絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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少し広がっていく関係性

log-閑話 皆の衣服事情

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…カトレアが新たにフェアリー・ドライアドと言う種族に進化したのは良いだろう。

 希望を胸に抱き、前に向いて歩めるようになったのであれば、問題は無い。

【いや、あるのなの】
「あるの?」
【うん、ミーの衣服、アルラウネ時代のものだから、ちょっと小さいのなの】
【そういえば、少し成長しましたからね…図りなおして繕いなおしたほうが良さそうですね】

 進化することで人のような足と妖精のような羽根が付いたことで、着るものもまた変わる。
 
 いや、そもそもモンスターである彼女たちの衣服自体が色々と変わったものではあるだろう。

【既存の衣服ですと、調整しないと難しいですからね。この場合だと、背中の羽根の邪魔にならないように、大きく開いたほうが良いのか…そもそもこれ、着る時に大丈夫ですかね?】
【んー、問題は無いのなの。結構しなやかなの】

 びよんびよんっと羽根を曲げて、そう告げるカトレア。
 蝶とか妖精の羽根って大事そうなイメージがあるのだが、彼女の羽根はそこまでデリケートなものではないらしい。

「そういえば、皆の衣服もあちこち着る際に邪魔になりそうな部分があるのに、よく大丈夫だよな…?」
【ん?そうでもないぜ、我が君】
【人型に近いとはいえ、人間じゃない部分が衣服を着る際に邪魔になるんですよねぇ】



 基本的に皆の衣服はハクロが自身の糸でオーダーメイドで作っているが、時としては違うものも選びたい時がある。
 モンスターであっても、人のような心…女の子としてのおしゃれをしたい気持ちもあり、それに合わせて店で買っていたりするようだ。




 だがしかし、世の中そう甘くはないというか、人ならざる力の代償と言うべきものも存在している。

【オレの場合だと、角が着る際にひっかかるからなぁ。横からすっと入って、結ぶだけのこっちの服が断然楽だけど、そこが残念だ】
【我の場合はむしろ、頭外しているからな…うっかりつければ全身あの世の炎で燃え盛るから、衣服が駄目になる。この鎧は問題は無いが…昔は聖女様の着せ替え人形にされたことが懐かしいモノよ】
【私も、この蜘蛛の部分が問題ですねぇ。どうしても後ろのほうが捲れがちになるので、そこも意識しないといけないのがちょっと面倒ですよ。ああ、野生だった時は衣服を着ずとも何も思わなかったのに、人に紛れると羞恥を覚えるのは何故なのか…】
【あたしはスライムだしナ。着るのもあるけど身体を変形させてきているようにするから問題は無イ】

 ひとえに服を着ると言っても、それぞれ色々と思うところがあるらしい。

 そもそもの話、人間用の衣服は人間が着るのを想定しているのであって、モンスターが着るようには作られていないからなぁ…いや、モンスターが服を着るのかと言う部分は彼女たちを前にすると何とも言えなくなるが…

【一応着る奴は着るぜ。寒さから身を守ったり、あるいは皮であっても多少の攻撃をしのげるのなら着ないよりはましだという判断で身に着ける奴は意外といるぞ】
「あ、そっか。そういう考えで着るのもいるのか」
【でも、全裸のほうが楽だってこともありますからねぇ…うーん、服って難しいものです】


 衣服の着る着ないは好みも分かれそうだが、人の世に紛れ込む彼女たちとしては着る方を好むらしい。

 こっちのほうがより生活しやすくなると、なんとなくで理解しているのもあって、そこはもう野生化とは違う部分を納得するのだろう。

【そもそもこの面子の中で、我は元人間だというのもあるが…まぁ、皆の好みは色々と別れるだろうよ】
【あとは普通にサイズとかですね。私たち、体格がいいので…】

 言われてみれば、皆中々大きいサイズ。
 どこが、とは言わない部分もまたかなりあり、並大抵のものでは着こなしきれないのも悩むのかもしれない…



【…絶対に、ミーもまた進化の機会を得て、脱却してやるのなの!!胸囲の暴力には脅威の成長をもってやりかすのなの!!】
「そんなにうまくいくのかな…?」
【ふふん、絶対にそうなってやるのなの。と言うか、皆体も大きいのなら、ミーもその頃には大きくなれるはずなの。この羽根も鍛えて、前が重くなってもバランスよく羽ばたけるようにしてやるのなの】

…目標を高く設定することは、良いことだろう。多分。

【飛べて減らしているのなら、飛べて問題ないほど鍛え上げればいいだけなの。元から飛べているのに大きい輩がいたら…モグ、なの】
「怖いな…でもまぁ、そんな都合良くいないだろうね」
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