絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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移り変わる季節と、変わる環境

log-閑話  その家容易く近寄らせぬ

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―――グラビティ王国のある一角。

 そこに一つの邸が鎮座していたが、同時にある噂も流れていた。

 曰く、元々は別の貴族が保有していた邸だが、つい先日その主が変わったとのこと。

 どこの家が買い取ったのかと思いきや、どうやらとある少年が主になったらそうだが、人ならざる者たちも一緒に入ったそうだ。



「話を聞く限り、他国には見ぬ美妃のような、見麗しい女性たちがいるらしい」
「だが、どこかがひとならざるものたちでもあるようだ」
「しかし、見て見たくはあるよな…」

 人は未知のものがあれば気になるもの。
 そこを目指したくなるのは当たり前のことだが、それでも多少は知っている人たちがいれば無理に覗くことはしないだろう。







【…と言うわけで、引っ越してから一週間の間に、捕えた人は衛兵へ引き渡したのなの】
【単純に見るならばともかく、見た目だけなら女ゆえか盗みに入ろうとしたものもいたようだが…】
【ただいま脱毛レーザー実験体として良い感じに役立っているヨ】
【落ち着いてきたのは良いですけれども、もうちょっとこう防犯設備を整えたいですね】

 その日の晩、ハクロ達はお互いにこの邸に引っ越してからのことを報告しあっていた。

 なお、ジャックに関しては既に眠っている深夜だったので、この場にはいない。

【うーむ、我らの迫力不足だろうか?すでにモンスターが住まう邸としては周知されているとは思うのだが】
【その可能性は大いにありえますね…いうのもなんですが、私たちって怖い要素皆無です】
【いや、普通に生首が転がってきたり、上からいきなり大きな蜘蛛が来たらビビるとは思うのなの】

 ルミとハクロの言葉に対して、実感溢れる言葉を込めるカトレア。
 わかっていても急に来られるものに関しては、驚かされるのはよくあることである。

【んー…いっそ、番犬でも飼ってみるというのはどうかナ?冒険者たちの拠点も、よく留守にするから狙われることがあって、その対策に使っているという話があるヨ】
【へえ、そんなことがあるんですか】
【ついでに人気も出て、番犬品評会も行われているらしイ。先日第2309回品評会で優勝したのはマッスルウルフ(変異種)のマシュキュンだったとのことダ。絵姿は…これだナ】
【…いや、これ番犬か?なんだこの、筋肉ゴリゴリのゴリダルマ犬…ほぅ、入ってきた盗人を華麗にマッチョの道へ引きずり込むか…】
【凄い犬なの】
【思いっきり、モンスターですが…ええ、いえ、でも番犬と言う名目で考えれば、普通の犬種よりも強力なものですかね】

 防犯対策は色々とあるが、こういう番犬なども悪くは無いのかもしれない。

【でも、犬は苦手ですね…覚えてますか、ルミ、あの三日間の山火事…】
【おおぅ…嫌なものを、思い出させるな。そういえば、そんな恐怖の体験が…】
【二人とも何をしたのなの?】
【明らかに、何かしでかしているよネ?山火事の言葉から、火事でも引き起こしたノ?】
【いえ、グレートインフェルノウルフと言うのが出現しまして】
【一体や二体ではなく、なん十体もの燃え盛る犬のモンスターでな…相性的に、きつかったな…】

 番犬も悪くはなかったが、犬に対して少し苦手意識がある者がいる模様。
 そのため、残念ながらその案は不採用となり、しばらくはギンギラギンピという銀に輝く草で触れるとガチめのやばい毒草を壁際に生やしたり、ブービートラップをいくつか仕掛けるなどの簡易的な対策を行い、地道にやらかす人を減らす方向に決めるのであった…


【綺麗ですね、このギンギラギンピ】
【でも、生で触るのは危険なの。この繊毛、毒の棘なの】
【うかつに触ると激痛の毒を与えてくるほかに、重症化すると銀のまだら模様が浮き出てきますヨ】
【ひぇっ!?さらっととんでもないものを出さないでくださいよ!!】
【主殿が迂闊に触ることが無いように対策もしておく必要があるな…】
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