拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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幸せを乱されたくないので、徹底したい

#364 ちょっと予想外だったデス

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SIDEシアン

…‥‥どこかの神ロキとやらをワゼが確保し、色々と調整して三日。

 大体この程度で会っても大丈夫な状態にすると、彼女は宣言していたのだが…‥‥


「…‥‥問題、発生しまシタ」
「何が起きたのワゼ」

 ロキ入りの珠を持ち、彼女がそう報告してきた。

 本日は久しぶりに魔法屋としての仕事をするために魔法ギルドへ赴き、依頼をこなそうとしていたのだが、この様子だと何か厄介事が起きたらしい。

 ハクロたちは王城の方で、今回は留守番しているのだが‥‥‥‥

「神というだけあって、どうやら抜け出したようデス」
「なんだって?」

 逃げ出せないようにとか、自信ある仕掛けを溢れさせていたそうなのだが…‥‥どうもその仕掛け全てを、ロキは突破してしまったらしい。

「データ不足でシタ。正直、油断してしまい、申し訳ございまセン」
「いや、流石に謝る必要はないよ。相手が相手だと思うし、ワゼだった失敗するだろうし‥‥‥それよりも、まずそのロキの居場所の方は、分からないのか?」

 安全のために、珠自体は湖の地下室の方で保存していたそうなのだが、内部から抜け出したのであれば、そこから足取りがつかめるはず。

「ええ、残念ながら監視装置の目をかいくぐり、華麗に抜けてしまったようデス。なんというか、侮れない相手がいるというのを身をもって知りまシタ‥‥‥」

 しゅんっと、落ち込みながらそう語るワゼ。

 いつも冷静沈着で、何事にも対応できていた彼女がここまでしょげてしまうのは珍しい。

 


‥‥‥考えてみれば、これが彼女にとっての初めての屈辱なのではなかろうか。

 今まで何事も成功していたり、結果として大丈夫だったりすることが多かったのに、今回のロキによって何もかも突破され、挫折を味わったのだ。

 今まで大した挫折も知らなかったとすれば、ここまで落ち込むのも無理はないだろう。

「‥‥‥でも、落ち込んでいるだけじゃだめだ。そのままだと、何もできないからね」
「ご主人様‥‥‥」
「一回失敗したぐらいなら、次はその失敗経験を生かしてしまえばいい。というか、放置できないような相手ならば、今すぐにでも捕らえられるように動くべきじゃないか?」
「そうですネ‥‥‥ええ、その通りデス」

 あっさりとすぐに回復し、ワゼはびしっと体勢を整える。

「シスターズ全部隊、フル稼働要請を行い、今すぐにでもご主人様の街となりかけない存在を捕縛いたしマス!」

 きりっと引き締め、そう宣言し、素早くその場を後にするワゼ。

 こういう立ち直りの早さもメイドの嗜みなのかなと思いつつ、僕は僕で気になるので直ぐに依頼をいったん断り、ハクロたちの元へ帰ることにした。

 なんというか、これはこれで嫌な予感がすると言うか‥‥‥‥全速力で帰らないとな。




――――――――――――――――
SIDEハクロ

「【けぷぅっ】」
【っと、もういいですかね。お腹いっぱいになりましたか?】
「にゅー!」
【ぴゃーい!】


 王城の中庭にて、母乳と高カロリーの蜜を混ぜた物をノルンに、母乳単体をエイルへ与えながら、彼女達はシアンの帰りを待っていた。

 ミスティアの方は妊娠状態を考慮して仕事を減らしつつ、今はゆっくりと休む時間のために自室でぐっすり就寝中。

 なので今ここには、ハクロとその娘たちに加えて‥‥‥

【シャゲシャゲ】
【ふみゅ~♪】
「みー!!」

 丁度ドーラも来ており、ヒルドとオルトリンデに蔓を伸ばしてブランコにしたもので共に遊んでいた。

【本当は私もシアンと働きたかったですが‥‥‥まぁ、帰りを待つのも悪くないですね】

 妻という立場でありつつ、本当は一緒に魔法屋の仕事を手伝うために向かいたかったが‥‥‥子供たちがいるので、見離せない。

 シスターズ部隊もそろっているとはいえ、それでもやっぱり自分でキチンと見て育てたいのだ。

 シアンも手伝ってくれるし、娘たちに囲まれながら、ふとハクロは思い出す。

【あ、そう言えば騎士王国の方にそろそろ手紙が届く頃合いでしょうかね?】

 最近、ちょっと忘れていたのだが、彼女の義姉宛に、近況状況を伝えていなかった。

 種族も違うとはいえ、姉のような存在に対してこの娘たちの情報を伝えないことはないのだが、ここ最近は少々子育てに追われて暇がなかったのである。

 具体的に言うのであれば、娘たちが増えたことで、一旦ヒルドとオルトリンデが大人しくなったかと思いきや、今度は産まれたてのノルンとエイルを連れて動き始めたので、余計に目が離せなくなったのである。

 なのでこうやってギュッと抱きながらも、部屋に動き回らないようにしているのだ。

【ぴゃーー!!】
【ふみゅー!!】
【ちょっと二人とも、何を今度は糸で‥‥‥あ】
「にょぇぇぇぇぇ!!くるくる回るにょぉぉ!!」

…‥‥が、ほんのちょっと目を離しただけでも、すでに遅かった。

 姉妹の中で養女で長女なロールが、ノルンとヒルドの手によってぐるぐる巻きにされていた。

 どうやら糸を出して遊んでいるというか、蜘蛛部分の本能的な捕縛方法というか…‥‥

【だめですよ二人とも。その糸の出し方だとすぐに出せなくなりますよ】
【ぴゃい?】
【ふみゅ?】
「ツッコミどころが違うにょおかあしゃぁぁぁあん!?」

 ロールは盛大にツッコミを入れつつ、自身の得意とする氷魔法で糸を固めて砕き、脱出する。

 まだハクロのように糸の扱いがうまくないようなので、逃げやすいと言えば逃げやすいのだ。

「にゅ?」
「みー?」
【シャシャゲェ‥‥‥】

 こてんっと首をかしげるノルンとオルトリンデに対して、ドーラは身振り手振りで説明し、ほのぼのとした時間が流れる。


【ガウガーウ!】
「あ!クロだみー!!」

 いまだに野生へ帰る気がなさそうな子フェンリルのクロが来たところで、トテテっと駆け寄るオルトリンデ。

 背中に乗って駆け抜けようとしていた‥‥‥‥その時であった。



【シャゲシャゲ…‥‥シャゲ!?】

 説明がまだ途中だと言いたいようなドーラだったが、何かに感づき、素早く大きくなる。

 そして太くした蔓で、素早くオルトリンデの上を何重にも覆った瞬間、それが来た。



ドカドカドッカァァァン!!
【シャゲェ!!】
【!?】

 太い蔓に何かが降り注ぎ、爆発が起きる。

 表面上の爆発ゆえに下にいたオルトリンデには被害が及ばなかったが、素早くハクロも動き、娘たちを糸で手繰り寄せた。


【な、なんですかいきなり!?】

 突然の事態に驚愕しつつも、娘たちを自分の蜘蛛の部分の背中に素早く乗せつつ、ワゼお手製の対暴漢用撃退道具を懐からだして構える。

【シャゲェェェ!!】

 ドーラの方もいつも以上に本気の形態となり、鋭い棘の蔓などを生やす。


「ふーふーん☆アレをすぐに止めるなんて、なっかなかやるねー!!」
【【!!】】

 阿保のような、明るいような声が聞こえ、上の方に目を向けて見ればそこに誰かがいた。

 太陽の光によって七色に輝く髪色でありつつ、同じような色合いの目もしており、中性的な見た目でつかみどころが無いが‥‥‥警戒を芯を大きく抱かせる。

「でもぉ、でもぉ、あの謎空間から脱出できたストレス解消にもならないかなぁ?」
【シャゲェェェ!!】

 ちっちっちっと指を振る様に、先ほどの攻撃もあって激怒したのか、ドーラが蔓を振り落としたが‥…

「おおっと危ないね」
【シャゲ!?】


 なんという事もなく、その蔓を簡単に指一本で止められ、目は無いけど目を剥いてドーラは驚愕する。

「しかしこの植物、見たことないなぁ‥‥‥あ、いや違うか?確かちょっと前に…‥‥」

 何かを考え始めていたようだが…‥‥すぐにその考えるそぶりを辞めた。

「別に良いか。知らないなら知らないで良いし、知る意味もない。今は単純に、ストレス解消にちょっと吹っ飛んでね☆」


 そう言うが早いが、大きな火の塊のような物を生み出し、彼女達へ投げつける。

 ドーラの蔓の展開も、ハクロの糸の展開も間に合わないと思われた…‥‥その瞬間であった。



ごぉぉぉぉう!!
「‥‥‥おぅ?」

 突然、猛吹雪のようなものが通り過ぎて、火の塊を一瞬で鎮火させ、消失させた。

 その方向を見れば…‥‥

【シアン!!】
【「パーパー!!」】
「おとうしゃーん!!」

 そこにいたのは、魔法を展開し終え、迎撃したと思われるシアンの姿。

 身には魔力の衣をまといつつ、そのすぐそばにシスターズが一瞬のうちに集結した。

「おおぅ、なっかなかすごいねー今の魔法☆」
「…‥‥何をしようとしていたんだ、お前は」

 ふざけたように話す相手に対して、シアンから出るのは静かな怒りの声。

 ざわざわと魔力の衣がうごめき出し、今にも襲い掛かろうとしている状態。

「なるほどなるほど、その様子を見る限り、君が今の時代の、この世界の魔王ってところかな?‥‥‥うん、ちょうどいい相手のようだしねぇ‥‥‥」

 にやぁっと笑みを浮かべ、相手は再び両手に今度は違う魔法のようなもの生み出し、構え始める。

「噂で聞くように、面白そうだね。今回の魔王相手、いっちょやりますか」
「ふざけるな!!」

 ふざけているような相手の言葉に対して、シアンの怒声が響き渡る。

 そしてすぐに、両者ともに激突するのであった…‥‥‥


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