絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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移り変わる季節と、変わる環境

log-059 超・緊急案件

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…そろそろ出立し、故郷へ向けての馬車に乗ろうとした矢先、ジャックたちはギルドに呼ばれた。

一応、素材の関係で登録もしているとはいえ、突然の要請に驚きつつも、何やらただ事ではない様子。

そのため、素直に応じて王都のギルドに向かえば、他の冒険者登録をしている人たちも集まっており、普段以上に密集した状態だった。

「何か、あったのかな?」
【朝の依頼以外では、そこまで多くないはずのギルド内の密集度が凄まじいですね】

 あちこちから呼ばれているようだが、一体何があったのか。
 他の者たちもギルドの要請を受けて集ってきたらしいが…ある程度の人数が集まったところで、その内容が告げられた。


「…すみません、内容がちょっと受け入れにくくて…もう一度、説明をお願いいたします」
「はい。ギルドへの連絡で…現在、カルク領に竜種のモンスターが攻撃を行っており、緊急支援要請が出されました。王城にも騎士団の出動要請の別の便が届いており、現在状況把握及び情報共有の緊急構築及び出陣用意。…その中で、身軽に動ける冒険者への即時の前線確認及び防衛体制の要請を行っている状況です」
「カルク領…」
【…なぁ、その領の名前ってもしや、主殿の】
【はい、故郷のナモアリ村が所属する場所で…ギルドの示した場所は、その付近に該当しているようです】
【竜種…それって、かなりやばいものじゃなかったのなの?】

―――
『竜種』
モンスターのさらなる分類に通常種や進化種、変異種、厄災種などが存在しているが、それらの分類とはまた違った位置に存在している特異な事例。
ある一族の中の神童やエリート、変態等が神獣種や厄災種になっているのであれば、
竜種はその一族そのものがエリートや変態であると例えられる。
―――

「今回確認された竜種は、フレイムワイバーンの群れ。本来であれば、人が立ち入らないほど危険な火山にしか生息を確認されていないはずですが…竜種は厄災種とはまた違った、移動する災害そのものだと言われることがあり、そのことを考慮すると今回出現が目撃されてもおかしくない状況だと思われます」


…ギルドの説明を聞きながらも、受け入れがたいものだった。

「あ、あの、カルク領は無事なんですか?」
「…フレイムマチョポッポ便が使用されましたが、現状は…無事ではないようです。いくつかの村が襲撃を受け、連絡が取れない村も多く…ヘルドラ村、タキヌ村、、ガルド村等、無事は確認できておりません」
「そんな…」

今あげられた中に、故郷の名前があった。

まだ領内では竜種の出現で混乱が生じているからこそ、すぐに情報が受け取れていない可能性だってあるだろう。
しかし、それでも名前が出てきた時点で、無事でない可能性は非常に大きい。

「そのため、緊急事態なのである程度の戦闘力を有する冒険者資格を持った方々に、来ていただいたのです。強制的な依頼として、カルク領への出動要請を行います!!場合によっては戦前での逃亡も許可。相手が相手なので、情報を可能な限り収集できれば良し。また、自身の戦闘力に自信があれば戦闘の判断を行っていただいても構いません」

 集められた理由は、調査及び戦闘のため。
 ランク等は関わらず、対処できるだけの力を持つとギルド側が判断し、すぐに動かせるだけの冒険者を呼び込んだのだろう。

 とはいえ、相手は竜種。そうたやすくできるものではなく、強制依頼とはいえ、戦わずに逃げたいなどの声も上がってくるが…僕らに、迷いはない。


「…ハクロ、カトレア、ルミ。やれるか?」
【大丈夫です。ナモアリ村…ジャックの大事な故郷ですが、私にとっても大事な場所ですからね。やる気十分、全力で殲滅しに向かいますよ!】
【ミーも、やれるのなの!!竜種、養分にしてやるのなの!!】
【ああ、我も可能だ。主のために剣を振るうのが騎士。相手が例え竜種であろうとも、その全ての首を狩り取って、主殿へ捧げよう】

 帰郷予定が、最悪の襲撃対処になってしまった。
 それでも、ジャックたちは依頼を受け、向かうことにしたのであった…



「なお、冒険者たちの到達スピードも考慮し、既に向かうための超高速便はギルドで用意しております。準備ができた方から、すぐに向かってください」
「その超高速便って、何?」
「GMマチョポッポです。本来であれば、経費が馬鹿みたいにかかる特大の馬車を音を追い抜かす速さで輸送するものですが、相手が竜種のため、使用が決定されました」

…到着前に、Gで体がやられないかな、ソレ。

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