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2章 光が輝き、空へ上がり始め
2-18 白き光がきらめいて
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ーーーーーゴルゾンボル王国の第1王子であったブルドン。
いや、既に国滅ぼしの魔物の一つ「国喰いの魔物」であったギガ・スラッジスライムと混ざりあったそれは、自身の身に次々に起きていたことに、驚愕させられていた。
なぜ、喰らおうとした獲物に逃げられたかと思えば、大穴に落ちたのか。
なぜ、その大穴の中ですさまじい爆発が起き、核としても依り代としても成り立っていた人間を肉片すら残さないような強力な攻撃を浴びせられたのか。
そしてなぜ、それでも再生して全てを飲み込もうとした瞬間に…己の内部から、光の柱が立ち、身を焼き切ろうとしているのか。
【グゲガアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオ!!】
どうしてなのか、理解することはできない。
けれども、ただ一つ言うのであれば、勝利を確認した中での大きな邪魔に腹が立ち、怒りの感情に支配されるぐらいであった……
【シュルルル…あ、あれ?私たち、落ちたんじゃ?】
……すべてを飲み込まんとしていた怪物の海にのまれるまでのことは覚えていながらも、気が付けば何もないことにハクロは驚いていた。
さすがにもうダメかと思っていたのだが、なぜか平気な自分の体。
どういうことなのか周囲を見渡せば、飲まれたと思って気絶しているらしいアルフレッドや国王、同じく気が付いているらしいラナや、エネルギー切れ停止しているエディアの姿が見えるだろう。
そして、そのすぐそばには…
【…ジーク】
ほうっと白い光を身にまとい、立っている少年の姿があった。
その光は、以前にも見たことがあったが、今の光はあの時よりもさらに強く出ているようにも見えるだろう。
手のほうに月のように輝く痣のようなものもあったが、そこだけは以前とことなっており、そこから噴き出す光が彼の全身にめぐっているようにみえるのだ。
「…」
何も言わない、表情も読み取れない。
でも、ひとつだけいえるのであれば、前と違って・・・今の彼には、はっきりとした意思があるのが見て取れることだろうか。
【グゲゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!】
そんな彼に対して、すさまじい怒りの咆哮を上げているのは、先ほど自分たちを飲み込もうとしていた巨大なスライム。
吹き飛ばされでもしていたのか周囲に散っていたようだが、再び集結しており、さらに巨大な黒い津波となって飲み込もうとしているようだ。
だが、そんな攻撃もむなしく…ジークが彼らに向けて手を向けた次の瞬間だった。
ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
黒い津波に対して、彼の手から出てきたのは月のように白い光。
それもただ放射されるのではなく、いくつもの光の柱となって突き出され、波を消し去っていく。
すべてを飲み込もうとする相手だが、その力を前にしてなすすべもなく蹂躙されていく。
飲み込むはずが焼き付くされて、すべてを失おうとしているようだ。
さすがにこれ以上はまずいと冷静さを取り戻したのか、スライムが逃げの姿勢を見せたようだが…それはもう、遅かった。
「---消えろ」
くいっとジークが手を振り下ろし、それと同時に頭上から膨大な光が降り注ぎ、スライムをすべて飲み込んでいく。
【ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!】
人を飲み込んでいたせいか、それともそれなりの知能があったのか、人らしいような断末魔を上げて、スライムは消し去られていった。
……気が付けば光は消え失せ、スライムの姿も失われていた。
何もなくなっていると思っていたが、そうでもなく…残されていたのは、飲まれていた人々や動植物や家やら、あのスライムに飲み干されたはずのすべてが、そこにあった。
「ふぅ…ふにゅん」
【っと、ジーク!?】
その姿を見て、敵が消えて気が抜けたのかジークが倒れかけ、素早くハクロは動き、彼を抱きかかえる。
確認してみれば気絶とかではなく寝ているようで、光もなくなっており、いつものジークに戻っていた。
【シュル…よかった。でも、あれは何だったの・・・・?】
前にもあった光景だが、月のような光を身にまとうあの力は何なのか。
疑問を覚えたが、ひとまず今は危機が去ったことに安堵の息を吐きつつ、昇ってきた朝日を見るのであった……
いや、既に国滅ぼしの魔物の一つ「国喰いの魔物」であったギガ・スラッジスライムと混ざりあったそれは、自身の身に次々に起きていたことに、驚愕させられていた。
なぜ、喰らおうとした獲物に逃げられたかと思えば、大穴に落ちたのか。
なぜ、その大穴の中ですさまじい爆発が起き、核としても依り代としても成り立っていた人間を肉片すら残さないような強力な攻撃を浴びせられたのか。
そしてなぜ、それでも再生して全てを飲み込もうとした瞬間に…己の内部から、光の柱が立ち、身を焼き切ろうとしているのか。
【グゲガアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオ!!】
どうしてなのか、理解することはできない。
けれども、ただ一つ言うのであれば、勝利を確認した中での大きな邪魔に腹が立ち、怒りの感情に支配されるぐらいであった……
【シュルルル…あ、あれ?私たち、落ちたんじゃ?】
……すべてを飲み込まんとしていた怪物の海にのまれるまでのことは覚えていながらも、気が付けば何もないことにハクロは驚いていた。
さすがにもうダメかと思っていたのだが、なぜか平気な自分の体。
どういうことなのか周囲を見渡せば、飲まれたと思って気絶しているらしいアルフレッドや国王、同じく気が付いているらしいラナや、エネルギー切れ停止しているエディアの姿が見えるだろう。
そして、そのすぐそばには…
【…ジーク】
ほうっと白い光を身にまとい、立っている少年の姿があった。
その光は、以前にも見たことがあったが、今の光はあの時よりもさらに強く出ているようにも見えるだろう。
手のほうに月のように輝く痣のようなものもあったが、そこだけは以前とことなっており、そこから噴き出す光が彼の全身にめぐっているようにみえるのだ。
「…」
何も言わない、表情も読み取れない。
でも、ひとつだけいえるのであれば、前と違って・・・今の彼には、はっきりとした意思があるのが見て取れることだろうか。
【グゲゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!】
そんな彼に対して、すさまじい怒りの咆哮を上げているのは、先ほど自分たちを飲み込もうとしていた巨大なスライム。
吹き飛ばされでもしていたのか周囲に散っていたようだが、再び集結しており、さらに巨大な黒い津波となって飲み込もうとしているようだ。
だが、そんな攻撃もむなしく…ジークが彼らに向けて手を向けた次の瞬間だった。
ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
黒い津波に対して、彼の手から出てきたのは月のように白い光。
それもただ放射されるのではなく、いくつもの光の柱となって突き出され、波を消し去っていく。
すべてを飲み込もうとする相手だが、その力を前にしてなすすべもなく蹂躙されていく。
飲み込むはずが焼き付くされて、すべてを失おうとしているようだ。
さすがにこれ以上はまずいと冷静さを取り戻したのか、スライムが逃げの姿勢を見せたようだが…それはもう、遅かった。
「---消えろ」
くいっとジークが手を振り下ろし、それと同時に頭上から膨大な光が降り注ぎ、スライムをすべて飲み込んでいく。
【ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!】
人を飲み込んでいたせいか、それともそれなりの知能があったのか、人らしいような断末魔を上げて、スライムは消し去られていった。
……気が付けば光は消え失せ、スライムの姿も失われていた。
何もなくなっていると思っていたが、そうでもなく…残されていたのは、飲まれていた人々や動植物や家やら、あのスライムに飲み干されたはずのすべてが、そこにあった。
「ふぅ…ふにゅん」
【っと、ジーク!?】
その姿を見て、敵が消えて気が抜けたのかジークが倒れかけ、素早くハクロは動き、彼を抱きかかえる。
確認してみれば気絶とかではなく寝ているようで、光もなくなっており、いつものジークに戻っていた。
【シュル…よかった。でも、あれは何だったの・・・・?】
前にもあった光景だが、月のような光を身にまとうあの力は何なのか。
疑問を覚えたが、ひとまず今は危機が去ったことに安堵の息を吐きつつ、昇ってきた朝日を見るのであった……
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