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第2章 おばあちゃんと化け猫
同じ画面
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「はじめ、ノラちゃんは普通の猫かなと思ったの。でも違ってね、とっても大きな、人間でも大柄な男の人ぐらいまで、大きくなったの」
牙を出し、目を光らせて。その凄みに、そめさんに取り憑こうとした化け猫は逃げて行った。
「それ以来、ノラちゃんは私が通学路を渡る時、一緒にとことこ歩いてくれるようになったの。優しいでしょ?」
ノラさんはその言葉に、「俺の縄張りを荒らされたくなかっただけだ」と反論する。そめさんはそれに、「そうよね」と笑って返す。
「小学校を卒業してからも、道端で見かけては私が近づいていってね。極たまにノラちゃんからも寄ってきてくれたり。そんな関係が、今でもずっと続いてるの」
そめさんは、仏壇を見る。
「旦那さんに先立たれて、娘も結婚して遠くに行って。ノラちゃんは、私が寂しいの知ってて、残ってくれたの。妖さんたちが住む世界に行ったら、なかなかこっちには来れないから」
「気ままに出来るからこっちに居るだけだ。妖の世界は、しがらみが多いからな」
「まったく。ノラちゃんは素直じゃないわねぇ」
二人の関係は、とても素敵だなと思った。そう告げると、そめさんは「ありがとう」とこたえてくれたが、続けてこう言った。
「でもね、一つずっと悲しかった事があって。それは、ノラちゃんは写真に写らない事なの。一緒に写真に写ろうとした事があるんだけど、どれもノラちゃんの姿が消えちゃって」
妖怪は、カメラでは写せない。
それは、些細な事のようで、とても寂しい事なのかもしれない。少なくとも、たくさんの思い出を共有してきた二人にとっては。
「まだ私が若くて元気だった頃はね、いろんな所に一緒に行ったの。植物園や動物園、近くの公園。でもどれも、写ってるのは私だけ」
一緒に写真に写れない。それは彼らが、お互いは違う生き物なんだと実感する瞬間でもあった。
「だからね、本当に嬉しいの。こうして、ノラちゃんと一緒に描いてもらえるなんて」
俺はその言葉に笑い返す。そうして、筆をパレットの上に置いた。
「できました」
立ち上がり、そめさんたちの近くまで寄る。そめさんはキャンパスを受け取ると、目を輝かせた。
「まぁ……!」
優しい笑顔で笑うそめさんと、仏頂面のノラさんを、緑の庭を背景に描いた。最初はノラさんを少し優しい瞳にしようと思ったが、やめた。それは、ノラさんの良さをつぶす気がした。
「嬉しい……とても素敵だわ」
そめさんは、ポロポロと涙をこぼす。俺はそれに思わずギョッとした。
「ノラちゃんと同じ画面におさまれた。これでもう、悔いはないわ」
「なに言ってるんですか、そんな事言わないでください」
俺はハンカチか、何か涙を拭うものを差し出したかったが、手には絵の具がついている。悩んでる間に、ノラさんがそめさんの膝から離れ、ティッシュをくわえてくる。そめさんはそれを、礼を言いながら受け取る。
「そう。そうよね。いやねぇ、年をとると涙腺が弱くなっちゃって」
そめさんは涙をぬぐいながら、明るさを取り繕いながら言う。
ノラさんもヤイさんも何も言わず、ただ泣いている彼女を見守った。
牙を出し、目を光らせて。その凄みに、そめさんに取り憑こうとした化け猫は逃げて行った。
「それ以来、ノラちゃんは私が通学路を渡る時、一緒にとことこ歩いてくれるようになったの。優しいでしょ?」
ノラさんはその言葉に、「俺の縄張りを荒らされたくなかっただけだ」と反論する。そめさんはそれに、「そうよね」と笑って返す。
「小学校を卒業してからも、道端で見かけては私が近づいていってね。極たまにノラちゃんからも寄ってきてくれたり。そんな関係が、今でもずっと続いてるの」
そめさんは、仏壇を見る。
「旦那さんに先立たれて、娘も結婚して遠くに行って。ノラちゃんは、私が寂しいの知ってて、残ってくれたの。妖さんたちが住む世界に行ったら、なかなかこっちには来れないから」
「気ままに出来るからこっちに居るだけだ。妖の世界は、しがらみが多いからな」
「まったく。ノラちゃんは素直じゃないわねぇ」
二人の関係は、とても素敵だなと思った。そう告げると、そめさんは「ありがとう」とこたえてくれたが、続けてこう言った。
「でもね、一つずっと悲しかった事があって。それは、ノラちゃんは写真に写らない事なの。一緒に写真に写ろうとした事があるんだけど、どれもノラちゃんの姿が消えちゃって」
妖怪は、カメラでは写せない。
それは、些細な事のようで、とても寂しい事なのかもしれない。少なくとも、たくさんの思い出を共有してきた二人にとっては。
「まだ私が若くて元気だった頃はね、いろんな所に一緒に行ったの。植物園や動物園、近くの公園。でもどれも、写ってるのは私だけ」
一緒に写真に写れない。それは彼らが、お互いは違う生き物なんだと実感する瞬間でもあった。
「だからね、本当に嬉しいの。こうして、ノラちゃんと一緒に描いてもらえるなんて」
俺はその言葉に笑い返す。そうして、筆をパレットの上に置いた。
「できました」
立ち上がり、そめさんたちの近くまで寄る。そめさんはキャンパスを受け取ると、目を輝かせた。
「まぁ……!」
優しい笑顔で笑うそめさんと、仏頂面のノラさんを、緑の庭を背景に描いた。最初はノラさんを少し優しい瞳にしようと思ったが、やめた。それは、ノラさんの良さをつぶす気がした。
「嬉しい……とても素敵だわ」
そめさんは、ポロポロと涙をこぼす。俺はそれに思わずギョッとした。
「ノラちゃんと同じ画面におさまれた。これでもう、悔いはないわ」
「なに言ってるんですか、そんな事言わないでください」
俺はハンカチか、何か涙を拭うものを差し出したかったが、手には絵の具がついている。悩んでる間に、ノラさんがそめさんの膝から離れ、ティッシュをくわえてくる。そめさんはそれを、礼を言いながら受け取る。
「そう。そうよね。いやねぇ、年をとると涙腺が弱くなっちゃって」
そめさんは涙をぬぐいながら、明るさを取り繕いながら言う。
ノラさんもヤイさんも何も言わず、ただ泣いている彼女を見守った。
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