あやかし観光専属絵師

紺青くじら

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第3章 聖なるクリスマスと、白い子

また遊んでくれる?

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 それからその春休みの間は、女の子とよく遊ぶようになった。持ってきたボールで遊んだり、砂浜やスケッチブックに絵を描いたり。おばあちゃんはその様子を眺めて、楽しそうに笑っていた。
 女の子は俺の絵を見ては、褒めてくれた。だから最後、実家に戻らないといけなくなった時。俺は、彼女に一枚の絵を渡した。はじめて彼女に出会った日描いた物を、清書した絵だ。
 あげる前は、こんな物いらないんじゃないかという不安でいっぱいだった。でも渡したくて、必死に描いた。

 女の子に渡すと、彼女は目をキラキラさせた。そうして、「もらっていいの?」と尋ねて来た。俺が頷くと、彼女は笑って言った。

「嬉しい! ありがとう!」

 俺は目を逸らしながら、「うん」と返した。いっぱい言いたいことがあったはずなのに。うまく言えない。

「俺、明日家に帰るんだ」

 そう言うと、女の子の表情から笑顔が消えた。俺も落ち込んでいると、おばあちゃんが二人の肩に手を添えた。

「また遊べるよ」

 その声に、女の子は俺に目を向けた。

「また遊んでくれる?」
「もちろん!」

 女の子に笑顔が戻った。俺も、ぎこちなくも笑う。

 また夏休み来よう。そう思っていた。

 でも、俺が夏休みに公園に行く事はなかった。



「……ごめん……」

 俺は、ツバキさんに謝った。彼女は首を傾げる。

「また遊ぼうって言ったのに。俺……」

 俺が謝ると、ツバキさんは首を振った。

「ばあちゃんの具合、悪くなって」
「うん」
「入院して、それで……」

 思い出す。ばあちゃんは、びっくりするぐらい痩せていって。元気になってほしかったけど。でも。

「……こっちに来る事、なくなっちゃって」
「うん」

 言っていて、自分がずるい奴に感じた。これじゃあまるで、おばあちゃんのせいだ。

「大丈夫ですよ」

 ツバキさんの目を見る。今はもう黒目だが、その奥に優しい金色が見える。

「また会えて、嬉しいです」
「……俺も」

 そう答えたけれど、彼女は目を下に向けた。今度は俺が首を傾げる。

「……でももう、会えませんね……」
「どうして?」
「だって、バレちゃいましたから」

 彼女はどこか諦めたように呟いた。

「私が、あやかしだって」
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