のんびりしたい魔人と氷姫 

志位斗 茂家波

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プロローグだよ

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……俺の覚えている前世には、特に印象深いものはなかった。

 とある企業の御曹司として生まれたようだが、結果を出さないと折檻されたり、出せたとしてもそれ以上いけるだろうと、過度の期待を抱かれ、さらに厳しくされた。

 学校では金があるだろうとせびられ、護身術を学び武術も身に着けていたのだが、いざ歯向かおうとすると、相手の体を考えて躊躇してしまい、結局抵抗することもなく、意味もないことになった。

 
 しかも俺がいたその企業は、どうやらよほどあくどいこともしていたようで、帆に裁かれないギリギリの事をしながらも、他の企業を潰したりしていたようで、潰されたその家の息子とかが恨みを晴らしにわざわざ誘拐しに来たり、暴力を振るわれたりとさんざんである。


 そんな毎日を過ごしていたある日、俺はついに決断した。

 そうだ、誰もいないような無人島にでも逃げよう、と。



 京都にでも行くようなノリだが、割と真面目に考えた。

 跡継ぎにしたいのであれば、あのくそ親父は愛人を作っていたようなのでその子供に継がせればいい。

 未来を勝手に決めるな。これは俺の人生であり、とやかく言われる筋合いはないのである。


 

 そう決心して、俺は計画を誰にも悟られないように密かに進めた。

 幸いとでもいうべきか、これまで受けてきた教育のおかげでプログラムや偽装技術などを学んでいて、週に絶対にバレないように監視カメラを移せないようにしたり、俺がそこにいるように仕掛けたりなどと言う工作はできた。

 そして、生きるための知識として、衣・食・住が必要だと定義づけて、サバイバル技術を学び、ついでに何がダメで何が良いのかと、食ベられる物の判定ができるように鍛えたりもした。


……でも、このまま密かにいなくなってもいいのだろうか?


 勝手に人生にレールを敷かれ、そして散々嫌な眼にもあって来たのだから、仕返しもしたい。

 そこで、その技術や知識を蓄えている間に、俺は企業のためになるような新製品の開発や、特許の取得をしたりもした。

 そのおかげで年々利益が上がり、あの欲望に眼しか行かないやつらは喜び、脱税なども行って私腹を体形のように肥やしていった。




 そしてある程度甘い甘い生活ができたところで…‥‥俺の無人島行きと同時に、絶望を与える様にした。

 監視カメラも、人工衛星もハッキングして、変装し俺の足取りをつかめないようにして、新天地へと俺は向かった。




 俺がいなくなったことに気が付いたときには、あの屑共は最悪の事になるだろう。

 そのころ合いに、ちょうど各関係……警察や、マスコミ等にあの企業の黒いところをすべて暴露した内部告発文を送りつけるようにプログラムしているのだから。

 そのうえ、俺が行方不明になることで法的に特許や俺が関わってきたことが使用不可能になるようにも仕掛けてきており、それでも使用するなら罰せられるようになっているのである。


 ああ、あいつらの絶望する顔が見られないのは悔しいことだ。

 だが、さんざん人に頼りまくり、厳しくして、甘い汁を吸って来ただけの無能たちにはいい薬になっただろうよ。



 あとは予定していた、偽装名義での無人島にたどり着き、そこでサバイバル的な生活を送り、世間から消え去る予定だったのだが‥‥‥‥ここで予想外の事が起こりやがった。



 いったん国外へ行き、そこから海路で向かう予定だったのだが、現在その乗っていた国外行きの旅客機が墜落中。

 エンジントラブルのようだが、流石にここまで考えてはいなかった。




 ああ、せっかく晴れて自由の身になったというのに。

 機内がパニックになる中、俺は遠い目をした。


 生まれてから自由がなく、何もかも褒められることもなく、つまらない人生であった。


 神がいるとしたら、この結末は最悪であろう。



……せめて、来世はもっと良い人生が送りたい。

 自由であり、そして何物にも束縛されず……ああ、恋をしてみるのも悪くはないかもな。

 好きな人ができて、そして一生を添い遂げることができてもいいだろう。


 だから、どうかそのようになるように神がいるならば、お願いします…‥‥




 機体が激突・爆発し、その中で俺は意識を失うのであった……



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