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1章 旅立ちと始まり
1-62 まだまだ、修行不足
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‥‥‥気が付いたら、オークキングの姿は失われていた。
いや、周辺に散らばった肉塊がどうやらオークキングだったもののようで、何をどうしてかあの魔物はこんなものに成り果ててしまったようである。
「というか、本当に何がどうなってあんな敵がこんな肉塊になったんxだろうか・・・・・」
「考えていても、分からぬな。全員、気絶していたようだし」
「何か目撃者でもいればよかったが、後方に下がっておった護衛対象たちが戻って来た時には、既にこの状況だったようでやんすしねぇ」
ぱちぱちと焚火の火を焚きつつ、今晩の飯と成り果てたオーガキングの肉煮込みを全身で食する。
幸いというか全員気絶していたり鎧を失ったりしたものの命を落とした者まではおらず、なんとか生き延びれたことを皆で喜び合う。
「誰がやったのかは分からぬが‥それでも、助かっただけ儲けものだろうなぁ」
「その代わり、修理費が凄まじい事になるのは痛いがな…」
はぁぁぁっと全員深く溜息を吐くのだが、無理もないだろう。
僕らの方はそこまでの損害はなかったとはいえ、他の面々からすると持っていた防具や武器がぶっ壊されてしまったのだ。
修理したり作り直したりすればまだ使用可能だし、武器や防具に頼らずともそこそこ肉弾戦にも強いので今後の護衛依頼も何とかこなせるのだが‥‥‥それでも、赤字になるらしい。
何しろ、オークからは色々な素材が取れるとはいえ、今回の収穫はほとんど骨ばかり。
オークキングの肉も高く売れそうなものだったが、それはあくまでも形状が整っているかのような状態であり、爆散して煮崩れした状態ではそこま高く売れないらしい。
だからこそ、今晩の夜食に選ばれたわけなのだが‥‥‥やけ食いというか、肉への八つ当たり行為にしかならないのである。
「とりあえず、この護衛依頼を終えてゴルゾンボル王国についたらすぐさま別に依頼探しかなぁ」
「その前に鎧や剣の修理もするから時間もかかるし」
「ギルドでの貯金を下ろしながらの生活は、キッツいし‥‥‥」
「「「はぁぁぁぁぁぁぁ‥‥‥」」」
「お、重い…空気がかなり重い」
【シュル、あれが大人の悩みなのかな…】
【グラグラァ‥‥】
冒険者生活はハイリスクハイリターンなこともあるとは言え、やらかした場合の空気を見てちょっと気まずくなる。
なんというか同情はするが、僕等の方でどうにかできる事でもないからなぁ。ハクロの糸で鎧や武器の代わりを作ってあげることもできそうだが、完全に壊れない保証もなく、いなくなったあとの修理とかも考えるとあげにくいものもある。
世知辛い大人の冒険者の空気を学びつつも、八つ当たりの食の宴は続くのであった‥‥‥
そして深夜、交代で野営をする中、僕等の番になって周囲の警戒を行っていた。
「まぁ、全員ラナに収容してもできるけど‥‥‥それでもオークキングの攻撃があった後だと、油断できないよなぁ」
【グラァ】
強引だけどそんな寝方もあるのだが、頼り過ぎるのも良くはない教訓にはなっただろう。
というか、あの後ラナ掘り起こすのが一番大変だった‥‥‥深くめり込んでおり、引き上げるのにハクロの粘着糸を大量に使った苦労をしたのである。
【シュルル‥‥私達、まだまだ経験浅いもんね】
「それもそうか」
どこかで僕らは、国滅ぼしのレベルの魔物がいるという事で、慢心していた部分もあるのだろう。
だが、実際に強敵に出会って見れば、戦闘経験の浅さから最適な方法をすぐに取ることはできておらず、結果として苦戦させられたのは苦い思い出となる。
知識を得るためにギルドで借りた本の中に井の中の蛙大海を知らずというような言葉があった。
僕らは強さがあるかもしれないという井戸の中にいたが、一歩その外に出てみればもっとヤバいのが多かった‥‥そう考えると、未熟な点が多かったのだろう。
だからこそ、今後の事を考えるともっと経験を積まなければいけないと強く心に誓う。
「もっと、もっと強くならないとな‥‥爺ちゃんの遺言で世界を見て回れって言うのは、こういうのも言っていたのかも」
ぐっとこぶしを握り、僕はそうつぶやいた。
強さを得なければ、守りたいものも守れない。ゆえに、もっと精進しようと誓った。
【シュルル、私も国滅ぼしのランクにあるなら、それにふさわしくもっと強くならないとね!】
【グララァ!!】
「ハクロたちも強くなるように‥‥‥いや、国滅ぼしの魔物がより上を目指すって、何になるんだろうか?」
【シュルゥ?…国滅しなら…滅ぼしの上って何?あれ、ジークその手どうしたの?】
「ん?何が?」
【その右手の甲、そんなのあったっけ?】
ハクロの指摘を受け、僕は今さらながらその事に気がつく。
そう言えば、気絶する前になんか右手が熱くなっていたけど、夜中の頃暗さで今気が付いたよ。なんか右手の甲に三日月のようなあざがぼんやりと光っているけど‥‥‥何だこれ?
「んー‥‥分からないや。オークキングの攻撃で、変なのあったのかもね」
【変なものじゃなければいいけど‥‥‥シュルル】
よく見ないとそう気が付かないし、明るかったら多分そんなに目立たないかな‥‥‥でも、何だろうこのあざみたいなの‥‥‥?
いや、周辺に散らばった肉塊がどうやらオークキングだったもののようで、何をどうしてかあの魔物はこんなものに成り果ててしまったようである。
「というか、本当に何がどうなってあんな敵がこんな肉塊になったんxだろうか・・・・・」
「考えていても、分からぬな。全員、気絶していたようだし」
「何か目撃者でもいればよかったが、後方に下がっておった護衛対象たちが戻って来た時には、既にこの状況だったようでやんすしねぇ」
ぱちぱちと焚火の火を焚きつつ、今晩の飯と成り果てたオーガキングの肉煮込みを全身で食する。
幸いというか全員気絶していたり鎧を失ったりしたものの命を落とした者まではおらず、なんとか生き延びれたことを皆で喜び合う。
「誰がやったのかは分からぬが‥それでも、助かっただけ儲けものだろうなぁ」
「その代わり、修理費が凄まじい事になるのは痛いがな…」
はぁぁぁっと全員深く溜息を吐くのだが、無理もないだろう。
僕らの方はそこまでの損害はなかったとはいえ、他の面々からすると持っていた防具や武器がぶっ壊されてしまったのだ。
修理したり作り直したりすればまだ使用可能だし、武器や防具に頼らずともそこそこ肉弾戦にも強いので今後の護衛依頼も何とかこなせるのだが‥‥‥それでも、赤字になるらしい。
何しろ、オークからは色々な素材が取れるとはいえ、今回の収穫はほとんど骨ばかり。
オークキングの肉も高く売れそうなものだったが、それはあくまでも形状が整っているかのような状態であり、爆散して煮崩れした状態ではそこま高く売れないらしい。
だからこそ、今晩の夜食に選ばれたわけなのだが‥‥‥やけ食いというか、肉への八つ当たり行為にしかならないのである。
「とりあえず、この護衛依頼を終えてゴルゾンボル王国についたらすぐさま別に依頼探しかなぁ」
「その前に鎧や剣の修理もするから時間もかかるし」
「ギルドでの貯金を下ろしながらの生活は、キッツいし‥‥‥」
「「「はぁぁぁぁぁぁぁ‥‥‥」」」
「お、重い…空気がかなり重い」
【シュル、あれが大人の悩みなのかな…】
【グラグラァ‥‥】
冒険者生活はハイリスクハイリターンなこともあるとは言え、やらかした場合の空気を見てちょっと気まずくなる。
なんというか同情はするが、僕等の方でどうにかできる事でもないからなぁ。ハクロの糸で鎧や武器の代わりを作ってあげることもできそうだが、完全に壊れない保証もなく、いなくなったあとの修理とかも考えるとあげにくいものもある。
世知辛い大人の冒険者の空気を学びつつも、八つ当たりの食の宴は続くのであった‥‥‥
そして深夜、交代で野営をする中、僕等の番になって周囲の警戒を行っていた。
「まぁ、全員ラナに収容してもできるけど‥‥‥それでもオークキングの攻撃があった後だと、油断できないよなぁ」
【グラァ】
強引だけどそんな寝方もあるのだが、頼り過ぎるのも良くはない教訓にはなっただろう。
というか、あの後ラナ掘り起こすのが一番大変だった‥‥‥深くめり込んでおり、引き上げるのにハクロの粘着糸を大量に使った苦労をしたのである。
【シュルル‥‥私達、まだまだ経験浅いもんね】
「それもそうか」
どこかで僕らは、国滅ぼしのレベルの魔物がいるという事で、慢心していた部分もあるのだろう。
だが、実際に強敵に出会って見れば、戦闘経験の浅さから最適な方法をすぐに取ることはできておらず、結果として苦戦させられたのは苦い思い出となる。
知識を得るためにギルドで借りた本の中に井の中の蛙大海を知らずというような言葉があった。
僕らは強さがあるかもしれないという井戸の中にいたが、一歩その外に出てみればもっとヤバいのが多かった‥‥そう考えると、未熟な点が多かったのだろう。
だからこそ、今後の事を考えるともっと経験を積まなければいけないと強く心に誓う。
「もっと、もっと強くならないとな‥‥爺ちゃんの遺言で世界を見て回れって言うのは、こういうのも言っていたのかも」
ぐっとこぶしを握り、僕はそうつぶやいた。
強さを得なければ、守りたいものも守れない。ゆえに、もっと精進しようと誓った。
【シュルル、私も国滅ぼしのランクにあるなら、それにふさわしくもっと強くならないとね!】
【グララァ!!】
「ハクロたちも強くなるように‥‥‥いや、国滅ぼしの魔物がより上を目指すって、何になるんだろうか?」
【シュルゥ?…国滅しなら…滅ぼしの上って何?あれ、ジークその手どうしたの?】
「ん?何が?」
【その右手の甲、そんなのあったっけ?】
ハクロの指摘を受け、僕は今さらながらその事に気がつく。
そう言えば、気絶する前になんか右手が熱くなっていたけど、夜中の頃暗さで今気が付いたよ。なんか右手の甲に三日月のようなあざがぼんやりと光っているけど‥‥‥何だこれ?
「んー‥‥分からないや。オークキングの攻撃で、変なのあったのかもね」
【変なものじゃなければいいけど‥‥‥シュルル】
よく見ないとそう気が付かないし、明るかったら多分そんなに目立たないかな‥‥‥でも、何だろうこのあざみたいなの‥‥‥?
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