黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー

志位斗 茂家波

文字の大きさ
53 / 339
学園1年目

48話

しおりを挟む
‥‥‥チンピラ共をふっ飛ばし、逃亡した後レリアはルースたちといったん休憩するために、適当な飲食店で話をしていた。

「なるほど、エルモア先生のところにルースの召喚するモンスターがいて、そこへ向かおうと‥‥‥‥ん?いやいやいやいや待て!!何でそこにいるんだ?」

 あのチンピラどもに絡まれる前に、何をルースたちはしようとしていたのか説明を聞き、納得しかけていたところで、おかしな部分に気が付き、レリアはそう尋ねた。


 召喚魔法でモンスターを呼べ、そしてどのような素性があるのか知っているのはまだ良い。

 レリアはまだ召喚魔法を扱えるわけではなく、召喚できるルースがうらやましいとは思っていた。

 とはいえ、その召喚相手が、仮にもモンスターがこの都市メルドランに住んでいるという事実に驚いたのである。

 しかも、学園の教師の一人の家に住んでいる者などとは、彼女は驚愕した。

「一応、召喚した時は大きなモンスターだが、そこでは小さくなっているんだよね。しかも、騒ぎにならないように人型になっているんだよ」
「なんと!?‥‥‥いや、それ魔族とかじゃないのか?」

 ルースのその言葉に対して、驚きつつレリアはその疑問をぶつけた。

 人型になるモンスターはいるらしいが、それでもやはりその場合魔族なような気がするのだ。

 この世界にいるのは基本的に人間、魔族、そしてモンスターであり、変身して姿を変えるのは魔族にもいるからである。


「魔族じゃないぞ。モンスターを召喚する魔法だから魔族は召喚できないな」
「そうらしいけれども、まぁあたしとしては毛皮をひん剥いてやりたいわね」

 ルースの言葉に続けて、くくくと黒い笑みを浮かべながらそう言ったエルゼに、ルースとレリアは一歩後ずさった。



‥‥‥正直言って、レリアにとって、この黒い笑みのエルゼは恐ろしい。

 公爵令嬢と言う話は聞いていたが、なぜかルースに関することで他の女性が関わろうとしたとたんに凄まじい覇気とでもいうべきか、恐怖を感じさせるのである。

 彼女が育ったモーガス帝国に、同様の恐怖を感じさせるような相手は中々おらず、一体何をどうすればそのような恐怖を当たえる技を身につけられるのだろうか。

 そのあたりは今は聞くのをやめて、とりあえずこの後どうするべきか彼女は考えた。

「本当はこの都市の様相を見ていきたかったが…‥‥せっかくだしルースたちに同行していいか?」
「ん?別にいいけど‥‥‥どうして?」
「ルースが召喚するモンスターとやらを見てみたくなった。召喚魔法を扱えるようになったら、参考にしてみたいからな」

 今はまだ、レリアは召喚魔法が扱えていない。

 使えるようになれば召喚魔法の授業に出て、やってみたいのだ。


「話を聞く限り、モフモフだというし…‥‥私もその、モフモフを堪能してみたいのもあるがな」
「わかるわかる、モフモフはいいものだからなぁ」

 戦姫と呼ばれるとはいえ、レリアも女の子。

 モフモフには興味を持ち、戦の中で癒しとなるようなものが欲しくなるときがあるのだ。

 ルースの話によると、その召喚魔法で出すモンスターはモフモフしているそうなので、自分も同様なのを召喚してみたいし、その参考になるかもしれないと思えたからである。

「モフモフ…‥それは、兵士たちの休息時に癒しを与え、士気を向上させるのは昔からの兵法ですでに実験結果は出ているそうだ。私もそんなモフモフを堪能してみたいからな」
「ああ、そういう者は癒しを与えてくれるからなぁ」

 レリアの言葉に、深く同意するルース。

 ここに、モフモフで共感しあえる仲間が出来たことを、二人はなんとなく嬉しく思い‥‥‥そして、同時に寒気も感じた。

「ふーん、なんかあたしだけ仲間外れなような‥‥‥気のせいよね?」


 にっこりと笑みを浮かべるエルゼに、二人はひっと思わず叫び、後ずさる。

 モフモフで共感する二人に対して、なにやらエルゼは仲間外れになったような気がして、少しばかり怨嗟を飛ばしてきたようである。

「い、いや仲間はずれじゃないさ、なぁレリア」
「あ、ああ。仲間外れじゃないし、一緒にそのモフモフの場とやらへ行こうじゃないか」

 なんとなく互に感じた危機に、二人は協力してエルゼをなだめ、その場は何とか収まるのであった。













 ルースたちが飲食店から出て、エルモア先生の家へ向かうその道中、背後からつけている者たちがいた。

 密かに覚られぬように気配を消し、そしてバレないように自然にルースたちの進路を通行止めを置くなどして、ある場所へ誘導していく。

 彼らの目的は、帝国の王女であるレリアだけだが、邪魔になるようであればその他も一緒にまとめて問題ないと考えていた。

 話す者がいなければ、露見はしないだろうとも思って…‥‥
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

【毒僧】毒漬け僧侶の俺が出会ったのは最後の精霊術士でした

朝月なつき
ファンタジー
※完結済み※ 落ち着かないのでやっぱり旧タイトルに戻しました。  ■ ■ ■ 毒の森に住み、日銭を稼ぐだけの根無し草の男。 男は気付けば“毒漬け僧侶”と通り名をつけられていた。 ある日に出会ったのは、故郷の復讐心を燃やす少女・ミリアだった。 男は精霊術士だと名乗るミリアを初めは疑いの目で見ていたが、日課を手伝われ、渋々面倒を見ることに。 接するうちに熱に触れるように、次第に心惹かれていく。 ミリアの力を狙う組織に立ち向かうため、男は戦う力を手にし決意する。 たとえこの身が滅びようとも、必ずミリアを救い出す――。 孤独な男が大切な少女を救うために立ち上がる、バトルダークファンタジー。  ■ ■ ■ 一章までの完結作品を長編化したものになります。 死、残酷描写あり。 ↓pixivに登場人物の立ち絵、舞台裏ギャグ漫画あり。 本編破壊のすっごくギャグ&がっつりネタバレなのでご注意…。 https://www.pixiv.net/users/656961

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...