絡みあうのは蜘蛛の糸 ～繋ぎ留められないのは平穏かな？～

移り変わる季節と、変わる環境

log-080 ゆったりまったりとする平穏な時間は

―――ジェリースライムこと、新しい仲間のファイ。

　
「むしろ、やれる幅が広がったな…」
【スライムの特性って面白いですね。硬いのに柔らかく、攻撃を受け流す…勉強になりますね】

　ファイの特性はスライムの本質が強いが、宝石としての力も活かしてか、独特の攻撃も多い。
　柔よく剛を制す、もしくはその逆の言葉もあるが、どちらも両立できるのが彼女の強みだ。

　柔らかく衝撃を吸収し受け流し、硬く攻撃に転じさせ…どちらもうまく扱えている様子。

　この感じを見ると、彼女を作ったらしい相手が失敗作とか言っていたのはどういうわけなのかと疑問に思うが、ミミックの体内の宝石を食べて今のジェリースライムとしての力を手に入れる前のことであれば、どのような物かはわからないため、宝石による変化の影響はかなり大きそうな気はするだろう。

「何にしても、他にも周囲の光を集めて光線を撃ったり、人型をとってもいつでも不定形に慣れるからこそあいれの攻撃の油断を誘いやすかったり、いろいろできるのはすごいな」
【ふふん、あたしの能力は中々すごいだろ、マスター！！】

　エッヘンと胸を張るように、自慢げに答えるファイ。

【だが、その分パワーに関してはごまかしの部分が見られるがな。柔らかいからこそ伸縮と、硬いからこその強固な一撃を出せたりしても、真正面からの力づくのごり押しは要注意と言ったところか】
【…まぁ、そこは元がスライムだから、パワー自慢ではないのは当然なのサ】

　ルミの指摘に対して、受け入れている様子のファイ。
　攻守ともに万能そうに見えても、やはり欠点はあるもの。

「でも、皆で力を合わせれば補い合えるし、そこは状況に合わせてかな…」

　毎日戦闘するわけでもないし、平穏無事で過ごしたい。
　そう考えると、今のまま普通に過ごしても問題は無いだろう。

　別に大した問題にはならないし、それぞれの特徴を最大限生かせるのであれば良い。

「明日には王都に到着するし、休暇前半のあの騒動に比べれば本当に平和で良かったなぁ…」

　サンダーファルコンの強襲もあったが、トラップで消え去ったから無しとして、平穏な時間が流れていた。
　
　このぐらいのんびりとした時間が続けばいいのにと、ジャックは思うのであった…

【ところでマスター、一つ質問があるのダガ】
「どうしたの、ファイ」
【この服というもの、着る必要があるのだろうカ？ちょっと動きが制限されるゾ】
「…着ないとね、流石に宝石のような見た目の全裸少女が出歩くのは、色々と不味いから」
【人の中に混ざって生活するには、ある程度の許容が必要なんですよ】
【おしゃれできるのは良いけれども、たま～に邪魔に思うこともあるのなの】
【一応、人の中では必要なものなのだが…気持ちはわからなくもない】

…皆の衣服、今後相談すべきか。