適任」

 毎回やらかされては、こちらが先に過労死しかねない…‥‥赤子たちはまさか、それを狙ってはないだろうか?

「キュルル、今はすやすや寝ていて、可愛い。でも、子育てって本当に大変キュル‥」
「本当だよね。まぁ、僕らの赤ちゃんが特殊過ぎるだけと思いたいけれども…‥‥どうにかならないものかなぁ」
「特殊過ぎるだけというか、その言葉では言い表せぬのじゃが…‥‥しかし、解決しないといけないのは間違いないじゃろうなぁ」

 うーんっと職員たちも巻き込んで全員でああでもないこうでもないと議論を交わすが、いい案は出てこない。

 本当にうちの子供たちがすいませんと謝りたくもなるが、それでも付き合ってくれているのは感謝し足りないだろう。

「こうなってくると、皆で追う前に専門家とかいたほうが良いのかもしれぬ。素人が手を出すには、難しい領域じゃろうしな」
「専門家?でも、赤ちゃんハイハイ爆走の専門家ってそう都合よくいないですよね?」
「言い表すと、確かにいないかもしれない‥‥‥‥いや待てよ?いるかもしれぬ」
「え、いるの?」
「可能性としてじゃ。とは言え、確かアレを利用するのは一般的には無理なはずじゃったような…‥‥ふむ、ここは皇帝陛下に確認したほうがいいじゃろ」

 そう言いながら、ドマドン所長はどこからともなく通信用の魔道具を取り出し、皇帝陛下へ向けて連絡を取り始めた。

 この国の皇帝に、何か解決案でもあるのだろうか?あの家は家で、普通だとは思うけれども…‥いや、第2皇子第3皇子からは目を背けるとしてね。

 そうこうしているうちに話は付いたようで、やることが決まったらしい。

「ふぅ、一応許可は得れたのじゃ。国の機密の一つじゃけれども‥‥‥お主らなら問題ないと言ってくれたから良いじゃろうな」
「ちょっと待って。今さらっと機密扱いって言わなかった?」
「まぁ、国としては少々関わりたくないというか、のめり込み過ぎるのも怖いというのは分かっているからのぅ。じゃが、大丈夫だと思うのならば、それで良いのじゃ」

 どこにどう頼むかは知らないが、ドマドン所長は手紙を書き始め、職員に運ばせた。

 数日もあれば手紙が届き、解決策が来るらしいが…‥‥一体何を呼んだというのだろうか?

「そう言えば、その類の人じゃと雇うための給料も必要になるのじゃが、お金は大丈夫かのぅ?」
「ん?一応、儲けてはいるから余裕はあるよ」

 色々やっているので資金自体は潤沢だし、そもそも消費に関してそこまで無いので貯蓄に回している。

 なので、やろうと思えば大勢を雇うこともできるのだが、使用する機会ならば惜しみなく使えばいいか。

 とにもかくにも、ドマドン所長が思いついた解決策とやらを、僕らは待つのであった…‥‥


「‥‥‥個人的な意見を言えば、あまり国の機密になりそうな家に寄せるのもどうかと思うがのぅ。まぁ、お主らがロクデモナイ人物ではないのは分かるし、そもそもそう言う類じゃとやってくれないじゃろうから問題もないかのぅ」
しおりを挟む
感想 574

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...