黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー

志位斗 茂家波

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精霊の章

167話

……未だに数十体の蠢く怪物たち。

 都市を覆った壁、いや、今は蓋とでも言うべきものに乗り、中から出てきた者たちと戦闘していた。


【グゲェェゴゴゴゴゴォォ!!】
【ギチグゲェェェェェェ!!】
【グゴゲェゴゴゴガァァァア!!】
【グエグエグエグエグゲゲェェェ!!】


 それぞれ雄たけびを上げ、体内で生成される溶解液を吐いたり、その強靭な足で攻撃したりと、驚異的な戦闘能力を誇っていた。



……が、最強と言うわけではない。

 個としてはいま一つだが、集団で戦うことによって戦闘力を高めているのだ。

 それはつまり、個として狙われた場合には…‥‥その答えは、すぐそこにあった。


「『ライトレイン』!!」
【グゲェッツ?】

 この場に聞こえてきた声に気がつき、怪物の一体がその声の方を見ると、そこには誰かが立っていた。

 その手には白色の魔導書グリモワールが握られており‥‥‥‥そこまで見た次の瞬間、天から降って来た光の雨に怪物は打たれた。


ズドドドドドドドドドド!!
【ギギュガァアァッァア!?】
【グゲェェェェェェ!?】

 硬い装甲を持っていたが、問答無用で貫いていく光の雨に、怪物たちは断末魔を上げていく。



「「『召喚』!!」」

 続けて別の声が聞こえてきて、その声の方を向けば…‥‥


【ほぅ、なにやら気持ち悪い怪物だな】
【こいつらの殲滅でありますか】

 そこには、シーサーペントンに火竜と、怪物たち以上の、いや、正真正銘本物のモンスターとでも言うべきものたちが呼びだされ、怪物たちへめがけて攻撃を仕掛けようとしていた。


 貫くレーザーのような水流を吐き、焼き尽くす炎を吐かれ、怪物たちは無残にも、より圧倒的な存在によって撃沈していく。

「ふれー、ふれー、頑張れよなー」
―――――戦闘ハ任セタヨー。

 …‥‥約2名、応援だけしていたが、そんなものに攻撃を仕掛けるほど怪物たちには余裕がない。


【【【グゲェェェゴゲェェェェェェ!?】】】

 この日、怪物たちは自分達よりも上の存在がいることを嫌というほど思い知らされた。

 しかし、時すでに遅く、次々と断末魔を上げていき、命を散らしていくのであった‥‥‥‥。












「‥‥‥と、そろそろつくか」
【この穴の先に、怪物どもの生まれた場所があるじゃろうな】
【しカし、皆が通レるよウに掘り直スのも一苦労だね】

 都市メルドランで戦闘が行われていたころ、ルース、タキ、ヴィーラは、メルドランに現れた怪物たちの発信源へ向かっていた。

 怪物たちが掘っていた穴。どうもやや崩れたようでふさがっていたが、それを自分たちが通りやすいようにヴィーラが掘り直していき、辿っているのだ。


 都市での戦闘に加わるつもりでもあったが…‥‥今回の大本を叩き潰さないと終わらないので、最大戦力としてルースがタキとヴィーラを連れて向かうことにしたのである。

 ついでに、大元にはフェイカーの誰かが待ち受けている可能性もあったので、治療中のミュルも一緒に来ていた。

「うう、そろそろこのぶよぐにゅを取りたいでアルが‥‥」
「そのスライムモドキの治療魔法が解ければ完治したことになるんだけど……あ、溶けた」

 ミュルの治療が終わり、彼女は金棒を構え直す。


「にしても、ここから本当に怪物たちが出てきたのかよ?気配すらないようなんだが‥‥‥」
「案外、突入用の一度きりの侵入口として使用されるだけだったかもでアル」
【まぁ、出てきたところで潰せばいい話しじゃがな】

えっさほいっさと穴を再び掘っていき、ようやく出口らしいところまでたどり着く。


【ふゥ、ここを貫けば出口ノようだヨ】

 額の汗を拭い、巨大兎の状態でスコップを構え直しながらそう言ったヴィーラ。


ドッガァァァンっと勢いよく貫き、土の壁が崩れていく。

 そして、その先にあったのは…‥‥

「‥‥‥うわぁ」



 そこにあったのは、無数の卵のような物。

 どれもこれも孵化済みのものばかりのようだが、確実にあの怪物たちの湧き出た場所だと理解させる‥‥‥が、そんなことよりも一つ大きな問題があった。


【【【【【グゲゴゲケエエェェェェェェェ!!】】】】】

 一斉にルースたちの方へ振り向き、雄たけびを上げる、たった今孵化したらしい怪物たち。

 まだまだ数が多かったようで、都市へ押し寄せたのは1次部隊とでも言うべきものだったようだ。


「‥‥‥やる気満々かよ」
【本能的に敵じゃと分かっているのじゃろうな】
【気持ち悪い……ケれども、弱ソう】
「孵化したてだし、まだ弱いようでアル。ここは一気に殲滅したほうがよいでアル」

 放置したら、再び都市へ攻めてくる可能性が高い。

 この場所を作り上げた大元へ向かう前に、怪物たちの駆逐をルースたちは行い始めるのであった。
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